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ホームイベントBBLセミナー2002年度 アメリカのアジア外交:コンセントリック・マルチラテラリズム(同心円的多国間主義)を考える 印刷 開催日 2002年11月22日 スピーカー ヘンリー・R・ナウ (ジョージ・ワシントン大学エリオット国際関係スクール教授) ダウンロード/関連リンク 配付資料[PDF:18.4KB] 開催言語 英語 議事録 日米関係の行方について、今後10年における日米間の広範な安全保障・政治関係のための新たな枠組みを中心にお話したいと思います。経済関係、とりわけアジアの地域の貿易・投資関係、ひいては世界経済を維持していく上で安保・政治関係がいかに重要かについて、お話します。世界経済の成功は、世の中の平和が保たれること、そしてビジネス・投資・貿易が拡大できるような安全保障枠組みが存在することに大きく依存します。アジアにおける将来の安全保障体制について、これまでとは違う形で考える必要があります。私が民主的安全保障共同体(Democratic Security Community)と呼ぶ枠組みと、同盟や集団安全保障に基づく従来の枠組みを対比させたいと思います。 将来の日米関係に関する5つの伝統的考え方1つめは勢力均衡関係に基づく考え方です。これは、第二次世界大戦前、少なくともアメリカにとっての対アジア関係という意味で存在したもので、各国が自らの国益を最優先する上に成り立つ一連の関係のことです。過去50年間に引き続き将来においても、この枠組みに陥らないことを願います。勢力均衡関係に後戻りする危険性は常に存在します。米国内には、そういう意味合いを持たせて、将来のアジアにおける日本、アメリカ、中国、ロシアから成る戦略的四角関係を口にする人々がいます。ヘンリー・キッシンジャーは、アメリカ、日本、中国を頂点とする三角の勢力均衡という観点からこの地域について論述しています。そういうわけでアジアにおける安全保障関係を考える上でこの枠組みが常に存在しますが、概して大国間の競争に発展しがちなのであまり魅力的な選択ではありません。そういう意味では、韓国が大国間の論争と競争の真のポイントになるかも知れません。2つめは現行の枠組みです。私はこの枠組みを現状維持(status quo)と呼んでいますが、これは日米間に見られるような不均衡な同盟から成り立っています。元々はソビエトの脅威に突き動かされるかたちで生まれた従来型の同盟で、その後、アジアにおけるポスト冷戦の脅威がある程度の動機となって維持されています。外交政策上の共通の利害に基づく限定的な不均衡同盟です。アメリカはアジアにおける日本と日本の利害を守ることを確約していますが、日本はその見返りとしてアジアにおけるアメリカとアメリカの利害の擁護を確約してはいません。3つめは、不均衡な関係をより均衡的な関係に近づけようという考え方です。つまり、かつての均衡な二国間同盟に移行しようというもので、その際、日本は集団防衛における役割を徐々に高め、日本の利害だけでなく地域内における日米の利害をアメリカと協力して守ることになります。その方向に向かわせようとする動きが徐々に高まっています。現・米国務副長官が率いる委員会が2000年にまとめたアーミテージ報告書は、将来の日米関係を考えるためのこうした枠組みに具体的な肉付けを行いました。報告書は、より均衡のとれた日米関係の発展を米英間に存在した特別な関係になぞらえましたが、これこそブッシュ政権のメンバーを含む一部のアメリカ人が将来あるべき日米関係として想定する枠組みなのです。4つめは、冷戦時代の北大西洋条約機構(NATO)をモデルとし、二国間同盟を三国間同盟や多国間同盟に拡大させようというものです。この動きについても、日米韓における防衛・外交政策上の協力強化というかたちで、徐々に表面化しつつあります。たとえば、アフリカ開発会議(TICAD)や対北朝鮮政策に関する米日韓三カ国政策調整会合(TCOG)がその例です。防衛分野においては当然、米韓、米日の間でより多くの協同軍事活動を実施してきましたが、過去3~4年の間に日韓の考え方や軍事行動を調整しようという努力が控えめながらなされつつあります。これはアジアにおける多国間同盟への動きを反映するもので、冷戦時のNATOをお手本にしています。このモデルの難点は脅威を前提としているところで、こうした多国間同盟や三国間同盟が何を脅威と想定するかが問題です。現時点では北朝鮮ですが、中国も脅威となりうるのでしょうか。そして、日米の多くの人々があまり支持しない中国封じ込め政策に進展する危険性を孕んでいるのでしょうか。その展開に見込みがあるものの、この考え方そのものは重要不可欠なものではありません。 なぜなら中国に対する脅威となり得るし、私がこれから話そうとしている民主的安全保障、同体というより幅広い共同体の一部をなさない限り、我々の相互利益に適わないからです。最後に、5つめの選択肢があります。このモデルは、国際連盟や国際連合のような共通の国際組織を土台とします。政治的に魅力ある選択肢ですが、効果的な安全保障の枠組みではありません。中東問題や現在のイラク問題においても国連の取り組みには多大な困難があります。おそらく、アジアにおける日米の安全保障利害をどうするか考える上でも、信頼し得る枠組みではないでしょう。我々がめざす安全保障上の目標を補完することはできるかも知れませんが、そのもの自体が主要な枠組みにはなり得ません。 将来の日米関係に関する新たな考え方日米安全保障関係についてここまでに述べた従来型の考え方とは対照的な新たな考え方として、民主的安全保障共同体という概念を提唱したいと思います。民主的安全保障共同体は、外交政策上の共通利害や国際的組織よりも、むしろ共通の国内的価値を前提とします。冷戦後のNATOに反映されるモデルです。冷戦終結後、同盟国の共通利害に対峙するような脅威がもはやヨーロッパに存在しなくなったにも関わらず、NATOは存続・拡大しました。民主的安全保障共同体は共通の国内政治的価値の出現に根ざすものです。これが土台となって、外的要因として差し迫る脅威が存在しなくとも、同盟国間の協力・相互信頼が維持されているのです。民主的安全保障協同体にはいくつかの特徴がありますが、とても興味深いものです。その加盟国間で武力を行使すべき脅威は存在しません。共通の民主的政治の価値観に基づいて集合した国家同士は、武力行使を楯に、または実際の武力行使によって威嚇し合わないことは、多くの統計的証拠で示されていますが、これは日米関係の大きな特徴でもあります。民主的国家間の力関係から武力行使という要因が消えてしまうのです。そのメンバーになるために必要なのは、民主主義に向けた確固たる歩みです。したがってアジアにおけるその共同体の拡大は可能です。当初は、アメリカ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして間接的に台湾がそのメンバーとして想定されますが、他の諸国もより競争的な国内政治過程に移行しつつあり、新規加盟についても門戸は開かれています。また、均衡的関係の発展と矛盾するものではありません。実際、加盟各国が漸次均衡化するのがその特徴でもあります。日米関係を考える上でこの枠組みが持つもう1つの利点は、均衡パートナーとしての日本を想定できるとともに、アジアにおけるアメリカの圧倒的な経済・政治力に均衡し、競合し得る勢力として成長するアジアを想定できることです。これは欧州連合(EU)の出現に匹敵し得るものです。民主的安全保障共同体は個々の加盟国間、または、地域関係における地域パートナー間の均衡化を促します。アメリカは根本的にEUの出現を支持しました。アメリカに対しより対等で競合的になるかたちでアジア地域経済がさらに統合されることについても、アメリカは支持します。民主的安全保障共同体は非加盟国に対する外交政策を調整します。したがって、外交政策や脅威に対する防衛を排除するものではありません。しかしそれは、先に述べた他の国内的要素に起因する安全保障共同体の1つの要素に過ぎません。このことは、アジアにおける我々の関係に紛争をもたらすかもしれないような、実在または潜在する脅威に対して、我々の防衛同盟を維持していくことを意味します。既存の同盟を維持すると同時に、経済的・政治的にあらゆる国に対しても門戸を開きます。我々の関係をこのような文脈でとらえることの大きな利点は、そうすることで、我々の市場を新たな加盟国や中国のような潜在的に脅威となりうるような国に対しても開放することの重要性を強調できることです。日米の政策は実際、中国の市場開放や世界貿易機関(WTO)加盟と世界経済への融合を提唱しています。防衛に備える一方で、アセアン地域フォーラムなどにおける橋渡し、信頼構築努力を通して経済的・外交的な働きかけを行ないます。潜在的に敵対関係にあっても、地域・世界経済システムへの参加を通して世界・地域共同体に仲間入りすることの利益を認識し、友好国になってもらいたいと願う国に対しても、恒常的に働きかけています。 進むべき道は、同盟それとも安全保障共同体?これは日本とアメリカが対内的・対外的に決定すべき問題です。私は、安全保障共同体をめざすことがアメリカの利益に適うと提言しています。そうすることによって、脅威に頼ることなく、アジアとの関係を維持していけると思うからです。そして今後、何十年かでアジアにおける脅威を削減することができたら、その枠組みによってアメリカはアジアとの関わりを保つことができるでしょう。従来型の同盟は、アメリカがアジアに居場所を得る足がかりにはなりません。脅威は遠のき、同盟は消滅するからです。その結果、アメリカがアジアから撤退することになってしまうでしょう。民主的安全保障共同体は、アメリカがアジアにとどまる別の理由が存在すること、脅威に対峙するだけではなく、共通の政治的利害、共通の国内的価値観や制度を見出し、深めるためにアジアに存在し続ける必要があることを我々に認識させてくれるでしょう。国内的価値は外交政策にどういう影響を与えるのでしょうか。各国の国内的な対処のあり方と外交における振る舞いは無関係と考えがちですが、決してそうではありません。民主的安全保障共同体における共有価値には対内的、対外的の2つの側面があるのです。 民主的安全保障共同体の対内的側面いかなる国であろうと、その政府のみが国内において武力、警察権力、国軍力を行使する権利を有し、政府が武力を行使するためには、何らかのかたちでその行為を正当化しなければなりません。歴史的に見てみると、政府は自国民に対する武力行使を宗教、文化、階級、人種、イデオロギー、文明などさまざまな基準を設けて正当化してきました。政治体制も重要な基準のひとつです。アメリカと日本は、まさしくこの政治体制という分野において合流しているのです。日米関係において共通の民主的価値が両国間の文化の違いより重要である限り、両国は民主的安全保障共同体としてともに成長し続けます。しかし、文化の違いが政治的価値より重要になったら、我々はこの枠組みから離れることになるでしょう。国内秩序をいかに維持するかは、国際的な武力行使を決定する唯一の基準ではありませんが、国際的武力行使のあり方に影響を与えます。対外的な側面があるのです。それは国家のアイデンティティといったより伝統的な側面です。その際のルールは一般的に歴史的な経験に基づきます。互いを友好国または同盟国と考える根拠となるような対外的な交流を通じて、国家は互いのイメージを築き上げ、そのイメージ次第でその国家に対する武力行使の前提が変わるのです。 アイデンティティの相違点と類似点が脅威を生み出す武力行使を左右するこの2つの価値の側面を用いれば、あらゆる国の脅威マップを描くことができます。横軸は価値の相似と乖離、縦軸は他国との経験です。図表左上にある1番の象限は、両方の側面が合致し、民主的安全保障共同体を形成し得るケースを示します。日米関係はこの象限に属します。日本とアメリカは、最も高度な尺度のひとつである民主主義という側面でほぼ同一の特徴を有し、過去50年間、それに先立つ戦争経験にも関わらず、協力の歴史を切り開いて来ました。図表左下の2番の象限は、対内的な価値が一致するケースです。韓国と台湾は、日本やアメリカほどではありませんが、より成熟した民主主義の制度に移行しつつあります。韓国では来年、2度目の平和的な政権交代が行なわれますが、これは成熟した民主主義を示す指標の1つです。台湾でも同様の平和的政権交代が2000年に行なわれました。ただし、日米関係に比べて、日本、韓国、台湾の関係にはより多くの紛争の記憶がつきまといます。したがってここでは、対内的に民主的安全保障共同体を形成する可能性があるということになります。3番の象限(右上)には日本-アセアン関係がありますが、ここではまだ国内の政治制度に乖離が見られます。フィリピンとタイが民主主義領域に最も近い位置にあり、将来の民主的安全保障共同体の加盟国候補です。最後に4番の象限(右下)ですが、国内の政治的価値に乖離があり、対外政治のあり方が紛争を示唆する国家が属しています。民主的安全保障共同体は、この領域にある国家から自らを守る立場にありますが、これらの国々に働きかけることもできます。 コンセントリック・マルチラテラリズムという戦略このことは、将来の日米関係を考える上でコンセントリック・マルチラテラリズム(同心円的多国間主義)という戦略につながります。核となるのは日米関係です。オーストラリアやニュージーランドも属しますが、東アジアの政治の中心からアメリカや日本と同じくらい遠くに位置します。2つめの円は民主的安全保障共同体の展望です。これはアメリカおよび日本の韓国との関係、さらに台湾との間接的な関係に反映されます。それが2つめの円となって、核となる円により収斂する方向に移動します。3つめの円には、アセアン諸国を中心とする民主的安全保障共同体の加盟国候補が含まれます。タイとフィリピンがその最前線に位置します。より強力なアジアのユニットとして形成されつつあるアセアンプラス3は、この第3の円と核の発展・融合を示しています。最後の円には、中国およびロシア、そして潜在的に北朝鮮との経済関係に関する政策が含まれます。この枠組みを通して、アジアにおける我々の関係を脅威が存在しない状態でいかに深めるかを考えると同時に、たとえば中国との経済的な関わりを通して、他の諸国に脅威と受け取られないよう働きかけることができます。 結論:アメリカはアジアに居場所を見出せるアメリカの視点から見れば、アジアにおけるアメリカの利害に対する脅威が存在せずとも、この枠組みを通してアジアとの関わりを続けていけるということです。10年か20年のうちにそうなるべきです。日本人の中には、「なぜアメリカがアジアに関わり続けるべきなのか。我々が対処すべきだ。」という考えを持った人々がいることを承知しています。しかし、仮にそう考えているとしたら、それはまだ、勢力均衡という考えにとらわれているからです。その行き着く先には、日米関係が弱体化し、最終的にはあまり将来性の好ましくない強国の世界がアジアに出現するという、究極的な結果が待ち構えているかも知れません。 質疑応答Q:NATOモデルをアジアに当てはめると、最終的には日米安保体制の終焉をもたらすことになるかも知れません。何が民主的安全保障共同体への触媒モデルと成り得るのでしょうか。 A:私が考えているモデルは冷戦終結後のNATOです。触媒となるような脅威を介することなく深まる一連の関係や同盟です。触媒となるような脅威がアジアに存在しているとは思いません。北朝鮮はまだそのレベルに達していません。確かに、最近の展開で新たな段階に入りはしました。しかし、そういう状況であるからこそ民主的安全保障共同体が適切なのです。なぜならこの枠組みによって、関係を深めると同時に、触媒となるほどではないけれど懸念が高まりつつある脅威に対処できるからです。 もう1つの迫り来る脅威は中国です。中国を地域的または世界的な制度に組み込んでいく方法を考えなければなりません。主として経済戦略・政策の側面からその努力が行なわれています。しかし、我々との間に存在するあらゆる種類の紛争を放置したまま成長を続ける中国にどう対処すればいいのでしょうか。我々は中国を世界経済に統合するでしょう。しかし中国がより強大でより敵対的な道を選択するなら、我々の同盟も維持するでしょう。そしてその時点で中国を封じ込めることができるでしょう。 もし中国が触媒となるほどの脅威になるなら、我々は防衛を維持・強化しなければなりません。その際、二国間から三国間、さらに多国間の同盟に移行できるでしょうか。困難ではありますが、可能です。日韓関係における協力と信頼はより強化されなければなりません。民主的安全保障共同体における共通価値は、日本と韓国の間に存在する政治的な摩擦を癒すすべを引き出せるような財産をもたらしてくれると思います。ヨーロッパの経験をそのままアジアに当てはめるわけにはいきませんが、少し調整すれば適用できる概念はあります。 Q:もし脅威が決定的な要素でないとしたら、民主的安全保障共同体と民主的共同体の違いは何ですか。触媒となるほどの脅威という点に関連して、もし価値がそれほどまでに重要であるなら、価値に対する脅威がまさしくその要素なのではないでしょうか。 A:共同体は国際的な制度に基づくものですが、その制度とは、差し迫った脅威や実在する脅威がないものの、仮に脅威が生じたときには対応できるような(たとえば国際連合や国際連盟のような)集団安全保障モデルです。それは理想的な概念です。野心的ではあるけれど脆弱な枠組みです。安全保障共同体は民主的価値を有しない国家の間にも存在し得ます。軍事力を正当化する基準さえ合致すればいいのです。19世紀のロシア、プロシア、オーストリアによる神聖同盟がその例です。単なる安全保障共同体と民主的安全保障共同体の主要な違いは民主主義国が有する公開性と透明性です。民主的な国家では、国内の意思決定プロセスの透明性を保つべく、競争的で多元的な政治、抑制と均衡のとれた政治が行なわれています。 Q:この地域における制度を進展させることには反対でしょうか。 A:多国間主義に向かうと日米関係のような二国間関係に基づく制度が弱体化するという受け止め方をする方々がいます。しかし私が提唱する多国間関係は二国間関係を土台に成り立つものです。日米関係が強固な今は、二国間関係を土台とした多国間関係の構築について語るのにいい時期だと思います。アジアにより強力な制度が出現することを前提にしてはいないものの、決して拒否するものではありません。 Q:非常に強力なアメリカとの民主的安全保障共同体において、どうやって他国をアメリカと均衡な状態にもっていくのでしょうか。あるいは、そういう均衡は必要ないとお考えですか。 A:民主的安全保障共同体の利点の1つは、アジア各国間およびアジア全体とアメリカの間における、より均衡のとれた勢力分配について考える土台を与えてくれることです。やがて勢力は均等に分配されることになるでしょう。それは市場の機能です。この枠組みはアメリカの優勢、とりわけ経済的優勢を超越して想定し得ると、私は考えています。軍事力の問題は概ね日本とその他のアジア諸国が決めるべきことがらです。どの程度この地域で展開し、この地域におけるアメリカに対しどこまで抑制と均衡を図るか、ということです。アメリカとしては、軍事的には単独で世界を牛耳ることを望むでしょう。これはより単純ではありますが、来世紀中にそういうことになっているとはとても思えません。もっぱらアジア諸国次第で決まるのです。ヨーロッパ諸国次第であったのと同じです。アメリカが決断に駆り立てるべきではありません。 Q:アジア諸国が民主的安全保障共同体に向かう場合、中国はどう反応するでしょうか。 A:民主的安全保障共同体は外部からの脅威に対抗して形成されるものではありません。同盟の場合と違って、中国にとって差し迫る脅威となるわけではありません。防衛問題について若干心配が出てくるかもしれませんが、同時に中国に働きかけ、地域・世界経済システムに中国を組み込むことができます。中国を世界経済に取り込もうとする政策はアメリカで超党派的支持を得ており、日本も支持を表明しています。中国の側に立ってみると、日米の同盟関係強化が目につき、悩みの種となるかもしれませんが、そのことによって地域・世界経済システムへの参画が阻まれるわけではないことにも気付くでしょう。中国は「片方の利点を活かせるうちは、もう片方の問題は無視しよう」と考えるのではないかと思います。中国にしてみればいい取引です。我々の防衛関係の発展をないがしろにしたくない理由は、仮に、中国を開かせようとしているこの時点で我々の防衛関係の発展をないがしろにし、中国が強大化し我々の利害に対し敵対的な行動に出た場合、もはや同盟関係を回復することはできず、中国の勢力に無防備なままさらされることになるからです。 Q:ナショナリズムはどうなりますか。 A:我々の社会には他の力が存在し、その力は武力行使に関してどういう意思決定をするかを決める上で、ある意味において競合しています。その1つに伝統的な文化的アプローチがあります。もしアジアが共通の政治的価値よりナショナリズムを重視する方向に進化するとすれば、民主的安全保障共同体はアジアでは形成されないでしょう。おそらくかつての勢力均衡システムが再度出現するでしょう。ナショナリズムはその土台となるからです。それがアジアの現実であり、今はヨーロッパのというよりアジアの脅威なのです。しかし30年、40年前には、ヨーロッパにおいてもナショナリズムが勃興していました。ナショナリズムが弱まることを願います。とりわけ日韓関係においてそうなってほしいと思います。アセアンや中国との関係についても同様です。 このBBLは英語で開催されたものです。(原文を読む) この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム (2016-2019年度) プログラム (2011-2015年度) 政策研究領域 (2006-2010年度) 経済産業省共同プロジェクト プロジェクトコンテンツ 調査 フェロー(研究員) 論文 ディスカッション・ペーパー(日本語) ディスカッション・ペーパー(英語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(日本語) ポリシー・ディスカッション・ペーパー(英語) テクニカル・ペーパー(日本語) テクニカル・ペーパー(英語) ノンテクニカルサマリー 英文査読付学術誌等掲載リスト Research Digest 政策分析論文 調査レポート 論文検索サービス 出版物 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