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村上春樹/著  村上春樹の10作目の長編小説。15歳の少年(田村カフカ)が、不思議な世界を行き来しながら、心の成長を遂げていく物語。少年は、「お前はいつか自分の手で父親を殺し、母と姉と交わるだろう」という呪いから逃れるために、15歳の誕生日に家出をして東京都中野区から高松に向かう。少年と同じ中野区に住む猫語を話すことのできる知的障害の老人は、「猫殺し」の男を殺害して東京を離れ、トラック運転手の青年の力を借りて高松に向かう。物語はパラレルに進行し、「入口の石」を介して交わる。少年が母親であると仮説する女性の19歳のときに自作し大ヒットした曲「海辺のカフカ」と「海辺の少年」の油絵が、時空を超えて二人の愛を繋ぎ、少年は新たな人生をスタートする。   ある男(文春文庫 2021) 平野啓一郎/著  著者は1999年に当時最年少の23歳で第120回芥川賞を受賞。分人主義という新しい近代的な個人の概念、「環境や他者との関係性で“様々な自分 = 分人” が存在し、“あるべき唯一の自分=本当の自分”という中心は存在せず、一人の人間は、複数の分人のネットワークで出来ている」と提唱。  2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた離婚歴のある女性が長男とともに故郷の実家に帰り、林業に就業する心優しい移住者と再婚。新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭生活を送っていたが、夫は突然の事故で命を落とす。死後、夫は、本人が語っていた過去とも戸籍とも全く異なる別人であった。相談を受けた、以前に離婚調停を担当した弁護士が、過去を変えて生きる男たちの実像を明らかにしていく。その過程での様々な人間模様を描いた作品。     小田慈副学長の読書ノート フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか(ポプラ新書 2020) 堀内都喜子/著  我が家のお隣にフィンランド人一家が住んでいます。二人のやんちゃな男の子は、我が家に入りびたりです! フィンランドは3年連続幸福度世界一と評価されている北欧の国です。仕事も休みも大切にして自分らしく生きる~参考になれば幸いです。               看護学科 上山和子先生の読書ノート 1話1分の脳トレ 齋藤孝の音読de名著(宝島社 2019) 齋藤孝/著  音読の勧めとして、1話1分の脳トレとして勧められています。高齢社会を迎えて、機能を維持していくために普段の生活に用いられることを提案しています。①認知症を防げる。②誤嚥性肺炎を予防できる。③不安な気持ちが消える。これは脳への刺激として読むだけでなく、音読として用いられることによって文学書にも関心を持つ書としても取り上げています。 スマホ脳(新潮新書 2020) アンデシュ・ハンセン/著 久山葉子/訳  2020年以降のコロナ禍において、デジタル化進む中で、私たちの身体機能におこっていることに警笛をならし、テクノロジーを上手に活用しながらの生活の勧めに触れた書である。特に集中力の持ち方、短期記憶と長期記憶への影響など、中々興味深い話題に触れています。さらにストレスに強くなるために適度の運動と十分な睡眠の大切さを説いています。         新説 家康と三方原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く(NHK出版新書 2022) 平山優/著  家康の三方原合戦での戦い方から、絶体絶命の時期をどのように過ごしてきたのか、あらゆる角度から検証した書である。徳川家15代将軍の経緯については、色々な書が出版されている。三方原合戦から450年を経過した2022年、改めてその戦い方を振り返った書である。色々な視座から読み解いてほしいことを提案しています。           金山時恵先生の読書ノート 育てられない母親たち(祥伝社新書 2020) 石井光太/著  育児困難や虐待が現代を象徴する社会問題の一つであることはご存じのことかと思います。なぜ、虐待や育児困難な状況が生じるのか、24の実例を多面的に掘り下げ、現代の社会病理を描いています。一つひとつの事例は複合的な諸問題を抱えており、一側面から捉えるのではなく、多方面から捉え問題の構造を正しく知ることから始まります。現状を捉え、私たちに何ができるのかを考えることができると思います。       発達障害「できないこと」には理由がある!(講談社 2022) かなしろにゃんこ。/著  発達障害を抱える人には、「集団行動」「運動や細かい作業」等周りからみて「できないこと」があります。著者の20代になった息子さんの小学校の頃の様子を思い出し、ありのままを漫画で描かれています。「できないこと」には理由(ワケ)があります。関わる私たち支援者は、支援を必要とする人の主体性を奪うことなく、たとえできなくても、そこから何かを学ぶという力を信頼することが大切であると思います。       「発達障害」と言いたがる人たち(SBクリエイティブ 2018) 香山リカ/著  この本の著者は、現役の精神科医です。著者の診察時や相談を受けた人たちからの実例から、「もしかして、私も発達障害かも」と言いたがる人がいるというその存在に気づきこの本が書かれています。おとなの発達障害も増加していると言われていますが、個性なのか、生きづらさはどこにあるのか等は発達障害を取り巻く社会的な現象を知ること、そして、私たちはどのように向き合い、どのように考え、どのように対処すればよいのか書かれています。           四宮美佐恵先生の読書ノート 仕事も人間関係もうまくいく 放っておく力(知的生きかた文庫 2021) 枡野俊明/著  「放っておく力」のある人は、人間関係に振り回されることがなく、仕事に前向きに取り組め、毎日を快適に過ごすことができます。放っておいていいことは放っておくことで、頭や心がすっきりし、目の前の大事なことに集中でき、わずらわしいことを最小限に抑えて、人生をより楽しく、快適に、健やかに生きることができるそうです。「放っておく力」の神髄は、「人事を尽くすして天命を待つ」の言葉に極まるとのことです。       ストレス脳(新潮新書 2022) アンデシュ・ハンセン/著  久山葉子/訳  最新の研究から心と脳の仕組みを明らかにし、精神的に元気でいるためには何をすれば良いのかを示してくれています。ストレス社会に生きる私たちの強い味方にもなる「ストレス」と付き合うための「脳の処方箋」とも言えます。その中の1つを紹介します。「楽しいと思える運動をする」ことです。運動をすることで、心の健康やストレス耐性、さらには、記憶力や集中力、発想力といった思考の能力に大きな影響を与えるとのことです。       頭のよさは国語力で決まる(だいわ文庫 2021) 齋藤孝/著  現代社会では、言葉を通じて意思のやりとりや感情のやりとりをすることがより精密になってきている為、「国語力」が必要です。「国語力」は人間性の礎であり、社会性の大本です。国語力の土台は「読解力」であり、読み解く力を鍛えていけば、「要約力」「伝達力」「コミュニケーション力」がつき、さらには、人の気持ちに寄り添える「共感力」が身につきます。読解力をつけるトレーニングとしての読書は、年間100冊程度とのことです。           矢庭さゆり先生の読書ノート 単身急増社会の衝撃(日本経済新聞出版社 2010) 藤森克彦/著  いずれ誰もが一人暮らしになる可能性を持っています。単身世帯の増加がもたらす社会への影響として、社会的孤立、孤独死等課題があがります。特に40~50代の男性の単身世帯が増加し、予備軍でもある未婚の子とひとり親家庭も増加しています。都市部も田舎も、地域コミュニテイづくりのためのしかけが必要となり、考えさせられます。         毎日は楽しい 楽しさと辛さとうれしさにあふれる高齢者とその家族の日々(日本工業出版 2022) 小島操/著  人が歳を取っていくことは確実なことです。生きる日々、ひとは前を向ける、生きているから応える、「聴いて」ほしい、その人の強さが見える時、母と娘の日々、母はいつまでも母、これでよかったと思った日、地域で支える等の短編が50話掲載されています。いずれも、人と関わることの奥深さを感じます。一度読んでみてください。       ご飯が食べられなくなったらどうしますか? 永源寺の地域まるごとケア(農山漁村文化協会 2015) 花戸貴司/文 國森康弘/写真  5年前に読んだ本を再読しました。滋賀県東近江市の医師である著者が日常の会話のなかで、ごく自然に問いかける「ご飯が食べられなくなったらどうしますか?」により、永源寺地域のまるごとケアがスタートします。地域で暮らす人々の生活風景がふんだんに掲載されています。思わず地域で保健師をしていた頃を懐かしく思い出しました。           原田信之先生の読書ノート 背進の思想(新潮新書 2022) 五木寛之/著  作者は2022年で90歳になったにもかかわらず、旺盛な執筆意欲を持ち、様々な世の中の出来事について自分の思いをつづっている。計36編の短いエッセイが収録されており、空いた時間がある時に気楽に読むことができる。「奇妙な一体感の喪失」というエッセイの末尾に「コロナが去り、すべての人がマスクを外す時代は、はたしてどんな世の中になるのだろうか。」と記しているが、本当に、どんな世の中になっているのだろうか。       農業フロンティア 越境するネクストファーマーズ(文春新書 2021) 川内イオ/著  2017年の調査で就農10年以内の新規参入者に就農後の農業所得を聞くと、「食えない」と答えた人が75.5%にのぼったという。農業は「食えない」職業なのであろうか。本書では、電力会社社員、広告代理店経営者、産業用機械エンジニア、NGO職員、民俗学者、仏画師、市場の牡蠣売りなど、様々な職業に就いていた人たちが、大胆な発想で「食える」農業を行う実例を紹介している。未来を担う若者たちに是非読んでもらいたい本である。       「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か(集英社新書 2022) 久保(川合)南海子/著  人間は、自らをとりかこむ物理的な世界をより深く豊かにするために、プロジェクション(投射、投影)というこころの働きを備え、モノの世界を自分で意味づけて生きているという。作者は、「推し」に救われたという経験は、プロジェクションがもたらす事象そのものだと述べる。マンガやアニメの「実写化」の問題、子どもたちとぬいぐるみが一緒に図書館へ来てすごす「ぬいぐるみのお泊まり会」など興味深い事例が紹介されている。     土井英子先生の読書ノート 手の倫理(講談社 2020) 伊藤亜紗/著  「触れる」「さわる」という触覚は人間関係に大きく影響を受けるという「倫理」若黙して書かれた書物です。コロナ禍だからこそ、「信頼して相手に身をあずけると預けた分だけ相手を知ることができる」という言葉から想像できる「手の倫理」についてケアを専門とする学生の皆さん是非お読みください。       実践知 エキスパートの知性(有斐閣 2012) 金井壽宏、楠見孝/編  勝原裕美子氏による看護師の実践知について執筆されています。看護師の知はどのように獲得され看護師の知はいかに継承されるのか、看護のエキスパートになる道すじに、シュミレーショントレーニングの有用性が記述されています。 「平穏死」という選択(幻冬舎ルネッサンス 2012) 石飛幸三/著  食事が食べられなくなった高齢者へ輸液や胃ろうによる人工的な栄養補給から自然な死へと、救急医療の現場から特養の高齢者を診るようになった医師が、人生の最期を平穏に迎えるためにはどのように高齢者や家族が医療を選択すればよいのかを問いかけた書物です。口から食べる幸せを考えさせられます。     木下香織先生の読書ノート ユマニチュードへの道 イヴ・ジネストのユマニチュード集中講義(誠文堂新光社 2022) イヴ・ジネスト、本田 美和子/著   ユマニチュードに関する書籍はこれまでにもご紹介してきました。授業(臨床コミュニケーション論:ユマニチュード学習会)を通じてユマニチュードに関心を寄せ、実習の場面で試みているかたも多く、うれしく思います。そんなあなたにこの本をお薦めします。タイトルのとおり、講義のように語りかけ、問いかける文章で、自分の言葉で質問に答えながら、ユマニチュードの哲学にふれ、理解が深まります。       おじいちゃんの手帳(クリエイツかもがわ 2020) 藤川 幸之助/さく よしだよしえい/え  絵本 子どもに伝える認知症シリーズ(全5巻)の一冊です。授業は、認知症の母を介護された藤川幸之助氏の詩を用いて理解を深めてもらう場面がいくつかあります。その中のひとつ『マザー』に収録されている詩「手帳」が、子どもたち向けにおじいちゃんを主人公に描かれた絵本です。手帳をひろげて自身の存在を確かめるあの場面もありますが、お孫さんのぼくを通して自身の存在を、誇りを確かめられていて、ほっこりします。 認知症世界の歩き方 認知症のある人の頭の中をのぞいてみたら?(ライツ社 2021) 筧裕介/著  100名の語りをもとに、認知症の人の体験が「旅のスケッチ」と「旅行記」としてまとめられ、私たちは「旅人」として世界を知っていきます。認知症によって、食事や入浴、コミュニケーションなど日常のさまざまな場面で困難が生じますが、その困難を私たち目線ではなく、認知症の人の目線で理解できる手掛かりになると思います。世界の理解が深まることで、今よりも認知症の人に寄り添えるようになるかもしれないですね。           栗本一美先生の読書ノート 災害看護でまちづくり 西日本豪雨の被災地・真備 ある訪問看護師の巻き込み型復興(木星舎 2022) 尾野寛明、片岡奈津子/著  2018年7月6日の西日本豪雨を皆さんも覚えておられることと思います。この書籍は、忘れてはならない災害の記録です。西日本豪雨の被災地となった倉敷市真備町にある訪問看護ステーションの当時管理者であった著者が、災害発生時に自らも被災者でありながらも訪問看護の利用者の安否確認や真備地区の住民の健康を守る復興活動をしていく、災害看護のありのままの姿が掲載されています。  災害はいつ起こるかわかりません。常日頃から、私たちが防災意識を持って動くこと、そして、皆が支え合いつながり合う意識をもって過ごすことが大切ではないでしょうか。それが、減災につながると思います。 夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク(文響社 2022) 水野敬也/著  夢をかなえるゾウシリーズの5作目。「夢とは何か?」「夢は本当に必要なのか?」を解き明かす内容になっています。ガネーシャ(象)の生い立ちや、ガネーシャと夢を食べるバクが、夢がないという主人公に夢を見つける課題を出して主人公がこなしていく物語です。本当の夢とは何か。夢を持つことのメリットとは。夢を持つためにはどうしたらいいか等々。終わりのページには、ガネーシャの教えがまとめて書かれており、ひとつひとつの言葉が心に響きます。夢を持ち続けて人生を歩きたいですね。     在宅医療と「笑い」 大切な今をより前向きに生きる(幻冬舎メディアコンサルティング 2021) 宮本謙一/著  地域包括ケアシステムが打ち出され、在宅医療にシフトしてきています。在宅医療は、患者さんが住み慣れた環境で、自由にのびのびと過ごせるという大きなメリットがあります。しかし、うまくいかないときもあります。そんなときに必要なのが「笑い」という考えです。著者は、在宅療養支援クリニックの医師であり、療養者とご家族が「在宅医療を選んだ良かった」と実感して頂くことを願い、日々「笑い」という要素を心がけるという考えの方です。本書では、実際の事例のエピソードを織り交ぜながら在宅医療のメリットや笑いがもたらす効果について書かれており、「笑い」によって在宅療養が前向きなものになることを伝えています。     礒本暁子先生の読書ノート 収容所から来た遺書(文春文庫 1992) 辺見じゅん/著  第二次世界大戦終戦後、捕虜としてシベリアの極寒と飢餓、いつ終わるとも知れない重労働のなかで、祖国に帰るという強い意志を貫くために、希望と尊厳を守り抜いた山本幡男の物語です。病に倒れた山本の遺書は検閲で没収されますが、ともにラーゲリの日々を乗り越えた同志によって、記憶として遺書を家族のもとに届けられました。人に生かされ、人を生かすことを、長い時間をかけて廻るのが人生なのかもしれません。       「獣の奏者」シリーズ(講談社文庫、2009~2012) 上橋菜穂子/著  母を亡くした少女エリンと王獣リランを軸にした数十年にわたる物語です。理想と現実の狭間で葛藤し、自分の理想とは違う現実と向き合いながらも、前に進もうとする姿が深く印象に残りました。         天皇の料理番(集英社文庫 2015) 杉森久英/著  明治生まれの男の子がカツレツと出会い、大正、昭和の時代に西洋料理人を目指します。時にコントロール不能となる彼の熱意や情熱にやきもきしますが、努力と工夫、そして才能を見出し、支えてくれる多くの人との出会いによって、宮内省主厨長になります。これほどに情熱を注げるものに出会い、周囲の支えがあるのは幸せなことだなと思います。     塩見和子先生の読書ノート 人口革命 アフリカ化する人類(朝日新聞出版 2022) 平野克己/著  今世紀中に世界人口の半分がアフリカ人になるそうです。これは日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所上席主任調査研究員の平野氏によるものです。その背景には農業の問題があり、出生率が下がらない要因があるとのこと。アフリカ人が移民として世界中に広がる未来に対してどのような準備をしておくべきか、国際社会問題から身近な地域の問題など、多様な側面から考えてみるよい機会になりました。       人はなぜ握手をするのか 接触を求め続けてきた人類の歴史(草思社 2022) エラ・アル=シャマヒー/著 大川修二/訳  人類史における握手の起源は700万年以上前にさかのぼり、その生物学的な意味はほとんど知られていないそうです。握手の仕方も多様で進化しながらスポーツ、ビジネス、政治の世界において重要な役割を果たしてきたそうです。人間があたり前のように行っている握手の意味を教えてくれます。         家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている(白揚社 2021) ロブ・ダン/著 今西康子/訳  家一軒の中には多様な生物が生息して、そこに生態系が成り立っているそうです。以前、風呂場のシャワーヘッドの問題は聞いたことがありますが、生き物の宝庫とは驚きました。家の中でクモやカマキリを見つけた時には、どこでどうやって生きているのかな?と思ったことがあります。家の中に生命があふれている現実を知ると、今行っている掃除の仕方が変わるかもしれません。           郷木義子先生の読書ノート 聞く技術 聞いてもらう技術(ちくま新書 2022) 東畑開人/著  著者の専門は臨床心理学、精神分析、医療人類学である。日々の臨床で「話を聞くことができず困っている人たちと、話を聞いてもらえず苦しんでいる人たち」と向き合っている。「聞く」は「聞いてもらう」に支えられていると指摘している。「聞く」の不全が社会を覆っている現代だからこそ「聞く」を再起動する必要性を述べている。対人支援の専門職としてのコミュニケーション力を高めるためにぜひ読んでみてほしい1冊である。         東大式 アイデアがいままでの10倍出せる思考法(知的生きかた文庫 2020) 中尾政之/著  著者は東大大学院教授で失敗学、想像学のエキスパートとしてメディアでも活躍されている。今多くの日本人が「想像」や「創造」をしなくなった。これは、個人にとっても、日本経済や文化にとっても不幸なことである。と指摘している。そのうえで、チャレンジを繰り返したり、冒険心を持つ人間が育つ社会を作りたいという願いが書かれている。本書を読んで、学生の皆さん一人一人が前向きな思考になってほしいと願い本書を推薦します。           矢嶋裕樹先生の読書ノート システム思考 複雑な問題の解決技法(東洋経済新報社 2009) ジョン・D.スターマン/著 枝広淳子、小田理一郎/訳  問題を生み出す原因を特定し、それを取り除いたとしても、その問題が解決されるとは限らない。それどころか、かえってその問題が悪化したり、それとは別の問題が引き起こされたりすることもある。問題を解決したければ、世界を複雑な「システム」として捉え、その全体像と挙動を理解し、システムそのものの改善を図る必要がある。システム・ダイナミクスを理解するための図式化ツールの描き方なども紹介され、大変参考になる。       英語流の説得力をもつ日本語文章の書き方(創拓社出版 2009) 三浦順治/著  パラグラフ・ライティング(段落書き)は、メールやレポート、報告書・論文など、論理的な文章を書く人々が習熟しなければならない「技術」である。それゆえ、特別な能力や才能は必要なく、正しく理解し、練習すれば、誰でも身に付けることができるという。論理的でわかりやすい、説得力のある文・段落・文章の書き方が豊富な例文とともに解説される。練習問題も多くあり、実際の書き方を練習できるようになっている。 自分の体で実験したい 命がけの科学者列伝(紀伊国屋書店 2007) レスリー・デンディ、メル・ボーリング/著 梶山あゆみ/訳  命の危険を顧みず、自分の体を使って実験した科学者の物語である。放射線療法への道を開いたキュリー夫妻、自分の体で心臓カテーテル法を成功させたヴェルナー・フォルスマン、黄熱の感染経路を解明したジェシー・ラジアなど、医学の進歩に大きく貢献した人物も取り上げられている。「訳者あとがき」にも書かれているが、好奇心に駆られて、真似することがないように注意してほしい。         山本智恵子先生の読書ノート マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界(文響社 2021) 川畑智/著 浅田アーサー/漫画 マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界2(文響社 2022)川畑智/著 浅田アーサー/漫画  65歳以上の高齢者の6人に1人が認知症の有病者と言われ、私たちは専門職としてだけでなく、日常生活でも認知症の方との関わりも増えてくると思います。そんな時にこの本を読んでいるのといないのとでは、対応が全く違うと思います。認知症の方の気持ちを少しでも理解できるだけでなく、対応する自分自身の心に余裕が生まれること間違いなしです。長い人生を歩んできた方への敬意をもって話ができる専門職になってもらいたいです。   入浴は究極の疲労回復術 おうち時間を快適に過ごす(山と溪谷社 2021) 早坂信哉/著  著者は医師で、長年にわたる入浴の研究で明らかになったことをわかりやすく説明してくれている本です。最近は湯船につからず、シャワーで済ませる人も多くなっています。しかし、毎日湯船につかって入浴することで将来介護が必要な状態になるリスクが3割も減らせ、健康寿命が延ばせると書かれており、専門職としてもっておいても損はしない知識だと思います。効果的な入浴をし、疲労回復につながる入浴習慣を身につけましょう。     山野井尚美先生の読書ノート 死ぬまで、働く。 97歳・現役看護師の「仕事がある限り働き続ける」生き方(すばる舎 2021) 池田きぬ/著  1924年(大正13年)生まれの筆者は、女学校卒業後に看護婦養成所を卒業し、海軍療養所に看護要員として招集されます。戦後は、企業の保健師や精神科病院の総婦長としても活躍されますが、生涯現役で看護師として勤務され、訪問看護やグループホームなどを立ち上げられました。何よりすごいのは、88歳で介護施設に就職され、97歳になった現在も、仕事がある限り働き続けておられるということです。看護職を目指す学生の皆さんに、人生100年時代「世の中で一番楽しく立派なことは一生を貫く仕事を持つということです」という大先輩からのエールを受けとってください。     やる気を科学する 意欲を引き出す「MSQ法」の理論と実践(KAWADE夢新書 1998)JTBモチベーションズ研究・開発チーム/著  「やる気」はどうしたら起きるのか、勉強や仕事にやる気が出ないという悩みを持たれた方は少なくないのではないでしょうか。この厳しい時代に生き残るためにも、高いやる気とやる気のあるスタッフをどう引き出すか考えたことはありませんか。筆者たちグループは、このやる気を科学的に分析し、「適職」「人間関係」「自己表現」などのキーワードを抽出しています。意欲を引き出す「MSQ法」の理論と実践が詰まった1冊です。自分の傾向を分析し、「やる気」を持ちながら生き活きと日々を過ごす参考にしてください。 保健師の継承語り 晴れの国おかやまから(ふくろう出版 2012) 全国保健師長会岡山県支部/編  保健師になりたい方、必見の1冊です。保健師のアイデンティティの確立と健康課題の解決に向けた専門能力を高めるために、保健師の活動ってこんなことを住民とともにやっているんだ、私も保健師として公衆衛生看護活動を頑張ろうと思える10の物語を掲載しています。事例を語った保健師は、今まで積み上げてきた活動を振り返り、この物語には理念や原則も含まれています。岡山県の保健師たちの保健師魂と情熱を感じていただき、明日への活力にしてください。     真壁五月先生の読書ノート フィジカルアセスメントがみえる(Medic Media 2015) 医療情報科学研究所/編  バイタルサイン、呼吸、循環、神経などの見方がイラストと写真を使ってわかりやすく書かれています。「病気がみえる」シリーズの姉妹版です。看護学生・新人看護師の皆さんにお勧めです。         ICUナースが書いた 人工呼吸器離脱のアセスメントがもっとできるようになる本(照林社 2022) 木村理加/著 宮崎裕也/医学監修  人工呼吸器離脱の前に、何をどのように観ればよいのかについてイラストや写真を使って丁寧に説明されています。人工呼吸器を装着している重症患者さんの看護にももちろん活用できます。胸部レントゲン写真の見方など、教科書に載っていないことについてもポイントが書かれています。         フィッシュ! 鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方(早川書房 2021)スティーヴン・C・ランディン[ほか]/著 相原真理子、石垣賀子/訳  少し古い本ですが今でも読み継がれています。主体的に楽しく仕事をするために意識すべきことについて事例を用いて書かれています。仕事をする際、自分自身がどのようにあればよいか、そして組織の管理者になった際には、どのような管理者であればよいか教えてくれます。シリーズでいろいろ出版されています。             安田陽子先生の読書ノート 教養としての「労働法」入門(日本実業出版社 2021) 向井蘭/編著  労働者の視点で、労働法を正しく知ることで自分が持っている権利や課せられている義務について知ることができます。また、高齢化の進む社会において高齢者雇用の特徴と法政策についても書かれており、自分のライフサイクルに応じた長期的な働き方についても考えるきっかけになると思います。 未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること(講談社現代新書 2018) 河合雅司/著  人口減少の日本における25年後の社会を覗き見る『あなたに起きること』が書かれています。私自身はその時、おばあちゃん大国日本で "80代ガール"として人生を楽しんでいると思っていますが、そのためのこれからの人生プランをどう描いていくかを考えるきっかけとなりました。まさに今後身に迫る事態について、あるある!と笑い事だけではすまされません。         オキシトシンがつくる絆社会 安らぎと結びつきのホルモン(晶文社 2018) シャスティン・ウヴネース・モベリ/著 大田康江/訳  出産や授乳に関係するだけでなく、温もり、触れ合い、およびタッチによって放出されるオキシトシンの穏やかな落ち着きとリラックス効果について様々な寄り添いからまとめられています。出産や医療、ケアに携わるひとたちへ。     丸山純子先生の読書ノート 災害看護でまちづくり 西日本豪雨の被災地・真備 ある訪問看護師の巻き込み型復興(木星舎 2022) 尾野寛明、片岡奈津子/著  2018年7月6日「西日本豪雨」により被災した倉敷市真備町「そーる訪問看護ステーション」が、復興と地域への防災意識を浸透させていった具体的な内容が記載されています。災害看護の活動を可視化・体系化し、次の災害に備えることの重要性や中・長期の災害看護の難しさについて、とても考えさせられました。同時に、ヒアリングやアンケート調査に時間も気力も奪われ疲弊していく「調査地被害」も発生していること、「悪気なく、よかれと思って迷惑をかける人」が減るような啓発活動の必要性についても勉強になります。 その幸運は偶然ではないんです! 夢の仕事をつかむ心の練習問題(ダイヤモンド社 2005) J.D.クランボルツ、A.S.レヴィン/著 花田光世[ほか]/訳  原著は「Luck is No Accident」。人生には予測不可能なことの方が多く、遭遇する人々や出来事の影響を受け続ける状況の中、結果が分からない時でも、行動を起こして新しいチャンスを切り開くこと、オープンマインドで偶然の出来事を最大限に活用することが大切だと気づかされます。  キャリアを考える中で、学生時代に読んでいただきたい1冊です。       カレーライス(新潮文庫 2020) 重松清/著  「ぼくは悪くない。」の言葉から始まる短編小説。子ども扱いしてほしくない、という反抗期にさしかかる主人公のひろしくんと家族の物語です。親になってから読むと、主人公ひろしくんの視点に加え、交代制での夕食作りなど共働きしながらも子育てに必死に奮闘している父親や母親の視点からも読み込むことができました。また、小学校の教科書にも掲載されていると知り、娘との話題に花も咲きました(当時、音読を聞いてあげられなかった反省もあり、子育て中の働き方についても考えさせられました)。  その他8編の収録集です。教職を目指す方はもちろん、みなさんの大切な家族や友人たちの声がよみがえってくると思いますので是非手に取ってください。     吉田美穂先生の読書ノート 生存する意識 植物状態の患者と対話する(みすず書房 2018) エイドリアン・オーウェン/著 柴田裕之/訳  植物状態になった人に意識があるということを科学的に証明していくという内容です。この本の興味深いところは、植物状態の対象者が著者の元恋人であるということ。別れたあとに植物状態になってしまったという事実に驚きました。脳科学研究に関する内容なので、一見、難しいと思うかもしれませんが、著者自身の回想録という形でまとめた1冊であり、とても読みやすいと思います。       不幸論(PHP文庫 2015) 中島義道/著  世の中には幸福論が数々あるが、私には総じて面白くない。私は幸福論を読んで幸福になった経験がない。という著者。世の中に溢れている幸福論を引用し、なかなかきわどい切り口で語られています。読者に共感してほしいとは思っていないであろう語り口が面白かったです。決して読みやすい本ではないのですが、幸福とは、不幸とはということをじっくりと考えたい人には読んでもらいたい1冊です。       決められない患者たち(医学書院 2013) ジェローム グループマン、パメラ ハーツバン/著 堀内志奈/訳  現役医師のご夫妻が様々な患者や医師にインタビューを行ってまとめたものです。自分自身が患者側になったときの体験なども盛り込まれています。タイトルから決められない患者が悪いということを想像する人もいるかもしれませんが、決してそのような内容ではなく、患者それぞれの意思決定プロセスがあるということを理解できます。医療で話題になっている意思決定における理論について考えを深めることができると思います。     西川由貴子先生の読書ノート 災害看護でまちづくり 西日本豪雨の被災地・真備 ある訪問看護師の巻き込み型復興(木星舎 2022) 尾野寛明、片岡奈津子/著  訪問看護に携わり、在宅看取りに関心を抱き、2016年9月1日、真備町に「そーる訪問看護ステーション」の設立を成し遂げた片岡さんは、その2年後、西日本豪雨災害で自宅も事業者も被災を経験してしまいます。発災当時、避難所をまわり、利用者さんの安否確認をしながら事業所を再建していく姿が垣間見ることができ、在宅避難のための「支援物資の配布」「エンリッチカフェ」の居場所づくりなど支援の輪の大切さに気づかされます。この本には、災害を経験し、乗り越えてきたからこそ得てきた財産もあることを感じさせてくれる本です。 さとりをひらいた犬 ほんとうの自分に出会う物語(SBクリエイティブ 2021) 刀根健/著  主人公の猟犬・ジョンが様々な出会いを経て、ほんとうの自分に目覚めていく物語です。  「いまの自分は、ほんとうの自分だ」と、胸をはって言えるでしょうか。この物語は、読み手をぐいぐいと引き込んでいきます。ジョンが「ほんとうの自分」「ほんとうの自由」を探しに、伝説の聖地であるハイランドを目指し、旅の途中、いくつもの困難を乗り越えながら、仲間や師との出会いを通じて導かれていく。私たち人間は、なんのために生まれ、どう生きるべきか生きる意味を教えてくれます。魂の声を聞くことができるかもしれません。   母性(新潮文庫 2015) 湊かなえ/著  母性とは何か?を語りかけながら、母親目線と娘目線で物語が進んでいきます。母として娘を思う気持ちが、見る角度によって全く違う色になること、また、娘として母を思う気持ちが、すれ違っていきます。読み終えたあと、なんともいえない複雑な気持ちになりました。ともに愛されたいと思う母親と娘だと、悲しい出来事があった時に、歯車がかみあわなくなっていくことにもなりかねないことを感じさせてくれます。娘に対し、親であるということは、無償の愛を娘に注ぎ、いつまでも愛する母親でいたいと心から思います。人の心の動きについても深く知れる機会になれる1冊です。     山本裕子先生の読書ノート もしあと1年で人生が終わるとしたら?(アスコム 2021) 小澤竹俊/著  毎日忙しく生活していると、つい身近にいる人に雑な態度や言葉を投げかけてしまっている私。あと一年で人生が終わるとしたら?と考えてみると今の生活は当たり前ではなく、「幸せ」なんだな、「感謝」しなければいけないことが山ほどあるなということに気づきました。同じ景色なのに本を読んだ後では見える景色が違いました。     ひとまず上出来(文藝春秋 2021) ジェーン・スー/著  日常生活の中でふと思う口に出さないこと、時間が経てば忘れてしまうようなことってたくさんあると思います。ジェーン・スーさん、私にとっては通り過ぎてしまうような出来事を取り上げ、とても軽快なリズムでその時感じられたことを書かれています。「そうそう!」「同じこと考えるんだ」と、とても身近に感じました。友達が新しくできたような気分になりました。       限りある時間の使い方(かんき出版 2022) オリバー・バークマン/著 高橋璃子/訳  毎日「1日48時間あったら良いのに」とぼやいている私に持ってこいと思い、手に取った1冊。どんな風に時間を使うのかなと読み進めると、「時間には限りがあると自覚すること」でした。「時間は有限、努力は無限」なのだなと再認識し、できなかったことに罪悪感を感じるのはやめて、まずは意識を変えてみようと思った1冊でした。           宮武一江先生の読書ノート 生きていくあなたへ 105歳どうしても遺したかった言葉(幻冬舎 2017) 日野原重明/著  生涯現役の医師として活躍された日野原重明氏による最期のメッセージが記された著書です。先生の紡ぐ言葉は実生活に寄り添い素直に受け取れ、心穏やかな気持になれます。  生きていくことに疲れを感じることもありますが、そんな時に何度も読み返したい1冊です。 もうじきたべられるぼく(中央公論新社 2022) はせがわゆうじ/作  TikTokの読み聞かせ動画で300万回再生された話が書籍化されました。冒頭から「ぼくはうしだからもうじきたべられるのだそうだ」と始まり、食べられることを受け入れた「ぼく」が最後に一目だけおかあさんに会いに向かったが……。子供に読み聞かせをしていた私も涙が出そうになりながら読みました。生き物をいただくということはどういうことなのか、深く考えさせられます。     きみのことがだいすき(パイインターナショナル 2022) いぬいさえこ/さく・え  優しい絵と言葉で紡がれた絵本です。どんな自分でもいいんだよという、無条件の愛を表現した温かい本。自分を癒す、真実の優しい言葉が詰まっています。人は必要とされることで自己肯定感が芽生え頑張れる、そんな忘れかけていた気持ちを呼び起こさせてくれます。これから親になる皆さんに読んでもらいたい1冊です。       中川彩見先生の読書ノート 20代で身につけたい5つの習慣(ロングセラーズ 2022) 川北義則/著  学生の皆さんに一読して欲しいと思った1冊です。社会に出ると、学生時代よりさらに多くの出会いを経験していくと思います。出会いの中で年齢に関係なく、素敵だなと思う人はいると思います。本書では「伸びる」という表現が使われていますが、素敵な人というのが伸びる人なのかなと思いました。皆さんにも是非、伸びる人になって欲しいなと思ったので、気になるcontentsからでも良いので一読してみてください。       バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則(かんき出版 2021) 柿内尚文/著  タイトルの問が出された場合、皆さんだったらどのように伝えますか?何度も読み直して実践に活かして欲しい1冊です。表紙に、地味だけど一生役立つ「伝わる技術」と小さく書かれています。「伝える」ではなく、「伝わる」というのがポイントだと思います。社会に出ると“伝えたつもり”で伝わっていないことも多くあります。コミュニケーション力、伝わる力は公私で必要なスキルなので、是非一読してみてください。       なぜかうまくいく人のすごい無意識(フォレスト出版 2018) 梯谷幸司/著  すごい無意識というタイトルに、無意識って意識やコントロールができるってことなのかな?と思った人は一読してみると面白いかも知れません。自身の無意識のクセ、パターンを知ることで新たな気づきを得て、無意識をコントロールできるようになるかもしれません。冒頭に、自己有能感と自己決定感がワンセットになってはじめて「自信」になると書かれています。自信を付けたい人は是非一読してみてください。         井上弘子先生の読書ノート 正欲(新潮社 2021) 朝井リョウ/著  不登校の息子を持つ検事と寝具店で働く特殊な性癖を持つ女性、自身の容姿にコンプレックスを持つ女子大生、ひとつ事件をとりまく重要人物たち、それぞれのストーリーが絡まり合う群像劇です。  ストーリー中には「多様性」「マイノリティ」「まともな側」「まともでない側」の言葉が多くでてきます。明るいストーリーではありませんが、終盤の「不安」と「繋がり」に希望を感じました。多様性とは何かを考えることができる1冊です。     ヤングケアラーわたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護(生活書院 2020) 澁谷智子/編  ケアの経験を当事者であった7人が書き下ろした、「わたしのストーリー」。ヤングケアラーは、「苦労」や「かわいそう」なのか。また、苦悩を乗り越え、いろいろあったけれど、経験を通して今の自分があると、精神力の強い人たちばかりなのか…。当事者達はそれぞれ自身の経験を丁寧に語ってくれています。一人ひとりが異なった経験があり、読み手側は「こうあるはずだ」と思い込まず、まず事実を知ることが大切だと感じた1冊です。       佐久間宣行のずるい仕事術(ダイヤモンド社 2022) 佐久間宣行/著  佐久間宣行さんをご存知でしょうか? この2年くらいはテレビ・YouTubeにとマルチに活躍されていますが、私が最初に佐久間さんを知ったのは深夜3時からのラジオでした。  笑いを生業にしているような巧みな言葉、大きな笑い声、一気に引き込まれました。なぜ、こんなに人を引き込む術を持っているのか……。 この本を読むと、ヒットを生むためには、視野を広く傾向を分析すること、世の中が何にfixするかの着目の仕方は、本当に勉強になります。         小林匡美先生の読書ノート 余命10年(文芸社文庫 2017) 小坂流加/著  タイトルを見たとき、どんな話しなんだろう?なぜ余命10年なんだろう?と興味を持ちました。主人公は20歳の時、余命10年と告げられます。そのため限られた時間の中で、恋愛はしないと決めていましたが、再開した同級生と時間を過ごしていきます。著者の方は実際に難病で、亡くなられており、内容はフィクションですが、著者の方の思いが込められているように感じました。 ふまんがあります(PHP研究所 2015) ヨシタケシンスケ/作・絵  日頃の大人の行動が子ども目線でかわいらしく書かれています。大人は夜遅く起きていたり、子どもにはしてはダメと言っていることをします。私自身も子どもの頃は、大人はずるいなと思っていたことを思い出しました。今は親になって逆の立場となったので、この本を読んで子どもの気持ちも考えて行動しないといけないなと思いました。大人には、クスッと笑える絵本です。       お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?(朝日新聞出版 2016) 臼井由妃/著  著者は3億円という借金を抱え、それをどのように返済していったかについて書いてあります。どんな事にお金を使い、どこを倹約していくべきなのか。大変な生活だったのかと思っていましたが、いかに心地よく過ごして倹約していくのか書かれていて、生活を見直したいときに読むとよいと感じました。             安藤亮先生の読書ノート 無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記(新潮社 2022) 山本文緒/著  直木賞の受賞作家である著者が膵がんのステージⅣと診断されてから、亡くなる直前までつけていた日記を書籍化したものです。時折ウィットに富んだ表現を織り交ぜながらも、ご本人の率直な思いが綴られています。医療職としてご本人とそのご家族とどのように向き合っていくべきか、あるいは自分が家族の立場だったならば等、様々な立場から読んでみるのもよいと思います。       シンクロと自由(医学書院 2022) 村瀬孝生/著  特別養護老人ホームの統括部長である著者が自身の介護現場での経験に基づき、認知症の方とのかかわりや、地域でいかに見守り、支えていくかなどについて、具体的なエピソードを交えて紹介されています。言葉の端々に著者の信念やあるいはその時に感じた葛藤や困難も赤裸々に表現されており、多くの示唆が得られるのではないかと思います。 アサーティブ・コミュニケーション(日経文庫 2022) 戸田久実/著  心理的安全性を実現するために有効なコミュニケーション方法であり、相手も自分も大切にした自己表現であるアサーティブ・コミュニケーションについて、本書では実践のための準備や表現のポイントなどについて具体的に述べられています。主にはビジネスの場において解説されていますが、様々な人間関係の場面で活用することができるのではないかと思います。             髙尾緑先生の読書ノート 悲嘆学入門(昭和堂 2022) 坂口幸弘/著  人は生きている限り、大切な人や仕事など様々な場面において喪失体験をする。その中でも悲嘆学の中核である「死別による悲嘆」に焦点を当てた、本格的な教科書。死別と悲嘆に関する幅ひろい知識や情報を提供し、基礎知識から最新の動向までを体系的に学ぶことができる。 段取り力(筑摩書房 2003) 斎藤孝 著  料理も家事も、仕事も「段取り力」があると、うまくいく。「物事がうまくいかないのは、段取りが悪いからだ」と考えることで、対処法が違ってくる。自分に合った段取りのスタイルを見つけて、すべての活動に当てはめていけば、仕事も家事も今までとは違ってくることを教えてくれます。 はじめまして更年期(青春出版社 2020) 永田京子/著  仕事も人生もそれなりに充実していたが、ある頃より疲れやすく気持ちも不安定に。書籍の中では「コーネンキー」というキャラクターが40代から心も体もどんどん楽になる習慣を教えてくれる。更年期は「Change Life」。人生後半を左右する大事な時期をハッピーに過ごすための本である。             大島由美先生の読書ノート ネガティブ・ケイパビリティ(朝日新聞出版 2017) 帚木蓬生/著  このネガティブ・ケイパビリィとは、「答えを出す力ではなく、どうにも答えが出ない個体に耐え抜く力のこと」と著者は述べている。精神科医の著者が医師としてぶつかった際にこの言葉に支えられたという。緩和ケア看護や慢性疾患の方へのケアとしてもこの言葉が注目されていることから私も興味をもった。患者さんのどうにもならない病状において、何か支えられる言葉を探すのではなくその事態に耐える力に寄り添い、そのふんばる力を信じ関わっていくことの大切さを知る1冊となった。子育てや教育現場にも通ずる内容もあり、お勧めします。   クロニックイルネスにおける「言いづらさ」と実践領域モデル(みらい 2022) 黒江ゆり子/編  この著者らは、病気が長期にわたり続き慢性に経過するものを、慢性疾患(Chronic Disease)としてではなく慢性の病い(Chronic Illness)として捉え、その人の病気に伴う体験を理解することが重要ということから、ライフストーリーインタビューを行いこの本のは多くの語りがまとめれている。糖尿病、難病、精神疾患を持つ患者を生活者としてとらえ、その慢性の病における「言いづらさ」の語りが書かれており、本心を知ることができるとともに困難さがストレートに伝わってくる本である。看護師としていかにその方の言いづらさを引き出し理解することができるかとても重要であるため、聞き手としてのノウハウも学ぶことができ非常に勉強になる1冊です。   超高齢社会における食料品アクセス問題(ハーベスト社 2015) 薬師寺哲郎/編著  高齢者の買い物へのアクセス問題は特に中山間地域での大きな課題であり、この本には様々な地域における調査が書かれています。食料品の買い物における不便や苦労の解消に重要なこと等書かれ非常に参考になります。また住民のニーズも理解でき、本市においての過疎化問題にも参考となります。買い物へのアクセスは、地域を知ることの一つの重要な要素だと思いますので、ぜひ読んでみてください。         難波香先生の読書ノート 逝く人を支える ケアの専門職として、人生の最終章に寄り添う(中央法規出版 2020) 玉置妙憂/著  著者は看護師・ケアマネジャー・僧侶という「専門職」の肩書をもち、夫を看取った「家族」としての経験をお持ちの方で、看護師僧侶としてスピリチュアルケアに取り組まれています。専門職としてだけでなく、自らの死生観の高め方や自分の癒し方にも触れられており、時々手に取って読み返したくなる内容になっています。スピリチュアルケアって難しいと感じている人にも読みやすく、おすすめの1冊です。       認知症とともにあたりまえに生きていく 支援する、されるという立場を超えた9人の実践(中央法規出版 2021) 矢吹知之[ほか]/編著  認知症であってもなくても、“あたりまえ”に生きる地域社会をつくるにはどうしたらいいのか、認知症のご本人、医師、福祉専門職、それぞれの語りから多くの気づきが得られます。各著者の実践が具体的に描かれており、これから認知症ケアにかかわる専門職だけでなく、多くの方に読んでもらいたい1冊です。       自分らしい最期を生きた人の9つの物語(KADOKAWA 2022) 前田和哉(かなえるナース)/著  訪問看護師のエピソードなのかなと思い、この本を手に取りました。しかし、訪問看護師の立場では制度の限界によって叶えられない患者さんの願いや望みがあり、その葛藤から立ち上げられたプライベート看護サービスが“かなえるナース”でした。命の残り時間が迫るなか、ご自身やかけがえのないご家族のために、なんとしても思いを遂げようとする患者さんの姿に、幾度となく心を打たれると思います。         西村美紗希先生の読書ノート キミは、「怒る」以外の方法を知らないだけなんだ(すばる舎 2022) 森瀬繁智/著  手軽にサクッと読める本。食事、睡眠、運動、勉強の不足が、怒りを湧かす原因となってくることも書かれていた。自分の健康や生活を見直して、相手の気持ち、言動の見方を変えてみると、怒ることも減るかもしれない。           「頑張る」をやめてみる 抱え込まずに心がラクになる方法(リベラル社 2022) 根本裕幸/著  疲れた時、どうにか抜け出したいと感じた時に、読むと良い本。頑張りすぎている人に読んでもらいたい1冊。自己肯定感を高めることが、自分を苦しめることから救ってくれる。タイプ診断やちょっとした解決策が載ってあるので、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。 小児科(病気がみえる Vol.15)(Medic Media 2022) 医療情報科学研究所/編  ずっと待っていた、病気がみえるシリーズの小児科。「講義・実習に、日常業務に、生涯学習に、患者さんへの説明に―。」とあるように、広く使える参考書。実習や課題、臨床での病態理解に活用してほしい。     井上竹美先生の読書ノート ぜんぶ絵で見る医療統計(羊土社 2017) 比江島欣慎/著  量研究を行うには、統計知識が必須です。しかし、私は、昨年授業を受けたのにもかかわらず、まったくと言っていいほど統計学のことが理解できていません。困った私は、本屋に行き、とっつきやすそう……で手に取ったのがこの本でした。イラスト満載、博士と助手が「プルプル病」調査をすすめていく中で医療統計について簡単に説明してくれる、楽しみながら学べる本です。 わたしのげぼく(アルファポリス 2017) 上野そら/作 くまくら珠美/絵  私はねこが大好きで、本を探す時もついついねこが登場する本を選んでしまいます。登場するのは白黒ハチワレ模様のねこと少年。ねこの目線で日常が描かれています。『うちのねこもこんな風に思っているのかしら』と思うと嬉しくなり、一層ねこが好きになりました。ねこ大好きな方、そうでもない方も是非読んでいただきたい。読み終わった後、少し心が温かくなります。     西森千恵先生の読書ノート これからのナースに実践してほしいこと(中山書店 2017) 日野原重明/著  看護師として多くの知識が求められる現代において、高い感性と人間性が必要となると言われています。本書には、様々な看護や医療の実践におけるエピソードが書かれていて、患者との関わりにおける大切なことを再認識できる本であると同時に、看護や医学はScienceに基づいたArtでなければならないと、強く思い出す1冊です。       死ぬまで、働く。(すばる舎 2021) 池田きぬ/著  メディアで見かけ、すごいなぁと思い、どのような方なのか知りたくなりこの本を手に取りました。97歳という年齢で現役看護師として働き続ける池田さんの、仕事観から、これまでの人生、日常生活、上手に生きる知恵がつまっています。この年齢まで働くなんて、ご本人も初めから想像されていた訳ではありません。看護師という職業を生きがいにされている筆者の姿に心が温まりました。       内向型人間のための人生戦略大全(CCCメディアハウス 2014) シルビア・レーケン/著 岡本朋子/訳  「内向型人間」はどう考え、どう他人とコミュニケーションするのか。をテーマに、内向型人間(神経質・恥ずかしがりや)の特性に触れ、その強みを生かすコミュニケーション方法や、自分の「内向性」と特性に正面から向き合い、自分に正直に生きつづけることの大切さについて書かれています。自身が内向型だと自覚のある人も、その周りの人も読んでみてもらいたい1冊です。           健康保育学科 斎藤健司先生の読書ノート 46億年の地球史(知的生きかた文庫 2019) 田近英一/著  近年、地球史の理解が大きく変わっています。本書は、新しい地球史による7大イベント(①地球形成46億年前、②最古の近く物質40億年前、③活発な火成活動による大陸の形成27億年前、④著しい火成活動による初めての巨大大陸の形成19億年前、⑤超大陸の分裂によって新しい海洋が形成され多細胞生物が出現6億年前、⑥超大陸の形成と海洋の酸素欠乏により生物の大量絶滅2億5千万年前、⑦人類が自然の摂理を探求しはじめた現在)を軸に、スーパープルーム、全球凍結(スノーボール仮説)など、地球史や生命史の新しい知見をまとめて解説しています。     理科系の作文技術(中公新書 1981) 木下是雄/著  私が大学生の時にゼミの先生から薦められた本です。初版が1981年ですが、時が経っても淘汰されることなく良書として残っています。客観的な文章(レポート、卒業論文、ビジネス文書など)の作り方がわかりやすく書かれています。  タイトルに「理科系の」が入っていますが、内容は文科系と理科系の双方に必要なことが書かれています。この本を読むと卒業研究の進み具合が速くなると思います。ゼミに配属される前に読まれることをお薦めします。         岡本邦広先生の読書ノート 自助論(Self-Help)(三笠書房 2013) サミュエル・スマイルズ/著 竹内均/訳  本書は、「自助の精神」「忍耐」「好機は二度ない」「仕事」「意志と活力」「時間の知恵」「金の知恵」「自己修養」「すばらしい出会い」「信頼される人」の10章から構成されています。ついどの章も、読みたくなるタイトルです。本書の出だしは、「天は自ら助くる者を助く」です。これまで何度も読みましたが、都度、精力的に生きる力を与えてくれます。         Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法(サンマーク出版 2019) ロルフ・ドベリ/著 安原実津/訳  本書は、副題にあるように、よりよく生きていくための手がかりを、構成された52のテーマで教えてくれます。例えば、なぜ人は謙虚に生きる必要があるか、また人生の成功とは何かなんていうことがテーマになっています。           プレゼント(The Present)(扶桑社 2022) スペンサー・ジョンソン/著 門田美鈴/訳  『チーズはどこへ消えた?』の著者です。私たちは、毎日、大切なプレゼントをもらっています。時間は過去・現在・未来と分けられますが、このうちの「〇〇に、また、どのように」生きるとより充実するかを教えてくれます。             髙月教惠先生の読書ノート ももたろう(福音館書店 1965) 松居直/文 赤羽末吉/画  私は岡山の吉備津神社と吉備津彦神社の間に住んでいます。私はももたろうの発祥地に住んでいると思っていましたが、ももたろうの発祥地は全国各地にあります。話の内容は、干支の十二支と関係があり、鬼ヶ島は鬼門、猿・酉(雉)・犬は裏鬼門にあたるとか。ももたろうは猿(智)・雉(勇)・犬(仁)をお供にして戦ったのですから、私達も智恵と勇気と仁徳をもって人生を歩けば道が開けるということでしょうか。 「らしさ」を育てるシュタイナー教育とモンテッソーリ教育 発達支援へのチャレンジ(ナカニシヤ出版 2022) 衛藤吉則/著  著者の衛藤先生は、新見女子短期大学時代の同僚で、お互いの教育論について主張し合った仲間です。あれから30年、現在、衛藤先生は広島大学大学院教授、そして「シュタイナー&モンテッソーリハウスモモ」を開所して、発達に障害がある子どもたちを支援しています。この本は、理論、開所の経緯、実践について書かれています。そのきっかけは、私との新見での出会いだったとも。感動と感謝しつつ、出会いの大切さを感じます。       ポジティブエイジングへの展望 21世紀シニア社会をデザインする(風媒社 2022) 塩見治人[ほか]/編  「ポジティブエイジングとは積極的な高齢化」と定義して、「言葉というコミュニケ―ションを伴う人間関係のうえに、『しごと』という緊張関係があればこそ、人間は終生にわたり成長し生きて行くことができる」という。ここでいう「しごと」とは、「自分以外の人にモノやサービスを提供すること」である。「意欲と思いやりがあれば人は生きていける」と思いながら、その時々の私にとっての「しごと」探しをしたいものです。         梶本佳照先生の読書ノート ビリギャルが、またビリになった日 勉強が大嫌いだった私が、34歳で米国名門大学院に行くまで(講談社 2022) 小林さやか/著  「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応義塾大学に現役合格した話」(KADOKAWA)の主人公が、「日本の教育をもっとよくしたい……」と燃えて、日本各地に講演に回っていた時に、「日本の教育しか知らないで、どうやって『教育』を語るの?」と言われて、留学を決意し「アメリカのトップスクールで教育を学ぶ!」という目標に向かって、突き進んでいく主人の姿が、慶応大学卒業後にした仕事の経験も交えて、学ぶという意味が生き生きと書かれています。       13歳から分かる!プロフェッショナルの条件 ドラッカー成果を上げるレッスン(日本図書センター 2021) 藤屋伸二/監修 大西洋/イラスト  経営者に多くの影響を与えたピーター・F・ドラッカーの成果をあげるための5つの能力について書かれた「プロフェッショナルの条件」を13歳から分かるように、物語風にまとめてあります。 成果をあげるために5つの能力 1 「貢献」を考える 2 「強み」をいかす 3 「時間」をコントロールする 4 いちばん重要なことに「集中」する 5 正しく「意思決定」し、実行する  成果というと、仕事で実績を上げるイメージで考える人が多いと思いますが、ドラッカーは、成果を人が人生を充実させ、本当の幸せを手に入れるために必要なものと考えています。たいへん役立ちます。 日本懐かしお菓子大全(辰巳出版 2017) 松林千宏/著  昭和の時代に発売されたお菓子が写真付きで紹介されています。  今と販売されているお菓子や発売同時のパッケージデザインを見て年配の方は子ども時代を思い出して懐かしく感じたり、大学生は新鮮に感じたりすることと思います。  遠足の時に、限られて予算の中でどれを持っていこうかとお菓子屋さん(駄菓子屋さん)で悩んだことを思い出されます。見ているだけで楽しい本です。     八尋茂樹先生の読書ノート 漫画 方丈記 日本最古の災害文学(文響社 2021) 鴨長明/著 信吉/漫画  度々発生する自然災害や、終わらないコロナ禍とそれによる経済の冷え込み……そんな時代だからこそ注目されているのが鴨長明の「方丈記」です。これは日本最古の災害文学として有名ですが、仕事や人間関係で疲れた末に田舎に逃げて、スローライフを送る物語としても知られています。昔も今も生きていくのが大変で、先輩たちの知恵に触れることで、私たちは生きづらさから少しは解放されるかもしれません。マンガで読みやすいです。       シティ・ソウル ディスクガイド2 シティ・ポップと楽しむソウル、AOR&ブルー・アイド・ソウル(DU BOOKS 2021) 小渕晃/著  若い皆さんから共感を得られないことを承知で推薦しますが、昭和~平成初期に流行った大人向け洋楽(AOR)やクロスオーバー等の楽曲紹介と解説本です。私はここ数年、デスクワーク時はチルホップをかけます。今でこそローファイなジャンルがアンビエントミュージックの役割を果たしますが、それ以前は私たちおじさんは洋楽のAORだったのです。日本のニューミュージックの系譜を汲むジャンルが好きな人の入門本にもなります。       満月珈琲店(KADOKAWA 2020) 桜田千尋/作・絵 望月麻衣/文  満月珈琲店は疲れた人だけが訪れることができ、猫の店主がその人に合ったスイーツやドリンクなどを出してくれます。この珈琲店で展開される話は感動的で心が浄化されますが、ネタバレはつまらないのでここでは触れません。「新月のモンブラン」、「線香花火のアイスティー」、「ブラックホールのチョコ仕立て」等々のメニューは幻想的で魅力的です。頑張った自分を癒してくれる、こんな珈琲店に通いたいなと思わせる1冊です。       芝﨑美和先生の読書ノート スマホを捨てたい子どもたち(ポプラ新書 2020) 山極寿一/著  ヒトはなぜ群れをなすのか?言葉はヒトが社会を形成する上で不可欠なのか?ゴリラの研究の中にその答えが隠されています。霊長類学者の著者が語るゴリラの世界がとにかく面白い!           さよならの儀式(河出書房新社 2019) 宮部みゆき/著  学生時代に、タイトルは論文のもう一つの顔だと、ある先生に言われました。読み終わった後、それぞれのタイトルに納得します。ひとの心の機微が丁寧に描かれており、SF小説が苦手な人にもおすすめです。     渡部昌史先生の読書ノート 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(文藝春秋 2013) 村上春樹/著  仲間だと思っていた人たちから、突然、会うのを拒否された多崎つくる。彼が大学時代や現在において、考えや感情がどのように変化してくのか、ヒトの内側に入り込んで進んでいく小説です。また、著者の文章表現との間に共通認識がもてるのかも合わせて楽しんでください。         注文の多い料理店(講談社青い鳥文庫ほか 2008) 宮沢賢治/著  小学生の時に、読んだ本です。その時は、なんか不思議なお話しだなという印象でした。そして、大人になった今、もう一度手に取って読んでみると、小学生時代とは違い、作者がメッセージを作品に残しているのではないかと感じました。感じ方は各自、違うと思いますので、私がどのように感じたのかはここで述べませんが、皆さんも今一度、手に取って作者が何を伝えようとしたの感じながら読んでみるのと楽しいかもしれません。     広瀬綾子先生の読書ノート デジタル時代の子育て 年齢に応じたスマホ・パソコンとのつきあい方(イザラ書房 2021) ミヒャエラ・グレックラー、村田光範/監修 内村真澄/訳  ここ数年のうちに、子どもがスマホやタブレット端末をおもちゃ同様に持ち歩き、使用している姿が当たり前のように見られる世の中になりました。スマホの動画などを見せて子どもを静かにさせようとする親たちがいる一方で、それでいいのかと揺れている親たちも多いのではないでしょうか。デジタルメディアの世界で子どもが健康に育つには何が必要で大人はどう行動すべきか。初版がドイツで出版されて以来(2018年)、再版を重ね、世界16カ国で翻訳されています。     たぶんみんなは知らないこと(講談社 2022)福田隆浩/著 しんやゆう子/画  主人公のすずは、話すことができない。重度の知的障害がある小学5年生の女の子。でも頭の中ではとてもおしゃべり。クラスメートと劇にも挑戦する。すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏による2022年野間児童文芸賞受賞作。           加藤由美先生の読書ノート 倉橋惣三物語 上皇さまの教育係(講談社 2021) 倉橋 燿子、倉橋麻生/著  「近代幼児教育の父」として、大正から昭和にかけて活躍した倉橋惣三の伝記小説。幼稚園の園長時代は、自身を「おじちゃん」と名乗り、子ども一人ひとりの個性を認め、自発性を尊重する幼稚園教育の理念を実践した。子どもの頃は運動が苦手で引っ込み思案、大人になっても子育てに悩む父親として人間味あふれる姿が描かれていて、惹きつけられた。       「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法(講談社文庫 2008) 茂木健一郎/著  「赤毛のアン」との最初の出会いは、小学校の頃に見たアニメだった。大学時代には文庫本を読み、ドラマや映画も観たので、結構好きだったのだと思う。まさか茂木さんがこの本を?どう考えてもありそうもない組み合わせだったので興味を惹かれた。幸福(しあわせ)とは何か、「赤毛のアン」にはその秘密がかくされている。       絵本が開く魔法の世界 十二話の物語(サンパティック・カフェ 2000) 上山真知子/著  臨床心理士であり母でもある著者が、カウンセリングの場で出会った子ども達や我が子との絵本を通したエピソードを綴っていて、なんだか温かい気持ちになった。たとえ忙しくても子どもとこんな風に絵本でつながるひと時がもてていたら…と遥か昔の自身の子育てを振り返って思った。     本渡葵先生の読書ノート 宮沢賢治の地学教室(創元社 2017) 柴山元彦/著  宮沢賢治は、地学者でもあります。作品の中には、鉱石、気象、宇宙などがさまざまな形で描かれています。本書は、そのような宮沢賢治の作品を通して、地学を学ぶことができる1冊です。とりあげられている15の作品もあわせて読んでみてはいかがでしょうか。           立浪朋子先生の読書ノート ジャムつきパンとフランシス(好学社 2011) ラッセル・ホーバン/さく リリアン・ホーバン/え まつおかきょうこ/やく  フランシスはジャムつきパンが大好き。お母さんがどんなご馳走を作っても嫌がり、ジャムつきパンしか食べません。お母さんはある日、他の食べ物を出すことをやめ、フランシスには最初からジャムつきパンを食べさせることにしました。するとフランシスは……。  私がこの絵本が大好きなのは、フランシスが食べないお母さんの手作りご飯やお弁当の描写が、それは美味しそうなところです。いいなあフランシス。私もこんなお弁当を作って出勤できたら幸せだなあと思うのですが……。現実は厳しいです。 あしながおじさん(岩波文庫ほか 1971) ジーン・ウェブスター/作  孤児院育ちのジルーシャは、あしながおじさんの援助を受けて大学に入学することになります。楽しい大学生活の様子が、あしながおじさんへの手紙の形で綴られた物語です。100年以上前のアメリカの大学生活を体験できます。皆さんの大学生活とはどう違うでしょうか。  ところで物語では、ある登場人物の苦しい片想いの恋がこっそり描かれます。初めて読んだ小学生の時、私がそのことに気づいたのは物語のラストでした。大人になって読み返すと、実はかなり最初の方から、わかる人にはわかるように描かれていました。皆さんはどこで気づくでしょうか。   翻訳唱歌と国民形成 明治時代の小学校音楽教科書の研究(九州大学出版会 2019) 佐藤慶治/著  高校1年生の時、ドイツ人の女の子と親しくなりました。会ってすぐは共通の話題も少なく、あっても自分のつたない英語では伝えられない。何を話せば良いか途方にくれました。それが何かの拍子に、私が日本の歌だと思っていた歌を彼女もよく知っていることがわかったのです。じゃあ「ぶんぶんぶん」は?「蛍の光」は?「かっこう」は?彼女はどれも知っており、ドイツ語や英語や日本語で歌い合って楽しい時間を過ごし、友達になりました。このことがきっかけで、どうも私が学校で習った歌の多くは明治期や戦後期に日本に導入された、もともとは外国の歌らしい、ということを知りました。その背景はともかく、外国の少女と共通の話題を作ってくれた、いにしえの音楽教育家の先生に当時の私は深く感謝したものです。  本書は「その背景」を詳しく論じています。読めば音楽教育史の理解だけでなく、英語が苦手でも外国の方と友達になれちゃうことでしょう。   竹下可奈子先生の読書ノート まいにちが嵐のような、でも、どうにかなる日々。(KADOKAWA 2022) きなこ/著  10代の長男・長女,幼稚園に通う心疾患児の次女を持つ3児の母であるきなこさんが,日々の生活を優しい文体で綴った本です。自分の子どもたちだけでなく,ほかのすべての子どもたち,ひいては世界全体に対する著者の暖かいまなざしが感じ取れる内容になっています。         謎とき『風と共に去りぬ』(新潮社 2018) 鴻巣友季子/著  『風と共に去りぬ』全編の新訳を出した著者が,『風と共に去りぬ』作者のマーガレット・ミッチェルの残した書簡等を手掛かりに,作品の主題や登場人物の性格,役割,お互いの関係性について解説しています。内容も興味深いですが,著者がいかに『風と共に去りぬ』が好きなのかがよく伝わってくる本になっています。           入江慶太先生の読書ノート 弥縫録 中国名言集(中公文庫 1986) 陳舜臣/著  突然ですが「破天荒」の意味は分かりますか?「豪快」「乱暴者」だと思ったあなた、それは間違っています。このように、時々目や耳にする言葉であっても、本来の意味とは違った意味で覚えていることがよくあります。この本は104の名言・名句の本当の意味を、歴史を絡めながら分かりやすく教えてくれる文集です。著者は直木賞作家、しかしとにかく読みやすい!では次に……「折檻(せっかん)」の本来の意味は分かりますか? 私が野球から学んだ人生で最も大切な101のこと(知的生きかた文庫 2014) 野村克也/著  書店で手にとっては元の場所に戻され、買ってはすぐ売られていった自己啓発本の中で、いまだに私の書棚に残っている名著です。101の格言はプロ野球選手や監督として過ごしたエピソードを基に書かれていますが、それ以外の世界にも通じる力を持った珠玉の言葉が並べられています。特に、人間関係や社会の理不尽な出来事に納得いかないときに読むのがおススメです。著者は2020年に逝去されましたが、あなたの本に出会えてよかった! 愛してるよカズ 小児ガンと闘った母親と息子の愛の記録(長崎文献社 2008) 光武綾/手記  小児がんに冒され、7歳でこの世を去ったカズ君の臨終の瞬間まで描かれた手記&DVDです。クラウンDr.であるパッチ・アダムスは「医療は死を遠ざけるために使うのではなく、生の質を高めるために使うものだ」と言っています。自分が今をどれだけ熱く、誠実に、真っ当に過ごしているかをカズ君の生き方が教えてくれる、そんな本です。彼が息を引き取る瞬間にお母さんがとった驚きの行動は、何度見ても胸が締め付けられます。         高橋彩先生の読書ノート ことばと算数 その間違いにはワケがある(岩波書店 2022) 広瀬友紀/著  子どものいろんな算数の間違いを言語との関係から解説している本です。学生時代、某発達支援センターで勉強を教えるバイトをしていましたが、当時子どもの解答の理由をこんな風に分析できたらもっと子どもの理解が深まったな……と昔を思い出しながら読みました。         目の見えない人は世界をどう見ているのか(光文社新書 2015) 伊藤亜紗/著  ヨシタケシンスケさんの表紙がかわいい1冊。私たちの生活の中で入ってくる情報の約8~9割は視覚に由来すると言われますが、その視覚に頼れない人々はどのように世界を見ているでしょうか。この本を読むと「こういう風に世界を見ているのか!」という興味深い話にたくさん出会えるかもしれない。           科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界(金子書房 2022) 井手正和/著  ASDの人々の感覚世界について、最新の科学的知見をもとにわかりやすく解説してくれています。ASD当事者の方の作品などもカラーで掲載されており、ASDのある人々の感じ方や世界の捉え方に触れられる興味深い本でした。           松島英恵先生の読書ノート 忍者にであった子どもたち 遊びの中間形態論(ミネルヴァ書房 1994) 加用文男/著  大学4年の時に、この本に出会いました。発達心理学者である加用先生は、学童保育の子ども達に参加者の一人として忍者遊びを仕掛け、一方的な観察ではなく、誰よりも楽しみながら遊びについて研究されました。幼稚園教諭となることが決まっていた私は感銘を受け、大人も子どもも一緒にワクワクできる保育をめざそう!と心に決め、実際にいろいろなごっこ遊びを子どもたちと楽しんできました。ぜひ読んでみてください。 うどんのうーやん(ブロンズ新社 2012) 岡田よしたか/さく  この絵本の主人公は「うどん」です。出前に出かける途中で食べさせてあげたり、寄せてあげたりしながら、川を渡り、山を越え、キツネに「うどん」を届けます。  この絵本を読み聞かせをすると、うきゃきゃきゃと笑う声がよく聞かれます。関西弁は、出身者以外には難しいかもしれませんが、子どもたちと笑う時間を大切にしたい人におすすめの絵本です。恥じらいを捨て、落語家になったつもりで読み聞かせるのがコツです。 三千円の使いかた(中公文庫 2021) 原田ひ香/著  ある一家の女性たちが、人生の節目とピンチを乗り越えるために、お金をどう貯めてどう使うのかを描いた物語です。冒頭の「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」という言葉にぎくりとさせられます。お年玉の三千円をマクドナルドと本に使った妹と、財布を買った姉。お金の使い方は、その人の生き方を表している。真剣にお金について考えよう、考えて物を買おう……と、「マクドナルドと本」派の私は反省いたしました。         福武幸世先生の読書ノート やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける (ダイヤモンド社 2016) アンジェラ・ダックワース/著 神崎朗子/訳  私は昨年の春、本学に着任した時にこの本を購読しました。そして、夏に娘の高校の進路の先生が、受験生の保護者に向けてこの本を紹介されたことをきっかけに再び手にしました。受験と聞くと、もうやりたくない!と皆さん思うでしょうね。実際、学生の皆さんに尋ねると、1番頑張った時間だった、もう2度と嫌だ!という回答が返ってきました。きっとそう回答した学生さんは、受験勉強をやり抜いて本学に入学されたのでしょうね。今、この瞬間、そして、社会に出てからも試練の時は訪れます。本書はアンジェラ博士が科学的に「やり抜く力」について研究された結果を纏められ、社会的に重要な意義があることを提唱されています。人生という長いマラソンを走り続けるためにもぜひ読んでいただきたい1冊です。 数値化の鬼(ダイヤモンド社 2022) 安藤広大/著  1日にやるべきことや長期的な目標に向けてやるべきことを数字で捉える思考法が学べます。数値化の利点は、物事を具体的に考えることができる、他者に伝える際にも曖昧さを払拭できる点にあります。また、個人的なレベルアップだけでなく、複数人の集団においても数値化して共有することで全体のレベルアップにつながります。皆さんは、2:6:2の法則をご存じですか?集団を自然状態にしておくと、このような状態になると言われています。筆者は、2:6:2から10:0:0(全ての人を優秀)に近づけるためには、数値化する思考法を取り入れることが有効であると述べています。私は本書を読み、日常生活で何でも数字に置き換えることを習慣にしようと心掛けています。それが結構楽しいですよ。数学が苦手な人も、数学のことは書かれていませんのでご安心を!     地域福祉学科 松本百合美先生の読書ノート 年寄りは集まって住め 幸福長寿の新・方程式(幻冬舎ルネッサンス新書 2021) 川口雅裕/著  人生100年時代と言われる近年、高齢者の介護福祉における方法論は多様になって来ています。表題は一種挑戦的な感じですが、その内容は介護福祉の現場の肌感覚に近く、近年の高齢者意識調査から述べられているので現実に近い感覚があります。また、Share金沢など共生社会実現への取り組みの紹介も参考になります。 ジオ・ヒストリア 世界史上の偶然は、地球規模の必然だった!(笠間書院 2022) 茂木誠/著  太陽や気候など多くの自然現象が人類の歴史に大きく影響したというのを、『楽しく』読ませてくれる本です。古代史研究には火山の噴火の歴史が大きく貢献し、地質調査から神話の記述を読み解く人たちも現れています。昔は、超古代人が作ったピラミッドや人工の構造物かも…と思っていたものが、マグマの節理だったと知った時のちょっとガッカリ感と別の「沼」にはまる楽しみが味わえます。       スタートライン(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012) 喜多川泰/著  高校生の二人が主人公で、18歳と22歳の一つの場面・出来事をそれぞれの目線で記述されています。今が無駄な時間に思える日々や、一歩踏み出す前に既に諦めたがる若者が、「5年後の自分の可能性を舐めるなよ。」などの大人の言葉に触発されるという、少し懐かしいストーリー展開で気恥ずかしくなってしまいますが、若い人には読んでみて欲しい作品です。         山内圭先生の読書ノート ロシア紀行(A Russian Journal)(スタインベック全集14)(大阪教育図書ほか 1996) ジョン・スタインベック(John Steinbeck)/著  スタインベック研究者として毎年彼の作品を紹介していますが、今年はこの作品を紹介します。これはスタインベックが写真家ロバート・キャパとともに1947年7月~9月に旧ソ連(現在のロシアとウクライナ)を訪問し翌1948年に出版した紀行です。75年前に出版されたものではありますが、書中の写真や紀行文に出てくる人たちの子どもや孫などが現在、戦争で苦しんでいるのだと考えると決して古いものではありません。 スタインベックのまなざし 我がアメリカ文学・文化研究の原点(大阪教育図書 2021) 加藤好文/著 ジョン・スタインベックの文学 「ケルトの薄明」の魔法(大阪教育図書 2022) 酒井康宏/編著  スタインベックの研究書2冊の書の同時紹介ですが、前者は2021年に、後者は2022年に出版されたものです。どちらも僕が所属する日本ジョン・スタインベック協会の先輩の先生方が書かれたものです。本学学生の皆さんは文学研究というものがどんなものなのかあまりなじみがないかもしれませんが、これらを読めば文学研究の面白さがわかるかもしれません。もちろん研究書の前に文学作品を読むことが必要ですが……。 ニューヨークのユダヤ人たち ある文学の回想 1940-60(New York Jew)(岩波書店 1987) A.ケイジン(Alfred Kazin)/著 大津栄一郎、筒井正明/訳  近年ユダヤ系アメリカ作家のアルフレッド・ケイジンの著作を研究しています。彼はニューヨークの中心マンハッタンとはイースト川の対岸となるブルックリンで生まれ育ち、マンハッタンは憧れの街でした。彼は大人になり、マンハッタンで活躍するようになりますが、本書には、憧れの街マンハッタンのきらびやかさとその陰にある現実、ニューヨークでの彼の人生における栄光と失敗が描かれます。 父・福田恆存(文藝春秋 2021)福田逸/著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る(別冊 NHK100分de名著)(NHK出版 2021)河合俊雄/著 小泉八雲 思い出の記 父「八雲」を憶う(恒文社 1986)小泉節子、小泉一雄/著  これら3冊の共通点は、息子が、亡くなった父親の書いたものを読み、まとめているという点です。現在、自分自身、亡くなった父が書き溜めた郷土史についての文章を読みつつまとめているところです。肉親が書いた文章なので他人が読むよりはよくわかるメリットはあるものの、「父さん、ここはどういう意味?」と直接尋ねられないもどかしさもあります。これらの著者もきっと同様の気持ちで書いたものと思われ親近感を感じました。   嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか(文藝春秋 2021) 鈴木忠平/著  プロ野球中日ドラゴンズの落合博満元監督を記者として取材し続けた著者による渾身の書です。(当時の)プロ野球のことを知らないと読んでも楽しめないかもしれませんが、美しい文体で書かれていますし、組織論や上司論としても読めます。プロ野球の世界は、当然結果を求められますが、人間の組織ですので結果だけではないということがわかります。実はこれは教育にも当てはまると僕は思います。結果が全てではないのです。       夜に星を放つ(文藝春秋 2022) 窪美澄/著  5作品を収めた短編集ですが、短編のタイトルに「アンタレス」「スピカ」「星」という語が使われ、夜空の星が作品内で象徴的に用いられます。どの作品も情景描写、心理描写、人物描写が秀逸です。コロナの時代が描かれ、後年、おそらく「コロナ文学」というような小ジャンルが現れると思いますが、コロナ禍の中の人々の心理や生活などの描写も見られ「コロナ文学」としてもすぐれた作品と思います。第167回直木賞受賞作です。       汝、星のごとく(講談社 2022) 凪良ゆう/著  僕は近年、直木賞や芥川賞の候補作が発表されるとそれらを読み受賞作を予想していますが、本書は第168回直木賞候補作です。本原稿執筆時、まだ受賞作品は発表されていませんが、僕は候補作5つを読んだ結果、登場人物たちをしっかりと描き切っているこの作品が直木賞を受賞すると予測しています(個人の感想です)。1世代の年月を隔てて冒頭と最後に同様の描写を用いた物語の「枠組」、また登場人物の北原先生がよいです。       恋する寄生虫(メディアワークス文庫 2016) 三秋縋/著  学生の皆さんの長期休暇の感想文は教員が交代でチェックをしていますが、これはある学生が読んでいた書です。寄生虫が宿主の生物の行動に影響を与えることは近年言われていることですが、この書では寄生虫に寄生された人間同士が恋をするということが描かれています。たしかに人間も生物ですので寄生虫によって行動や人格が変えられるということがあるかもしれません。そこに着目したこの著者の着目は素晴らしいと思います。       吹部!(角川文庫 2016) 赤澤竜也/著  この書も学生たちの感想文をチェックするために読んだものです。吹奏楽部の経験者は特に楽しめると思いますが、そうでなくてもきっと楽しめる学園ドラマです。僕が特に感動したのは、怪我で野球部をやめて吹奏楽部に入部した部員が野球部の応援をする時のエピソード、「不登校」になってしまった吹奏楽部の顧問の先生の自宅に出向き庭で演奏をして先生を迎えに行くエピソード、コンクール都大会に出場のシーンなどです。       52ヘルツのクジラたち(中央公論新社 2020) 町田そのこ/著  これも学生が感想文を書いたために読んだ作品です。クジラはその「声」によりコミュニケーションをとる動物ですが、52ヘルツのクジラの声は高すぎて他のクジラには聞こえないという意味のタイトルで、他人とのコミュニケーションがうまく取れない人たちが、それぞれ懸命に生きていく姿が描かれます。虐待、発達障害、後見人、血縁関係のない家族など福祉・看護・保育を学ぶ学生たちに考えてもらいたい事柄にも触れられています。           山本浩史先生の読書ノート ソーシャルワークの神様(文芸社 2021) 穂美/著  これは専門書ではありません。現在も生活困窮者自立支援の現場でソーシャルワーカーとして働く著者が書いた小説です。  主人公の美咲が育休を経て、診療所のソーシャルワーカーとして働き、その中で出会う問題を抱えた患者さんとの人間模様を描いたヒューマン・ノベルです。 貧困を救えない国日本(PHP新書 2018) 阿部彩、鈴木大介/著  発刊は2018年ですが、この現状は変わっていないと思います。内容は社会福祉学者で貧困を専門とする阿部氏とルポライターでご自身も高次脳機能障害をもつ鈴木氏の対談形式で記されており、読みやすい内容となっています。     高杉公人先生の読書ノート ワークショップ・デザイン 知をつむぐ対話の場づくり(日本経済新聞出版社 2008) 堀公俊、加藤彰/著  地域に出向いて地域の方々と話し合う機会・場面で、ワクワクするような話し合いがしてみたい!と思っている学生に最適な本である。そのような場面を「ワークショップ」として企画・実施して「作り込む」方法が様々な実例と共にまとめてあり、本を読んだ後に実際に「ワークショップ」を作ってみたくなる1冊である。 広告コピーと100の物語(大学教育出版 2021) Ominae/著  素早く、しかも心に響くメッセージを送ることの出来るチラシやポスター作りをしてみたい学生に参考になる本である。特に現代の若者が悩みがちなテーマについて厳選された100の広告コピーと、その背景となるストーリーをまとめたエッセイが紹介されており、自分自身の「心が動く言葉」を見つけることの出来る本である。       大人のための社会科 未来を語るために(有斐閣 2017) 井手英策 [ほか] /著  現代の社会が陥っている閉塞感を打破し、大人が日本社会について希望を持って「いま」と「これから」を語り合うための教科書として書かれた本である。経済、政治、社会をめぐる様々な出来事をその専門家が分かり易い言葉で、多様な視点で解き明かし、最後にこれからの社会に対して希望を持って生きるための一つの道筋を示す内容となっている。           三上ゆみ先生の読書ノート どうしても頑張れない人たち(新潮新書 2021) 宮口幸治/著  児童精神科医の著者は、頑張り方がわからず苦しんでいる「どうしても頑張れない人たち」が一定数いると述べています。認知機能の弱さを持った人たちは、見る、聞く、想像するといった力が弱いため、いくら頑張っても入ってくる情報がゆがんでしまい、不適切な方向にむいてしまう。失敗を繰り返し頑張れなくなる。こんな困っている人をどのように支援していくか、この1冊を読んでヒントをもらいましょう。       メモの魔力(幻冬舎 2018) 前田裕二/著  皆さんは普段メモを取りますか?スマホでパシャとメモを取ることも増えてきました。この本を読んで、昔の自分のメモを見返してみると、その時の出来事や気持ちを思い出します。著者によるとメモは、日常をアイデアに変え、思考を深め、自分を知り、夢をかなえ、そして自分の生き方となる。例えば「言語化」で夢は現実になる。夢への志向を深めていけるのも、具体的な「言語」があるからです。メモによって人や世界を動かすその魔力について、考えてみませんか?     鄭丞媛先生の読書ノート ナッジ×ヘルスリテラシー ヘルスプロモーションの新たな潮流(大修館書店 2022) 村山洋史[ほか]/編著  世界で最も高齢化率が高い日本では、健康日本21などで健康寿命の延伸が目指されているが、健康増進活動に継続的に取り組んでもらえるよう、人々の行動変容を促すことは容易ではない。本書では、「ヘルスリテラシー」(良い健康状態を推進して維持させられるような、情報にアクセスし、理解し、利用するための個人の意欲や能力を決める認知的社会的スキル、WHO)の向上と、人々の行動をそっと後押しする行動経済学の概念である「ナッジ」の二つの概念を用い、人々の健康行動への変容を促す理論や事例等について紹介されている。   沖縄から貧困がなくならない本当の理由(光文社新書 2020) 樋口耕太郎/著  沖縄の海は美しく、国内外からの観光客が急増してきた。他方で種々の統計データを眺めると、高い子どもの貧困率、非正規雇用率や失業率、低い一人当たり県民所得、その背景として考えられる、低い高校・大学進学率、高い高校中退率や離婚率など、沖縄の人々を取り巻く現状は厳しいことが読み取れる。本書では、沖縄出身ではない著者が、沖縄において「貧困」がなくならない根本的原因について、統計データに加えて、延べ3万人の人たちとの約2万時間の会話の分析、16年間の沖縄での生活体験から探索している。     井上信次先生の読書ノート 知的障害のある人の青年期の教育権保障(クリエイツかもがわ 2022) 辻和美/著  知的障害のある人の18歳以降の進路として、福祉型就労や高等教育への進学以外に専攻科がある。その専攻科の制度やカリキュラム等の実態と課題を知る上で良著である。 メンタルクリニックの社会学 雑居する精神医療とこころを診てもらう人々(青土社 2022) 櫛原克哉/著  この20~30年、都市部を中心に「メンタルクリニック」が急増している。その現状についてスタッフ、当事者等を対象にしたインタビューから明らかにしている。メンタルヘルス、医療化(かつて医療の対象でなかったものが医療の対象になっていくこと)等に関心がある人に読んでほしい。 アメリカ人は気軽に精神科医に行く(ワニブックス 2015) 表西恵/著  日本在中の人に比べてアメリカ在中の人は、なぜ簡単に「精神科」を受診するのか。素朴な問いに対して、日本の現状との比較をした書籍である。日本社会がもつ「心の病気」に対する言説への批判的な視点があり、この領域に関心がある人に読んでほしい。             八重樫牧子先生の読書ノート 気持ちの本(童話館出版 2003) 森田ゆり/作 たくさんの子どもたち/絵  この絵本は「あなたのどんな気持ちも、大切だよ。」といことを子どもたちに伝えると同時に、同じことを子どものまわりにいる大人たちも伝えるために書かれている。この本の掲載されている絵の多くは、著者が小学校などでこの本に書かれたことを「気持ちのワークショップ」として実践した時に、子どもたちが描いた作品である。「うれしい気持ちを人に伝えると、それは2倍になり、かなしい気持ちを人につたえると、それは半分にへる。」 あなたが守るあなたの心・あなたのからだ(童話館出版 1997) 森田ゆり/作 平野恵理子/絵  アメリカで開発されたCAP(キャップ:Child Assault Prevention、子どもへの暴力防止プログラム)は、著者によって日本に広められ、現在、全国で実践がされている。この絵本では、子どもが「安心して」「自信を持って」「自由に」生きる権利があることや、子どもへの暴力など子どもが危険な立場にたたされたとき(権利を奪われそうになったとき)、子どもが自分で自分自身を守る具体的方法をわかりやすく紹介している。 子どもと暴力 子どもたちと語るために(岩波現代文庫 2011) 森田ゆり/著  この本は暴力というテーマを子どもたちとどう語るか、そのための具体的、実践的方法を提供することを目的として書かれている。「暴力とは人が他人または自分の心と身体を深く傷つけることである。」人はなぜ暴力をふるうのか、暴力は人の心と脳にどのような影響を及ぼすのか、暴力をふるう子ども、暴力を受けている子どもにどう接したらよいか。エンパワメントと人権とレジシエンスという不可分に結びついた概念を用いて解明している。     小松尾京子先生の読書ノート 頭の良い人がやっている「調べ方」究極のコツ(学研プラス 2022) 齋藤孝/著  レポートや卒論を書くには、まず材料となるもの(文献等)を集めて、それらを徹底的に読み込む必要があります。そのような時に味方になる本です。何をどのように調べたらよいのか、そのテーマで書くために集めた材料は適切であるのか……。レポートや卒論を書き始める前に一読することで、頭の中が整理されてくるかもしれません。準備の大事さを感じることのできる1冊です。       レペゼン母(講談社 2022) 宇野碧/著  小説を読む醍醐味のひとつは、登場人物の誰の立場になって読むか……。「マイクを握れ、わが子と戦え!」女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った母の明子。「きっとこれが、人生最後のチャンスだ!」明子はマイクを握り、息子に向けてこれまでの思いをぶつける。息子もしんどいだろうけど、親だってしんどいんだよ!母と息子のラップに共感の嵐!です。あなたは誰の立場に一番共感できただろうか……。     飛び出す!公務員 時代を切り拓く98人の実践 (学芸出版社 2021) 椎川忍[ほか]/編著  この本は、役所から飛び出し、地域活動やNPOに参加したり、民間や他の自治体と連携したり、全国各地のとびっきりの飛び出し公務員98人が、自らの体験をもとにその楽しさ、得られたものを率直に書いたものです。  公務員を目指すあなたへ。安定をめざすのもいいけれど、公務員になって何をしたいのか。堅苦しい印象の公務員かもしれませんが、全国には、とびっきり元気な公務員がいます。あなたの公務員生活の参考になるかもしれません。     六人の嘘つきな大学生(KADOKAWA 2021) 浅倉秋成/著  成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、六人の学生は交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと……。  ミステリーなんですが、就活を疑似体験できる1冊です。就活の合間のストレス解消にもお勧めです。         松田実樹先生の読書ノート バイアスとは何か(ちくま新書 2021) 藤田政博/著  認知のゆがみと言われるバイアスは、完全に取り払うことはできません。しかし、バイアスについて意識的に検討し、影響を少しでも減らすことは可能です。本書では、私たちが物事を認知する際にかかるバイアスについて教示してくれるとともに、その緩和策についても提示しています。対人援助を学ぶ上で、あらゆる物事の判断をしたり、時には他者の意思決定支援について考えるという機会があります。その際の参考にしてみてください。         思考の整理学(ちくま文庫 1986) 外山滋比古/著  日々、多くの情報に囲まれて過ごす中で、覚えなくてはならないことや考えなくてはならないことが沢山あると思います。本書では、そんな数多くの情報をどのように整理し、扱っていけばよいかの示唆をくれるものです。なかなか覚えるのが苦手、自分の頭で考えることをまとめるのが苦手という人に読んでほしいと思います。           朴蕙彬先生の読書ノート 社会福祉と人権(ミネルヴァ書房 2014) 木原活信/著  社会福祉や対人援助の仕事をする上で、最も根本的な視点である原則となるものが人権です。この人権問題について、難しくない文章でわかりやすく身近な例、分野ごと(子ども、障がい、高齢者など)に説明されてあるのが本書です。社会福祉の本ですが、他学科の学生さんもぜひ一読してみてください。         超雑談力(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019) 五百田達成/著  人とのコミュニケーションをとる際、次に何を話題にすればよいかわからないなど困る時は誰もが経験することだと思います。この本は、雑談そして具体的な例から、コミュニケーションをとることについて学ぶことができる実用書でもあります。興味のあるテーマから選んで読み、すぐに実践できるような構成になっていますので、この本からコミュ力を上げる1つのコツを得て見ましょう。 他者を感じる社会学 差別から考える(ちくまプリマー新書 2020) 好井裕明/著  私たちは、目の前にいる人をどのように認識しているでしょうか。性別、年齢、外見、国籍などなどたくさんのカテゴリーで人を理解し、認識すると思います。しかし、本当にそれで良いのかを一度考えて見ませんか。この本は、いくつかのカテゴリー化された例から差別について考えるものです。           泉宗孝先生の読書ノート 社会を希望で満たす働きかた(朝日新聞出版 2018) 今中博之/著  この作中において「経済なき道徳は虚言であり、道徳なき経済は犯罪である」という言葉が紹介されている。実際、福祉で収益を生むことへの期待は薄く、仮に生んだとしても妙な罪悪感が漂うことがある。この作品では、障がい者のアートを中心に、そんな市場と福祉の関係に加え、多様なソーシャルワークのひとつの可能性を提示してくれます。       「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する(SB新書 2019) 田中康雄/著  学生の皆さんは実習中に、診断名等の把握が必要とされる場面があるかと思います。ただ、それはあくまでもその方の一部であるという感覚は大切にしてほしい。入学当初、友人の誕生日や高校生活の思い出など気になりませんでしたか?子どもにも同じ視点を持てていますか?いろんなお子さまと出会う保育学科の方には特におすすめの作品です。         頭がいい人、悪い人の話し方(PHP新書 2004) 樋口裕一/著  この作品では、医療や福祉の現場で働く者……社会人として気を付けたほうがいい「話し方」を紹介してくれています。きっと、気を付けるポイントとして書いてあることのひとつぐらいは読んでいて、「私もこういうところあるかも」と誰もが思うはず。自分のことを見つめる意味でも、ぜひ一度手に取ってほしい作品です。             柳廹三寛先生の読書ノート 老いる準備 介護することされること(学陽書房 2005) 上野千鶴子/著  自らの老いと向き合い、老後や介護、自立、ケアワーク、家族について、気負わず、わかりやすく語っています。家族による介護は本当に幸せか、介護保険で何が変わったか、団塊世代はどのように老いるのかなどがとても分かりやすく読みやすい言葉で書かれています。         努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論(ロゼッタストーン 2013) 芦田宏直/著  医療ソーシャルワーカーとして、患者さんやその家族、そして職場のはざまで、こんなに頑張っているのにこれ以上どうしろっていうのかと悩んでいるときに出会った本です。  いろいろなことで悩んだり、人をうらやんだり、自分だけが……などと思った時に、「あ、そうか」と気づかせてくれる本だと思います。         岸本由梨枝先生の読書ノート FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(日経BP 2019) ハンス・ロスリング[ほか]/著  皆さんは情報をどのようにして入手していますか?新聞や雑誌、TV、インターネットなど……社会は様々な情報であふれかえっています。皆さんが正しいと思っている情報は本当に正しいのだろうか、自分の思い込みはないだろうか。現代の情報社会に必読の本ですので、ぜひ手にとって読んでみてください。       100年の旅(かんき出版 2020) ハイケ・フォーラ/文 ヴァレリオ・ヴィダリ/イラスト 前田まゆみ/訳  人生100年時代!0歳から始まり、99歳までの人生の喜びや悲しみ、老い、そして死……それぞれの年齢に添えられている短い言葉とイラストが、とても印象的な絵本です。私自身、時々、手にとって読み返したい本の1冊です。皆さんの今の年齢にはどんな言葉が添えられているでしょうか。         長宗武司先生の読書ノート スポーツまちづくりの教科書(青弓社 2019) 松橋崇史、高岡敦史/編著  「スポーツとまちづくり」と聞いて何を連想しますか?近年では広島カープで盛りあがる街など、スポーツで地域を活性化させる街が増えています。本書では岡山県内の事例も含め、全国の事例を体系的にまとめており、スポーツやまちづくりに興味のある方は必見です。         コトラーのマーケティング・コンセプト(東洋経済新報社 2003) フィリップ・コトラー/著 恩蔵直人/監訳 大川修二/訳  「商品やサービスをいかに売るか」。本書のマーケティング理論では、そのための広報や販売促進などの手法を論じています。よく「イベントの集客を増やすには?」、「効果的な広報手段は?」といった質問を受けますが、そのヒントは本書に隠れているかもしれません。           事務局 総務課 難波俊介さんの読書ノート ドーパミン中毒(新潮新書 2022) アンナ・レンブケ/著 恩蔵絢子/訳  ゲームやSNSに夢中になってしまったり、酒やギャンブル、薬物の依存症に陥ってしまったりするのには、「脳内麻薬」とも呼ばれる脳内化学物質ドーパミンが関与しているとのこと。  依存に陥ってしまう対象は数多。いまや誰しも無縁ではいられないのかもしれません。  この問題を、自身も依存症を経験したスタンフォード大学の医学部教授で依存症医学の第一人者である著者がわかりやすく解説され、脱出法や防衛術についてご教授くださいます。   60歳からはやりたい放題(扶桑社新書 2022) 和田秀樹/著  タイトルからして「?」と思わず手に取りたくなります。「ガンは治療しなければ理想的な死に方」とか、「お金はどんどん使ったほうが幸せになれる」とか、「結婚は2度するくらいがちょうどよい?」などと、なかなかセンセーショナルな内容が列挙されていますが、すらすら読めます。  読後は、老後に対する不安がなんとなく軽くなっています。気軽に読んで気楽になれる1冊。       越境刑事(PHP研究所 2022) 中山七里/著  著者は、『さよならドビュッシー』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞されています。  今作は、「アマゾネス」の異名をもつ千葉県警の高頭冴子警部の活躍を描くシリーズ第2弾。  新疆ウイグル自治区出身の留学生が殺害され、捜査に乗り出した高頭警部は、事件の真相を暴くため中国への捜査を強行しますが…。  ウイグル人の人権問題を題材にした今作。フィクションとはいえ、文化が滅びることの恐ろしさを痛感させられます。       学生課 古屋勅さんの読書ノート  何、このタイトル!こんなタイトル今時中学生でもつけない。この小説を初めて読んだのは二十歳頃だったろうか。一人の女性を巡り友人を死に追いやり、挙げ句に自分も自殺してしまう。三角関係のもつれ話か?以来、この年になるまで何回か読み返しているが読むごとに深みに落ち込んでいく。なるほど、そういうことか。よく三部作と言われるが、自分的にはこの小説が四部作の集大成に思える。作者は「夏目漱石」タイトルは「こころ」       草枕(新潮文庫 2005) 夏目漱石/著  小説は書き出しが命。そう信じて疑わない。読んでもらえなければ話にならない。たまたま手に取った小説の冒頭が印象的で暗記した。易しい言葉で世情を書いてある。ところがこれに騙された。内容は結構難解で、読むのに苦労した。上っ面だけだけど。「山道を登りながらこう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」若い時だからこそ、ちょっと背伸びして難しい小説を読んでみるのもいい。       登録日: 2023年1月23日 /  更新日: 2023年4月28日 このカテゴリー内の他のページ 2023年度 私の読書ノート(教職員推薦図書) 2022年度 私の読書ノート(教職員推薦図書) 2021年度 私の読書ノート(教職員推薦図書) 2020年度 私の読書ノート(教職員推薦図書) Site Navigation 新見公立大学 Webサイト作成ガイドライン ウェブサイト利用規約 プライバシーポリシー ご意見・ご感想・ご質問 サイトマップ

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