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ホームイベントBBLセミナー2005年度 愛・地球博の成果と評価 印刷 開催日 2005年12月22日 スピーカー 中村 利雄 (財団法人2005年日本国際博覧会協会事務総長) モデレータ 宮本 武史 (RIETI上席研究員/前経済産業省大臣官房審議官(国際博覧会担当)) 議事録 「愛・地球博」の位置付けこの博覧会は開催までに非常に長い紆余曲折があり、その間いろいろと知恵を絞り、だんだん研ぎ澄まされてきたという面はあると思います。万博は国際的にもちょうど曲がり角に来ており、とりわけ2000年のハノーバー万博では、目標入場者数が4000万人のところ1800万人しか入りませんでした。その後2002年にフランスのサンドニで小規模の映像博覧会を開催しようとしましたが、資金が集まらなくて中止となりました。愛・地球博がもし成功しなければ3連敗となり、さすがに立ち直れないということで、まさに正念場を迎えていました。1990年代にはBIE(博覧会国際事務局)でも万博の開催自体に相当の危機感があり、万博というのはどういうものでなければならないのかという議論がありました。その結果、「万博は地球的規模の課題の解決に貢献するものでなければならない」という提言がなされました。ハノーバー万博もそういう意味では質の高いものでしたが、愛・地球博も21世紀最初の博覧会ということで、地球的規模の課題の解決にどう貢献できるかということが問われていました。「自然の叡智」というテーマから求められる「エネルギー」、「環境」、「食糧」などの問題はすべて密接に関係していますが、それ以外に「異文化の相互理解」についても深く掘り下げました。世界がグローバル化する中で、それぞれの民族、文化がぶつかり合い、さまざまな紛争が起こったとき、価値観の相違からなかなか一定の方向へ向けた解決策が出てこないということがありますが、そうした異文化の多様性を認め合い、その上に立った連帯というものも要請されていました。それがあって初めて、環境問題のような地球的規模の課題も解決できるという認識で取り組みました。 「愛・地球博」の挑戦私たちは、万博でしかできない「表現」に挑戦しました。テーマパークやアミューズメントパークはたくさんあるではないか、海外旅行へ行けばいろいろと見られるではないかという議論もありましたが、やはり万博でしかできない表現というものを実現しようということです。そういう観点から、今回は「全身での表現」に取り組みました。1つは会場自身が見どころでしたし、また会場建設の過程もさまざまな新しいことへの挑戦でした。展示について申し上げますと、たとえばマンモスでは、博覧会協会が主体となって発掘調査を行い、研究し、シンポジウムを開催してその成果を発表しました。ロボットにおいても、プロトタイプロボットの開発から携わり、さまざまな実証テストを行い、さらにその場で見せて体験できるようなものにするなど、ただ単に見せるだけではなく、実際に体感できるよう工夫しました。イベントも今までにないものを採り入れたり、運営面でも、環境問題を意識した新しい技術の採用に積極的に挑戦しました。ただし運営面では、技術的には可能でも2000万人の人をさばくという点でうまくいくのかという問題が常にあり、その点ではどのように調整していくかという点で非常に悩みました。いろいろと新しいことに挑戦しましたので、初めての経験ということで改善を余儀なくされた部分はありました。この博覧会では全員が参加者という雰囲気があり、来場者がスタッフと交流したり、場合によっては来場者と来場者が交流する姿をよく見かけました。昨日も博覧会の報告会を名古屋で開催しましたが、定員2000人のところへ約9000人の応募がありました。会場内で出会った知り合いにまた会うために来場される方も実際にいらっしゃり、来場者自身も自分たちでこの博覧会をつくったというような意識になっているのが、非常に特徴的であると思います。 3つの評価軸9月25日の閉幕後に新聞各社論説で一斉に評価が出されるとともに、数値面での評価はすぐに明らかになりますが、それ以外に、この博覧会をどのような視点で評価し、総括すればよいかということで、6月末頃からそのための調査を行い、評価の指標を3つの軸に定めました。(1)「自然の叡智」というテーマがきちんと深化して、来場者を中心に新たな行動喚起につながったかどうか、(2)地球的課題の解決に向けた国際的な影響力になったかどうか、(3)プロジェクトとして成功したかどうか、こうした切り口から客観的に評価できる材料を用意して、その上でお裁きを受けようということで準備をしてきました。・テーマの深化と新たな行動喚起 テーマの「自然の叡智」とは、自然の摂理から謙虚に学び、持続可能な社会を創生するということで、私たちも「持続可能な社会の創生」を一番のキーワードとしました。それをどのような形で表現するかという点について述べますと、第1に「最先端技術の適用」で、未来を切り開く技術を見せようではないかということです。こうした技術は、新しい社会の仕組みや行動様式があって初めて効率的・効果的になるという面があり、従来の社会の構造のままでは課題も解決できないので、万博でしかできない実験的な試みに挑戦しました。第2に「多様な文化・価値観の共有」です。従来の万博は国、自治体、企業が参加主体でしたが、NGO、NPO、そして市民参加という視点でプロジェクトを募り、2年以上かけて立ち上げ、組織化し、会場内で見せるところまで作り上げました。結果的には、たとえば市民放送局を立ち上げたところ、そこを訪れた大学生が局員になってずっと働いていたことなど、新たな輪がどんどん広がっていきました。「地球市民村」というNPO、NGOの展示の場を設けましたが、万博が終わった後、ミニ地球市民村をまたやろうという動きが現に起きていますし、それぞれの団体も外国の団体とさらに連携していこうとする動きもあり、そういう意味でも新たな行動喚起につながったと思います。「テーマの深化」ということについて、それを具現化した領域・分野について紹介します。第1に「最先端技術の適用」という点では、エネルギー、環境技術、新交通システム、次世代ロボット、IT、先端映像システムなどが挙げられます。第2に「新たな社会行動やシステムの採用」という点では、ゴミの9分別、エコマネー、環境に配慮した建設とユニバーサルデザイン、パーク&ライド方式、エコツアー・森林体感プログラムなどです。第3に「多様な文化・価値観の共有」という点では、各国の展示においても文化の多様性が強調されていました。たとえばニュージーランドではマオリ、オーストラリアではアボリジニ、メキシコではマヤの系統、カナダはイヌイットなど、少数民族・先住民族の文化を強調して、それからヨーロッパの文化と交わり、その上に立った新しい文化を今つくろうとしているという趣旨の展示やイベントが多かったというのが特徴でした。国際交流という観点からは、愛知県内の全市町村が「一国一市町村フレンドシップ事業」を展開しました。これは各国から大変高く評価されました。また、私たちは外国からの公式参加者も大切なお客様と位置づけておりましたので、スタッフ間の国際交流ということで、協会主催で毎月パーティーを開催しました。警備や清掃スタッフまで招待したものもありましたので、大いに評価されました。シンポジウム・学術的な会議も会場内外で行いました。第4に「NGOや市民の参加」という点では、地球市民村、市民パビリオンなどです。ボランティアも約2万6000人が登録され、延べ約10万人が185日間の長期にわたって、通訳、案内、ごみの分別指導など、さまざまな分野で活動されました。2年近くかけて研修してから活動したというのも初めての経験でした。以下、これらを具体的に説明しますと、「最先端技術の適用」という点では「新エネルギー発電システム」です。これは会場内から出る生ごみでメタンを発酵して、そこから水素を取り出し燃料電池で発電をするものです。負荷調整をするためにさらにナトリウム電池を開発したり、太陽光発電を組み合わせるなどの実証実験を行い、長久手日本館の電力を賄うことに成功しました。メタンを発酵させた後の生ごみの残渣でトマトやナスを栽培してお配りするとか、レストランで提供するなど、新しい技術によってどういうことができるのかを具体的に見せる工夫をしました。それから「生分解性プラスティック」製の食器も、会場内のレストランで使用しました。バナーや案内図も生分解性プラスティックでした。生分解性プラスティックの劣化したものを集めて、植木鉢として再生するということも行いました。「万博エコマップ」を作成し、会場内のどこにどういう新素材が使われているかを表示して、それを探検できるようにもしました。「新たな社会行動やシステムの採用」という点では「ゴミの9分別」で、ごみ箱は透明のものを採用しました。これは中身を見せたいと思って透明にしたのではなく、テロ対策として不審物があったときに直ちに分かるようにということでした。分別は結果的にごみの減量化にもつながり、来場者1人当たり約300グラムのごみの発生量を想定していましたが、約250グラムで済みました。それから会場内外で「EXPOエコマネー」を導入しました。エコマネーの概念はすでに提唱されていましたが、今回は入場券にミューチップが埋め込まれ、全てID番号が入っていましたので、そのID番号にポイントを加算することとしました。たとえばレジ袋を断ると1ポイント付くとか、地下鉄に乗ると1ポイント付くという仕組みにし、こうしたポイントを集めると賞品がもらえたり、集めたポイントを植林活動に寄付をすることもできました。最終的には、交換されたポイントの約4分の1が寄付となりました。エコマネーの輪は会期中からどんどん広がりを見せ、スーパーやコンビニなどで新たに導入しようという動きがあります。閉幕後のエコマネーセンターについては、今後の運営条件を検討しつつ、とりあえず博覧会協会が存続している期間は延長しましょうということで、11月に名古屋市内で再開しました。「多様な文化・価値観の共有」という点では、外国人の来場者調査によると、万博で一番関心があったことは国際交流でした。外国の方もそんなにたくさん旅行しているわけではないので、やはり異文化間の国際交流は面白い、楽しいという感想のようです。「NGOや市民の参加」という点では、ボランティア活動に約2万6000人の登録があり、私たちスタッフと同じ意識で活動をしていただきました。NGO・NPOも本格的な出展という点では今回の万博が初めての経験でした。会期途中から参加者が増えたり、会期終了後も参加の輪が広がるなど、大変大きな成果を上げていると思います。来場者調査を見ても、こうした活動に今後積極的に参加しようと思う方の割合が大変高くなっております。今回はテーマを重視し、よりテーマに則した展示をしてほしいという観点から、BIEから賞を出すこととなりました。1回目は外観や内装、2回目がメッセージ性ということで2回実施しました。国を表彰するということは結果に対して抵抗がありまして、外交ルートを通じて抗議する国もあるなど、国レベルになるとなかなか難しい問題があります。そこまでいかなくても採点に不満を言う人はいるわけですが、あえて今回は、テーマ性を重視するという観点から58年ぶりに導入いたしました。会場内外のシンポジウムも7回行い、最後は20代半ばの留学生が未来への宣言文をまとめるという形で締めくくりました。なかなかいい文章にまとまっていますが、彼ら自身も侃々諤々の議論をして、多様性を認め合うことが地球的規模の課題の解決にいかに大切かということを訴えています。博覧会のテーマがどの程度浸透したかという点で、私たちは来場者調査を実施しました。ティーンエイジャーは面接で行い、一般来場者はウェブで行いました。いずれも「理解が深まった」、「実感できた」という方が8割、9割を占めています。また、行動喚起という点では「もっと勉強しよう」あるいは「行動しよう」と答えた方の割合が高く、大きなモチベーションを与えることができたのではないかと思います。これとは別に、テーマを環境に絞った調査も行いました。「自家用車の利用を控え、公共交通機関をできるだけ利用する」という項目では、来場前の方は14.8%が「積極的に行っていた」ということですが、それが来場後は33.2%に増えるなど、いずれも環境に配慮した行動を積極的に行おうという方の割合が増えています。また、環境に配慮したどのような活動が印象に残ったかという調査をしたところ、1位が45.5%で「ごみの分別収集」、2位が「新エネルギー」、3位が「ドライミスト」でした。今回は暑さ対策でドライミストを大々的にやりましたが、大変印象的であったようです。4位が「IMTS(インテリジェント・マルチモード・トランジェット・システム)」、「リニモ」、「パーク&ライド」で、5位が「壁面緑化(バイオラング)」でした。・地球的課題解決への国際的な影響力 「国際的な関心の喚起」という点では、首相級以上の訪問が48件で、たとえばインドネシアの大統領は10人ぐらい閣僚を連れてきましたが、これは1件とカウントしています。閣僚級の訪問も195件ありましたから、実際の人数は閣僚以上だけでもその倍以上になると思います。海外プレスも75カ国、380メディア、約1800人の来訪がありました。参加各国の広報のご支援も得て、小泉首相にも海外向けのコマーシャルに登場していただいたり、世界の著名紙に広告を出したりした結果、海外でも多く取り上げられました。そういうことが評価されて、会期の半ばにはBIEから「祝意と賛辞」宣言という前例のない応援メッセージをいただきました。・プロジェクトとしての成功 今回は運営面でさまざまな新しいことに挑戦しました。まず、入場券にミューチップを埋め込み、事前予約やサポートナビを導入しました。また、AED(自動体外式除細動器)を配置する、救急救命医に常駐していただく、救急車の小型版のような電気自動車が会場内を走り回るなど、万全の医療体制を整えました。そのおかげで今回の博覧会では事故はゼロでした。食中毒も正確にいうとゼロでしたし、熱中症も重症患者はゼロでした。会期中4人の方が発作により心停止になりましたが、3人の方がAEDによって助かり、社会復帰されました。その結果、AEDは大変注目され、1台130万円で100台近く設置しましたが、約10倍の台数の譲渡希望が届いております。暑さ対策という点では、「日々改善」の一環として、無料でミネラルウォーターを配る、うちわの無料配布、EXPOドームでは氷を配るなどのサービスを実施しました。こうした取り組みは来場者に高く評価されたと思います。ドライミストも暑い日差しを緩和する上で非常に効果的でした。日よけ・雨よけについては、事前に十分確保されておりませんでしたので、会期が始まってから野球場1個分のテントを新たに設置し、ベンチの数も約2500席増設しました。昨年の秋から手当をしていましたので、それを合わせれば約5000席の増設となりました。入場時間の平準化という点では、会場内外の混雑を緩和するため、いかにお客様の時間別平準化を図るかということが重要でした。そのため会期途中から、ナイトパレード、トワイライトコンサートなど、さまざまなイベントを導入しました。また、会場内の分散を図ることも重要でしたので、イルミネーションプロムナードを造ったり、着ぐるみを出すなどの工夫によって、お客様を誘導しました。IT関係では、協会内に情報センターを設置し、マルチソース・マルチユースなどの新しい試みを運営サポートや来場者サービスに採り入れました。マルチソースとは、パビリオンの待ち時間、会場内の混雑状況、会場内の規制、観覧予約の状況、取材予定、イベント情報、交通情報、天気予報など、さまざまな情報を全てセンターに集約して編集することです。さらにそうした情報をマルチユースということで、パソコン、携帯電話、会場内の情報掲示板、各自治体が持っている大型スクリーン、放送局など、それぞれの媒体に合った形に編集・加工したものを提供しました。情報センターでは、マスコミ、広告代理店などからも人材を送り込んでもらい、常時約120人のスタッフが編集に当たっていました。個々のお客様へのサービスとしては、サポートナビを導入しました。これは、会場へ行く場合にどのルートを通っていくかというプランをパソコン、携帯電話から作ることができるもので、結果的には、サポートナビのアクセス件数と実際の入場者数との間に相関関係がありました。観覧予約システムについては、今回は座席数の2割程度を予約に振り向けました。全席予約という要望もありましたが、そうすれば予約が取れない限り来場されなくなってしまいますし、キャンセルも発生します。どのくらいの比率で予約を入れるか、予約が2割というのは運営的にどうなのか、最大集客で最大利便性を図るという矛盾をどうやって両立させるかという点で、非常に難しい問題がありました。観覧予約は1カ月前の2月25日から受付を開始しましたが、結果的にはこれも、初日に何人予約が埋まるかという比率と実際の来場者数が非常にリンクしていました。3月末は客が少なかったのですが、3月末に予約をした人、つまり4月末の予約は受付初日にほぼ100%埋まっていました。ですから、4月下旬以降はかなりのお客様が来場されるだろうということは、ある程度予測していました。観覧予約システムには、開始当初から予想を大幅に超えるアクセスが殺到し、会期前に2度、容量がパンクして大幅な増設をしました。1日平均で約2000万件という膨大なアクセスがありました。ITS(高度交通システム)も円滑に機能しました。パーク&ライド駐車場は、用地の制約からそれぞれの場所が離れていたため、大きな渋滞は発生しませんでした。ただし、それぞれが離れていますから、ある駐車場が込んでいて、ある駐車場が空いていると、シャトルバスの配車が大変でした。結果的には当初の計画は全く役に立たないということで途中ですべてスクラップし、3回にわたって基本的な配車体制を見直しました。さらに1週間単位で台数の見直しを行い、その日の状況によってバスを回すと体制を取りました。その結果、90分以上の待ち時間は徐々に減少しましたが、それでも40分以上の待ち時間が、名古屋空港駐車場では131日もありました。早いお客様は夜中の3時や4時頃から来られるものですから、その体制づくりは非常に大変でした。輸送分担率としましては、さまざまな情報提供が効果を生み最終的には鉄道系と道路系がほぼ半々となりました。最終的な入場者総数は約2200万人、1日の最多入場は28万人でした。大阪万博の最多入場が83万人ですからそれに比べれば少ないのですが、ディズニーランドが年間約2500万人ですので、それなりの数字であったと思います。最少入場日は3月25日で、初日のワースト記録は最後まで更新することはありませんでした。全期間入場券にはすべてID番号がありますので何回入ったかはすぐ分かります。最高が270回、平均は11回でした。この博覧会の経済効果について、UFJ総研および名古屋大学の根本先生と共同で研究を行いました。最も広義に見た場合が、建設費で2兆8000億円。これは中部国際空港と第二東名、東海環状自動車道等の建設費を含めたものです。それから、博覧会協会の運営費、出展者の運営費等が約2000億円、来場者の交通費、宿泊費、食事代、お土産代等の支出が約5000億円で、合計約3兆5000億円の支出がこの8年間にありました。ただし、これは将来における効果を含んでおりません。第二東名は豊田から四日市をつなぐ伊勢湾岸自動車道になっており、東海環状自動車道は豊田から瀬戸、岐阜県をつなぐ東京でいえば外環自動車道のようなもので、決して過疎地を回る道路ではありません。名古屋圏の経済の効率化に結び付き、将来における効果も相当期待できると思っています。 地球社会への遺産愛・地球博は、多くの方々に地球的課題に対する理解を生み、新たな行動へ移そう、しかも連帯しなければいけないという意識を植え付けたという点で、それが最も大きな無形の遺産ではないかと思います。今後はこれらの資産を生かす上でも、より具体的な仕組み、より効果的な普及方法、あるいは実用化のための技術的な改善が求められます。そうした具体化によって愛・地球博から生まれた芽をさらに伸ばしていくこと、これが今後の課題だと考えております。 質疑応答Q:跡地問題についてはいかがでしょうか。また、かなりの剰余金が生じたようですが、その使途はどのように議論されているのか教えてください。 A:まず跡地は、もともと公園でしたので、基本的には元に戻すということで、都市公園として整備することになっていました。現実には、この博覧会が大成功を収め、地元の方々も思い入れが非常に強くなりましたので、ただ単に元に戻すということでいいのかということで、どういう公園にするか侃々諤々の議論になっています。たとえば「サツキとメイの家」や「グローバル・ループ」の一部は残す方向で撤去工事を行っておりますが、もう少し万博の思い出の残った公園にすべきではないかということで議論されています。 剰余金について申し上げますと、2200万人と目標入場者数を5割程度上回りましたので、二百数十億円の収入増がありましたが、日々改善ということでイベントも含めて相当支出をしましたし、撤去工事費もかさんでおります。今のところ公式見解では45~75億円の利益が残るということになっています。大阪万博、つくば博、大阪花博では財団法人が設立されておりますが、今回は、財団は作らないでメモリアルなものに活用し、残った資金は協会の承継団体に渡して、そこからNPO・NGOを支援しようと思っています。 モデレータ:最初の頃愛・地球博は評価が厳しかったと思いますが、ゴールデンウィーク明け頃から来場者数も増え、ワイドショーやテレビなどでの論調も好意的になってきました。そして終わってみたら大成功でした。マスコミの論調や来場者の評価が途中から変わってきた要因がもしありましたら教えてください。 A:「日々改善」というのが、お客様の不満を和らげる上で非常に良かったと思います。名古屋のあるテレビ局では、「最近は協会に文句を言うとすぐ直してくれるから、どんどん言おう」と番組で言っていました。第1はそういう意味で非常にいい感情を持っていただいたということが大きいと思います。第2は実際に会場に足を運んで、「なかなか面白いぞ」ということがだんだんクチコミで広がったことだと思います。トワイライトコンサートなどは連日かなりハイレベルのアーティストを呼んで開催しました。第3は、お客様どうしの交流や、スタッフとお客様との交流が生まれ、「見に行く」というより「参加する」ために来場される方が増えてきたというのも大変面白い現象だったと思います。 Q:あれだけ多くの施設、人員と、ましてボランティアの方もみえる中で、どういう責任体制を作り、どのように意識改革を図り、そして求心力をどのように高めていかれたのでしょうか。 A:3月に内覧会を開催しましたが、いろいろと混乱がありました。たとえば警備や案内スタッフの教育が十分ではなく、お客様から何か尋ねられても、ここは駄目とは言えてもではこちらへお回りくださいとは言えないとか、この点を改善すると今度はこちらの方に影響するとか、そういったさまざまな問題が明らかになりました。それで、すべての職員が問題意識を共有し現場で何が起きているかを把握するべきだろうということで、内覧会当日の夜、部長級以上約50人全員を召集して会議を開きました。その後はこの全体調整会議で課題を報告してもらい、方針を決めるということとしました。会議は毎週1回開催し、その場で大体の方向性を出し、詰めなければいけないことは3日以内にすべて結論を出すという体制を取りました。 それから、先ほど申し上げましたスタッフ間のパーティーも、情報交換やモチベーションの向上につながり、大変良かったと思います。スタッフだけでも約2万人ですから、わずか3日間の内覧会で訓練するだけではとても習熟できません。そういう点では、スタッフ全員がそれぞれの持ち場で日々努力をした結果の成功であったと思います。 この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 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