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RIETI-IZA政策シンポジウム「高齢者就業促進に向けた労働市場制度改革」においては、各国の経験とエビデンス、そして日本への示唆について話合われた。 議事概要 開会挨拶 藤田 昌久 (RIETI所長・CRO/甲南大学特別客員教授/京都大学経済研究所特任教授) OECDの推計によると、高齢者従属比率(15~64歳人口に対する65歳以上人口の割合)は、日本、スペイン、イタリア、ギリシャといった国々で2050年には60%を超える。つまり生産年齢人口1人当たり高齢者が0.6人という「肩車社会」に近づきつつある。 本日のシンポジウムでは、アメリカ、ヨーロッパ、日本のそれぞれにおいて、高齢者の雇用促進政策が高齢者あるいは他の年齢層の就業機会に与える影響について講演いただいた後、今後の日本の高齢者雇用対策を考えるとき、世界の経験からどのようなことが学べるかを話し合っていきたい。本日のシンポジウムを通じ、RIETIおよびIZAにおける高齢者就業促進に向けたこれまでの研究活動の成果が皆様に伝わり、政策形成の材料となることを願っている。 開会挨拶およびIZA労働問題研究所の紹介 アレッシオ J. G. ブラウン (IZA戦略・研究管理部門ディレクター) 労働問題研究所(IZA(http://wol.iza.org ))は世界の労働市場の分析に取り組んでいる独立研究機関で、経済学の分野では最大の研究ネットワークでもある。IZAの専門家は、研究成果と得られたエビデンスベースの科学的な政策提言を行っており、これはIZAの中心的な目的である。 経済政策が成功し、厚生を拡大するためには、科学的な助言が不可欠である。エビデンスベースの政策決定とは、イデオロギーではなく、確固としたエビデンスを採用して政策を決定し、望ましい公共政策を進めることである。これに基づいた政策への科学的助言は、実行可能な選択肢を提供し、その影響について明らかにする。これによって政策立案者は、エビデンスに基づいて判断し、最終的に自ら決定することができる。 適切な助言を行うためには、独立した助言であるのみならず、専門家による審査を経た、国際競争力のある事前研究をベースとした助言でなくてはならない。厳しい科学倫理規則、基準を順守し、利益相反を開示する必要がある。また、政策プログラムの実施前にはデータ収集が必要であるが、データへのアクセスも不可欠だ。政策の実施段階においては、独立した科学的評価の必要性はほとんど無視されている。そのため、エビデンスベースの政策立案では、繰り返しエビデンスを示さざるを得ない。 科学と政策立案の関係は、さらに重要な課題に直面している。通常、学術的な科学は、政策への助言を直接の目的としていない。したがって、多くの問題に関する実証的なエビデンスがあっても、政策立案者と無関係だったり、直接使用できない場合が多い。IZAはこの深刻なギャップを埋めており、無所属の立場でエビデンスベースの政策立案に役立つサービスを提供し、既存のエビデンスを「翻訳」し、わかりやすくしているのである。IZAは労働市場の主要な問題について、入手可能な最先端の知識を実用的な形に濃縮し、既存のエビデンスを用いて機能的な政策提言と社会的に価値のある知見を導きだしている。 ジャーナリスト、経済学を学ぶ学生、労働問題に関心を持つ一般市民など、世界中の人たちがIZAの知識に自由にアクセスできるようにすることで、エビデンスベースの政策立案の推進に貢献することを目指している。 基調講演 「米国における年齢差別禁止法と年齢差別」 デイビッド・ニューマーク (カリフォルニア大学アーバイン校経済学部教授/IZAリサーチフェロー) すべての先進国が高齢化の問題、特に高齢者にもっと働いてもらい、年金制度を支えてもらうという課題に直面している。では、年齢差別はどの程度問題になっているのだろうか。 失業者が高齢であるほど、仕事を見つけるまでに時間を要し、一般的に高齢の労働者に対するネガティブな先入観がある。米国の労働市場で年齢差別が問題になっているというエビデンスは他にもある。米国では年齢差別を禁止する法律が制定されており、高齢の労働者の解雇を防ぎ、高齢者の就業率を約4%上昇させたと考えられている。しかし実際には、解雇を防ぐ法律であって、採用に関する法律ではない。 この法律はほとんどが裁判によって強制されるため、採用に関してはそれほど効果がない。第1に、企業に課せられる罰金は経済的損害に基づいて決定されており、採用の場合、損害は低額である。これとは対照的に、55歳の労働者を解雇する場合は、健康保険と解雇によって失われる年金積立額を補う必要があるため、高額になる。第2に、最も勝算の高い差別訴訟は集団代表訴訟だが、採用の場合、損害を受けている集団の特定は難しい。高齢者雇用を大幅に拡大するには、「キャリア後」の仕事への採用という形をとることが必要であり、この点は問題になる可能性がある。 ここで、年齢差別に関する2つの研究について話したい。1つ目は、法律をより厳しくすることは高齢労働者の労働供給を増やす効果があるのかを計測した研究である。米国は社会保険制度を改革し、年金が全額支給される年齢を引き上げ、早期退職者への年金支給額を引き下げた。それでは、この政策変更の効果は年齢差別によって低下してしまうのだろうか。米国では年齢差別に関する法律が州によって異なるので、この点を計測できる。より厳しい法律がある州では、高齢労働者が社会保険制度の変化により敏感に反応しているのは事実である。 2つ目は米国の金融危機に関する研究で、この時期、高齢労働者の失業期間は大幅に長期化し、年齢差別に関する訴訟の数が急激に増え、高止まりしている。この場合、より法律が厳しい州において、他の州と比較して失業率が上昇し、失業期間が大幅に長期化した。こうしてみると、深刻な不況の時期にはこのような法律は役にたたないようだ。つまり、高齢労働者の採用コストがより高くなるからであり、労働力の需要が不確かな時期においては、高齢者を解雇し、年齢差別で訴えられることを企業が心配するからだと考えられる。 全般的には、年齢差別に関する法律が厳しいほど高齢者が働き続けること、または仕事を見つけやすくなる可能性が高く、働き続ける期間の延長を目的とした他の政策に関する改革の効果も高めることがエビデンスによって示されている。 「解雇規制は高齢者雇用と若者雇用にどのような影響を与えるか」 フアン F. ヒメノ (スペイン中央銀行調査部門責任者/IZAリサーチフェロー) 欧州の人口動態の状況は日本ほど厳しくはないが、失業率も若年失業率もすでに最悪の水準に陥っている。欧州では65歳以上の労働者はほとんどいない。高齢化が最も深刻なのは日本だが、日本の高齢者の就業率は世界で最高水準である。高齢者の雇用促進政策については、日本が欧州から学ぶことよりも、逆に欧州が日本から学ぶことの方がずっと多い。 どのようなエビデンスが労働市場の変化を提案できるのか? まず、金融危機に際する各国の労働市場の動向に関する研究がある。この研究で最も興味深いのは大幅に失業率が上昇した国のケースだ。スペインでは、雇用喪失の拡大については、若年層に比べて高齢者は、かなり小規模だった。教育水準の低い若年女性のグループが最も深刻な影響を受けた。 このデータを分析すると、国や年齢・性別による違いはあるのか、労働市場制度と関係があるのかがわかる。労働市場制度が雇用の創出・喪失に及ぼす影響は、年齢・性別によってどのように違うのか理解するため、ごく基本的な回帰分析を行った。 雇用に関する法律が非常に厳しければ、雇用喪失は減る。雇用喪失が減ると、若年労働者は高齢労働者に比べて保護されない状態になる。臨時雇用契約の場合、高齢労働者を解雇するより、若年労働者を解雇する方が簡単だ。大きな違いではないが、欧州各国の労働市場制度の違いによって雇用の創出・喪失にどう影響するのかが示されている。 このように基本的な回帰分析を行うことで、法律が異なる年齢・性別の集団の雇用喪失に与える影響をある程度理解できる。失業保険、賃金、労働組合組織率、団体交渉が行われる程度についても、同様の回帰分析を実施した。この結果、制度の違いが失業者の就業や雇用の創出を左右するということがわかった。 賃金と生産性の関係が、労働市場政策がこれらの動向を特に厳しいものにしている可能性がある。ほとんどの労働市場では年功序列型賃金体系が採用されており、雇用保護制度の下、勤続年数の長い労働者が優先的に保護されるため、一般に高齢労働者は若年労働者より交渉力が強い。したがって、賃金は年齢とともに上昇する。一方、生産性は年齢とともに低下するため、企業は賃金と生産性の深刻な不均衡に直面する。このことは企業にとって若年労働者を雇用するインセンティブになるはずだが、雇用保護制度が厳格過ぎる。若い労働者は臨時契約で雇用されることが多く、解雇する際のコストが低い。雇用保護制度が若者の失業に及ぼす影響は非常に大きい。 雇用の機会と福利は中立的でなければならない。企業は従業員研修や失業給付などによって解雇の社会的費用を吸収するべきである。また、労働者の解雇におけるもう1つの重要な要素は、企業が受ける悪評である。かつて社会保険が十分だった時には、労働者の解雇は問題にならなかった。しかし、定年退職は解決策ではない。 技能への投資のインセンティブが異なるという現実のため、企業にとって高齢労働者の魅力は低い。特定の人的資源を若年層に移転するという観点からはすべての労働者は有用であり、これ以外に方法はない。 「日本の雇用状況と高齢者雇用に関する法改正について」 近藤 絢子 (横浜国立大学国際社会科学研究院准教授) 日本における50代後半から60代にかけての労働力率と就業率の動向をみると、近年の特徴として、60代前半の就業率の上昇が挙げられる。これは政策変更の影響であり、労働力率も上昇しているが、それ以上に就業率が上昇していることがわかる。 女性は、どの年代も男性に比べて労働力率・就業率ともに低く、かなりの割合がパートタイム労働者か自営業の家族従業者となっている。ただし、どの年代でも就業率は上昇傾向にある。また、就業率と労働力率の差が小さい(失業者が少ない)という特徴がみられる。 60代以上の就業率を国際比較しても、日本の60代の就業率は諸外国に比べて比較的高く、特に60代前半の男性の就業率は突出して高い。これは、高年齢者雇用安定法と関係している。65歳以上の男性の就業率も高く、4人に1人は仕事をしていることがわかる。女性の就業率も比較的高くなっている。より若い世代で日本の女性の就業率は比較的低いが、高齢世代では米国と大差なく、スウェーデン以外の欧州よりも高い水準にある。 なぜ、このように就業率が高いのか。その理由として、大きく2つが挙げられる。第1に、自営業者に対する年金があまり多くないためである。国民年金だけでは暮らせないため、しかたなく仕事を続けているという話はよく聞くところである。第2に、健康維持のため、生きがいや社会参加といった金銭以外の理由で就業を希望する人も比較的多い。 2000年代には、年金制度の改革(厚生年金の支給開始年齢引き上げ)を受け、高年齢者雇用安定法が改正された。どちらの制度変更も主に60歳で定年を迎えるまで正規雇用で働いていた60代前半の男性に影響を及ぼしている。 年金支給開始年齢の引き上げに加えて、2005年4月に行われた在職老齢年金制度の変更では、年金支給対象年齢の人が厚生年金加入資格のある働き方をして給料が支払われた場合の20%一律減額の部分が廃止された。この制度変更も、高齢者の就業を促進する働きがあったと考えられる。 もう1つの大きな制度変更は、2006年の高年齢者雇用安定法の改正である。2001年から年金の支給開始年齢が引き上げられたため、年金支給開始年齢と定年退職年齢との間のギャップを埋めるべく高年齢者雇用安定法が改正され、年金の支給開始年齢引き上げ開始5年後の2006年4月に施行された。この改正は、それまで自発的に広く行われてきた継続雇用制度を明示的に義務化したものといえる。これらの制度変更は、とりわけ大規模事業所で働いていた男性の被雇用者に大きな影響を与えた。 このようにして高齢者の雇用を守ることで、他の若い世代にしわ寄せがあるかどうかについて、明確なエビデンスはまだない。乏しいデータを駆使した研究では、高齢者の雇用を守ることによる新卒の若者への影響はないことを示唆する結果が報告されている。ただし、私自身の研究結果によると、再雇用の高齢者がパートタイマーの中高年女性を代替している可能性は否定できない。 今後、有効な政策を考える上で、女性の労働供給に与える影響の分析は不可欠である。人口が減少していく中、労働力確保の観点で女性の労働供給を増やすことは大事であり、注視していくべき点といえる。また、企業の生産性への影響についても、しかるべきデータを蓄積して実証する必要がある。 パネルディスカッション「高齢者雇用促進:エビデンスに基づく政策立案」 イントロダクション:「『限定正社員』から日本人の働き方を変える」 鶴 光太郎 (内閣府規制改革会議委員(雇用ワーキング・グループ座長)/RIETIプログラムディレクター・ファカルティフェロー/慶應義塾大学大学院商学研究科教授) 日本では、「限定正社員」についてあまり議論されていない。日本の雇用制度および賃金と在職期間の関係を理解することが重要である。チームワーク、水平的な情報共有が決定的な特徴である。 しかしながら、日本の雇用制度の盲点は、仕事の範囲が無制限なことである。臨時契約社員も、転勤や残業などについて正社員と同じ条件を受け入れざるをえない。限定正社員の場合、仕事の範囲がはっきり定義される代わりに賃金は低くなる。さらに重要なのは、限定正社員を雇用するのに法律上の規制がない点である。 日本の人事部門は海外と大きく異なる。仕事の範囲が無制限だということは、日本におけるワーク・ライフ・バランスに深い意味がある。正社員の解雇は難しいので、有期雇用契約社員が好まれる。有期雇用社員の契約には任期があるが、職務内容は同じである。通常の正社員は非常に長い残業を要求され、女性のキャリア継続を大きく阻害している。 日本ではいまだに、従業員の解雇ルールを厳格に捉え、従業員の自主的な退職を促す風潮がある。しかし、賃金は生産性ではなく年功序列的に上昇するため、従業員は、ネガティブな圧力や嫌がらせを受けても、同じ会社に留まろうとするインセンティブが働く。定年制度も変化し、60歳以上になっても働くことを希望する社員は全員が勤務を継続できる。日本の企業は多くの困難に直面している。 ディスカッション モデレータ 川口 大司 (RIETIファカルティフェロー/一橋大学大学院経済学研究科教授/IZAリサーチフェロー) 日本の高齢者の就業率はかなり高いが、日本に高齢者雇用の問題がないわけではない。日本の高齢労働者に関連する中心的な問題は、ほとんどの場合、年金制度の持続可能性である。日本政府は国民年金の支給年齢を65 歳まで引き上げ、他の年金についても2025 年までに引き上げることを予定している。その中で定年退職年齢と年金支給開始年齢のギャップについて解決しなくてはならない。 年金支給開始年齢が引き上げられる一方、定年退職せざるを得ない高齢労働者は収入を確保するため求職活動を熱心にするので、政府の介入は必要ないという主張がある。しかしながら、日本には年齢差別を防止する法律はあるものの、新卒限定の採用も合法とされるなど法の効力には限界もある。そのため、現行の制度が働く意思を持った高齢者の雇用を十分に確保しているのか検討の余地がある。 高齢労働者の就業を増やせば若者や女性など、他の労働者の働く機会が減るとして政府の介入に反対する主張もある。高齢者雇用安定法は、この法律の保護を受ける権利のない集団の就業機会を妨げるというのである。 これらの点についてパネリストの皆さんのご意見を伺いたい。 ニューマーク: 日本の企業が定年退職制度を採用しているのは、おそらく、企業にとって都合がよいからだろう。退職が60歳か65歳なのかが問題ではなく、退職後どうするかが問題である。 鶴: 日本では定年退職後の賃金がなぜこれほど急激に減少するのかを考えることが重要である。日本の年功序列制度において、定年前と後の賃金の差は非常に大きい。 ヒメノ: 欧州でも年齢に基づく給与体系が標準的だが、状況は日本とはまったく違う。欧州では、日本で想定されているような賃金体系はなく、定年退職の制度もない。実際、欧州では日本とはまったく逆に、労働者が早く退職してしまうことと、高齢者の就業率が低すぎる点が問題となっている。 近藤: 現状では、日本の労働者は60歳時点での大幅な賃金カットを余儀なくされているが、失業保険から相当な額の手当を受けとることでこれを受け入れている面がある。これは理想的とはいえないが、うまい妥協策だといえる。賃金体系をもっとフラットなものにするべきなのか、定年退職の年齢を引き上げるべきなのか、それとも、年齢差別に関する法律を施行すべきなのか、あるいは現状を維持するのか、そういったことはこれからじっくり議論すべきことだと思う。 鶴: ミッド・キャリア向けの限定正社員制度を導入することは1つの解決策だと思う。限定正社員はさまざまな職務を学び、多面的なスキルを身につけることができる。だから、限定正社員の賃金は能力ではなく職務に合わせたものであるべきだ。いずれにしろ日本は変わらなくてはならないのだから、ワーク・ライフ・バランスを改善できる制度をめざすべきである。日本型の雇用制度はかつてうまくいっていたが、今は機能不全の面もある。制度が現実に適応する過程で、非正規の従業員は雇用保障面で非常に不安定な立場に置かれており、これは大きな社会問題となっている。 ニューマーク: これまでの議論は、労働者がいわば定年を延期して、その結果賃金が大幅に減るという現象に焦点をあててきた。しかしながら、採用面でもかなりの年齢差別が行われている可能性がある。基本的に、企業は「いやなら来るな」という強気の態度で非常に低い賃金を提示しており、他に選択肢のない労働者はそれを受け入れざるをえない。 もう1つ見逃してはならないことは、高齢者の雇用拡大だけが労働者の人数を増やす唯一の選択肢ではないということである。日本の女性は他の先進国と比較してかなりひどい状況におかれている。そしてもう1つ、移民という選択肢も考慮する必要がある。 ヒメノ: 欧州では、この問題には多くの対処方法を採用しなければならないことを学んできた。複数の異なる調整方法をとった国は、金融危機の際にうまく適応できた。たとえば、ドイツは労働時間や生産性などを調整し、失業率の急激な上昇を回避できた。スペインは臨時雇用のみを調整したため、失業率は急激に上昇した。高齢者雇用についていえば、技能が非常に高く、企業にとって価値の大きい労働者は、それまでと同程度、もしくはそれ以上の賃金で再雇用しても良いだろう。生産性の低い労働者には失業保険を提供することによって、定年退職者が新しい仕事を見つけられない場合でも、企業が定年退職の社会的費用を吸収するのである。このような追加的手段によって、状況は改善できる。 ニューマーク: 高年齢者雇用安定法が女性など他の集団に及ぼす影響を調べるには、どうすればよいだろうか。中年女性の就業率が40%から70%に上昇すれば、労働力の大幅な増加になるはずである。 近藤: 労働力拡大の政策ということなら、女性の雇用のほうが高齢者の雇用と比べてはるかに大きな拡大の余地がある。高齢者の就業率はすでにかなり高い水準にある。また、今のところ高年齢者雇用安定法は、中年女性のパートタイム労働者以外の集団にはあまりマイナスの影響を及ぼしていないが、もし、政府が企業に定年引き上げを義務づけた場合、まったく異なる形で代替効果がはたらく可能性があり、別の集団にしわ寄せがいく恐れはある。 ヒメノ: 女性と高齢者、両方の就業率を引き上げることが重要である。給付金を減らさないのであれば生産性に比例した支給額にしなくてはならず、就業率を倍にしなければならないということになるが、そんなことは不可能だ。給付金の削減を最低限に抑えながら持続可能な社会福祉制度を実現させるには、女性の雇用と高齢者の雇用、どちらも拡大する必要がある。 ニューマーク: 高い従属人口指数という現状を考えると、高齢者の雇用拡大と、女性の雇用拡大は双方重要である。 ヒメノ: 欧州の多くの国では、金融危機以前は、高齢者の雇用が拡大する一方、若年層の失業も縮小していた。金融危機の間に状況は変化し、高齢者の就業率と若者の失業率のどちらも上昇したのである。 鶴: 日本の企業は毎年採用する新卒者の人数をあらかじめ決定している。日本企業では新卒者の採用が好まれるので、高齢労働者再雇用の余地は小さい。企業は多様な労働者の採用に取り組むべきである。高齢労働者の果たす役割は新卒者と異なるからである。 質疑応答 質問1: ロボットや人工知能の導入は、若者や高年齢者の雇用にどんな影響をもたらすか? ニューマーク: 長年にわたり、機械化と技術によって雇用が喪失してしまうと心配されてきたが、現実のものとはなっていない。賃金の分布に影響する可能性はあるが、総合的に見て雇用が喪失することはおそらくないだろう。 ヒメノ: 今回はこれまでとは違うかもしれない。高貯蓄・低投資が需要不足を招いているからである。労働所得の分布が二極化する可能性がある。 近藤: 分配の問題はあるかもしれない。イノベーションによって生産性が向上すれば、少ない労働でより多くを生産できるようになる。分配の問題がなければ、すべての人が恩恵を受けられる。賃金も上昇するはずである。 質問2: 藤田昌久所長は開会挨拶で、高齢者の積極的な労働参加を促すためには大幅な制度改革が必要だと述べている。何か提案はあるか? 鶴: 単に人的資源の管理の問題だと思う。特に大企業では、いまだに現行の雇用モデルと賃金体系が良いと考えられている。どちらも持続は不可能だが、強い慣性が働いている。20年ほど前から企業が非正規雇用を増やし始めたが、今では歯止めがきかなくなってしまった。日本人がみずから意識を変え、対応していく必要がある。 ニューマーク: 政府は法律の施行によってどんな変化をおこせるのだろうか? 企業の改革を妨げているのが硬直性だとすれば、硬直性について明らかにし、政府にできることを考えてみる必要がある。企業1 社で変化はおこすことはできない。協調性の問題だからだ。 質問3: 限定正社員について、もっと詳しく説明いただきたい。 鶴: 均衡処遇を実現し、労働市場の流動性を促進しなければ、ますます格差が拡大してしまう。日本の限定正社員の市場はまだ十分に成長していない。当然のことながら、組織の中で誰がどのような待遇を受けているかを調査する必要がある。妥当な説明のできる違いであるならば必ずしも悪いことではないが、労働者間の格差は最小限にしていかなければならない。 イベント シンポジウム ワークショップ 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