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ホームイベントBBLセミナー2002年度 米テロ後の日米関係—安全保障と経済発展 印刷 開催日 2002年4月2日 スピーカー 柳井 俊二 (前駐米大使) 議事録 私は過去3回、米国に赴任しておりました。米国ではBBL形式の討論会はかなり一般的です。日本では弁当を食べること自体、目的の半分のような気がします。フランスではランチ席の討論会をdejeuner-debat といって、立派なフランス料理とワインが出てきます。私はご飯が終わった時点ですっかりできあがってしまうタイプなので、BBL形式のほうがより議論しやすいと思っています。ちなみに、梅村さんは副所長に就任されてから3キロお痩せになったそうですが、BBLにはダイエット効果もあるようですね(笑)。今日はレベルの高い聴衆の前でのお話をさせていただきまして光栄です。本日は、昨年9月11日の同時多発テロについて、また一般的なテロについて、そして日米の安全保障関係、同盟関係についてお話したいと思います。また、米国経済、日米の経済関係についてもコメントしたいと思います。 挙国一致の対テロ政策駐米大使として米国にいる間いろいろなことがありましたが、最大の出来事はなんといっても同時多発テロです。テロ発生の経緯については、ワシントンにいても東京にいてもリアルタイムでほぼ同じ程度の情報を共有していましたので、米国において我々も、そして米国政府も最初は何が起こったか皆わからない状況でした。「またパールハーバーか」というのが米国人の最初の反応でした。それに対して私は、「ちょっと待って欲しい」といいました。つまり、事前の通告がなかったという点からパールハーバーに擬えていわれていますが、真珠湾攻撃の際は軍事施設への攻撃でした。ブッシュ大統領も始めは「パールハーバー」といっていましたが、その後の議会の演説では気を遣い、「1945年12月8日の朝以来のできごと」という表現を用いていました。これは、米国のいいところだと思ったのですが、「真珠湾攻撃の際に巻き添えになった民間人はたったの10人だった」と事実を述べる歴史学者がその後出てきました。また当時、真珠湾がどこにあるのかを知っていた人は少なかったともいっていました。9月11日の同時多発テロで標的になったニューヨークは世界経済の中心であり、ワシントンは政治の中心です。湾岸戦争を含め、これまでの出来事とは比較にならない規模でした。米国政府はすぐにアルカイダの責任だと断定し、議会も含めて一致した態度をとりました。湾岸戦争後に行われた大統領の武力行使に関する投票の結果、上院で全会一致でしたが、下院では賛成250票、反対183票でした。つまり下院議員の半数近くが反対していたのです。これに対して、同時テロ後の投票では上院は全会一致、下院は賛成400対反対1でした。以上は一つの例ですが、米国の反応を象徴的に表しているといえます。また、軍事行使となれば大統領は議会に予算を要求しますが、議会は400億ドルを投じること、特に150億ドルを航空業界支援に充てることを決めました。予算面においても最初から議会の協力が得られたわけで、いわば挙国一致の支持でした。米国にとっても今回のようなテロリストとの戦争は初めてであり、本音ではどうしてよいかわからなかったのだと思います。というのも、最初の立ち上がりには戸惑いが見られたからです。同時多発テロ後の対応については、米国は慎重な根回しをしました。日本などの同盟国、ロシア、中国といった友好国やパキスタンなどの近隣諸国に対して周到な根回しをし、支持を取り付けました。国連に関しては武力行使を容認するという安保理決議はとりませんでした。常任理事国の一部に慎重な意見や反対があることを考慮した結果だと思います。概して米国の対応は精力的な根回しをした上での周到なやり方だったと思います。 "Show the flag?"―湾岸戦争の教訓テロ勃発後の9月15日の時点では日本はどのような対応をするのか、東京からの訓令は受けておりませんでしたが、アーミテージ米国務副長官のところに行って意見交換をしました。私も彼も湾岸戦争の経験があります。そこで2人の一致した意見は、今回のテロとの戦いは米国だけでなく日本、いや世界の問題であるということです。このような見地に立ち、日本もできるだけ協力したいと述べました。湾岸戦争の経験から、今回はもっと日本人の顔の見えるものにしたい、とも思いました。ところが2~3日後の日本の新聞紙上で、アーミテージ米国副長官が"show the flag"と述べた、と報道されました。実際にはそのような言葉は一切使われていません。「日本のプレゼンスを示したほうがよい」とはいわれましたが、"show the flag"という言葉は一言も使っていませんでした。誰もいっていない言葉なのに去年、日本の流行語の1つになりました。これはマスコミの怖いところだと思いました。また、英語の先生が、「旗幟鮮明にせよ」、「日の丸を見せろ」ということなのに柳井大使は英語がわからない人だと批判されました。そこで米国人に聞きましたら、「日の丸を見せよ」とも取れますが要するにコンテンツの問題である、ということでした。このような批判自体が本当の「はた迷惑」です。ここで「はた」、と気がついたのですが、日本の英語教育にこそ問題があると思いました。日本の受験英語の弊害だと思います。私は湾岸戦争当時、局長をしておりました。後方支援に自衛隊を出す法案を提出しましたが通りませんでした。それで増税をして資金援助のみ行いました。今回のテロ後は総理以下、政府で早い時期に情報処理や人道援助の緊急援助など7項目を提案いたしました。テロ特別措置法という新しい法律を作り、自衛隊が後方支援で派遣されました。7項目発表後間もない9月25日に小泉総理が訪米されました。小泉総理はご自身で直接、テロとの戦いに日本が協力することをブッシュ大統領にいわれました。これは評価できると思います。実はこのとき小泉首相がブッシュ大統領に会うのは2回目でした。1回目は6月30日のサミットでしたが、初めてでキャンプ・デービッドに招かれるのは異例なこと。大変破格の対応だったといえます。ブッシュ大統領としても小泉首相に改革の考え方を直接聞きたいと思ったのでしょう。また同盟関係を大事にしたい、という大統領の考えの表れでもあるでしょう。私も同席しましたが、キャンプ・デービッドは山小屋なので小人数での会合になりました。最初の首脳会談は非常によかったと思いました。国と国との関係でも相性は重要ですが、小泉首相とブッシュ大統領との関係は非常によかったです。一通りの話をしてから映画の話題に移りました。報道でもいわれていましたが、小泉首相のお気に入りの映画は「真昼の決闘」です。内容はゲーリー・クーパー演ずる田舎の保安官が、悪者を倒すという話です。昔の悪い4人組が町に戻ってくることになり、町の人は全部逃げてしまいます。保安官の奥さん役がグレース・ケリーで、結局保安官はたった一人で敵を全部殺してめでたし、めでたし、という話です。その話が長かったので少し心配になりましたが、これは自分の党にも反対者がいますが戦っていきます、というはっきりしたメッセージでした。ブッシュ大統領はこの映画を見ていなかったのではないかと思いましたが、この話はかなり盛り上がりました。2回目のブッシュ・小泉会談はイタリアでもG8の際でした。私は同席していませんでしたが、ブッシュ大統領は部屋に入ってきたとたん、小泉首相に向かって「ハイ、クーパー」と言ったそうです。3回目に会った頃には小泉さんはすっかりクーパーになりきっていましたので、ブッシュ大統領は"to my friend Junicniro Koizumi"とサインした「真昼の決闘」の大きな映画ポスターをプレゼントしました。 テロとの戦いの難しさテロ後の空爆自体は成功しましたが、今回はテロとの戦いの難しさをまざまざと見せつけられました。テロ直前の9月8日、サンフランシスコで安全保障条約締結50周年式典に出席いたしました。唯一の生き証人である宮沢喜一氏も参加されていました。日米双方は過去50年の間、日米安保はうまく機能してきた、という点で合意しました。その3日後には同時多発テロが起こったのです。このような観点から、テロについて2つ述べます。まず、テロ事件によって日米同盟関係の重要性が再確認されました。もっと具体的に言いますと、日米同盟関係は本当に機能するのかというテストでした。日本の対応は湾岸戦争のときと違い、具体的であり、それこそ「旗を見せる」ことができて、一応合格だったと思います。また、一連の炭素菌の事件もテロであり、米国においては死者もでました。当時、何か起こるとすべてオサマ・ビン・ラディンの仕業である、といわれましたが、どうやらそうでもなかったようです。この事件では生物化学兵器によるテロの恐ろしさが実感されましたが、他の伝染病原菌も大変恐ろしいです。中でも天然痘が一番怖いです。子供の頃に種痘接種をやりましたが、5年しか効力をもたないそうです。WTOが天然痘絶滅を発表しましたので、種痘ワクチンがありません。昨年6月、米国のシンクタンクのCSISが天然痘に関する警告をだしていました。つまり天然痘が伝染するシミュレーションのビデオを発表したのです。これを拝見して、大変先見の明があると思いました。日本にも持って来ていろんな人に見せました。米国はすぐにワクチンの量産をしました。しかしながら、どうも日本の反応は鈍かったです。天然痘の自爆テロが起これば、100万人単位で感染し、そのうちの3割は確実に死んでしまうのです。米国人も忘れっぽいですが日本人はもっと忘れやすい性質です。オウム事件に関しても日本人のほうが忘れているようです。一般的にテロとの戦いは大変難しいです。というのも、テロはグローバルな活動だからです。国連でもテロを処罰する方法をいろいろ考えていましたが、テロの定義も難しいのです。大雑把にいえば国以外の個人、団体が無差別に無実の人を殺害したり、拉致するのがテロ、と一般的に思われていますが、国連ではそう簡単ではありません。たとえば第三世界では、旧植民地宗主国に対する抵抗はテロではない、と考えられています。また、そもそもテロ対策とは貧困をなくすことだ、などいろんな意見がでています。特にイスラエルの行動についてあれこそがテロだ、という意見もあります。国家テロだという概念も出てきました。ベトナム戦争当時にも、戦争自体がテロだと言う人もおりました。このようないきさつから、テロとは何か、という特定の定義を避けてきました。目前のテロを放置していいのかと、特にイスラム諸国の人は言います。貧困をなくすことはもちろん必要でですが、100年かかる問題だと思います。やはりテロ対策は必要だと思います。米国のアフガンにおける軍事行動は短期的にテロをなくす、という意味で必要だったと思います。 「悪の枢軸」―日米で異なる認識日本ではブッシュではなく、クリントン大統領であったら異なる対応だっただろう、と言われていますが、民主党でも共和党でも同じ反応だったと思います。私の赴任中、大統領選挙が行われました。クリントン政権とブッシュ政権は違う、とよく言われます。クリントンは日米同盟を大事にしなかった、ジャパン・パッシングだった、と言われていました。しかし実際のところ、クリントン政権後半は日米関係を重視していました。日米防衛協力の指針もクリントン下で見直されました。しかし、ブッシュ大統領のほうが選挙中から同盟の大切さを強調していたのは事実です。私にとって大統領選挙は2回目の経験でした。その前はブッシュ大統領のお父さんのときでした。今回の選挙のゴア、ブッシュの戦いは大変な接戦で、フロリダ州の537票の差で決定しました。それも数え直しの結果でしたが、数え直し自体がいいのかも散々話合いました。全米における一般投票ではゴアが50万票以上とっています。普通で考えたらゴアの勝利は妥当なのですが、米国は間接選挙の国なので、選挙人の数でゴアが敗れ、ブッシュが勝利しました。ゴア氏は本当に悔しかったと思います。最後にはゴア氏がブッシュ氏を祝福して収まりましたが、民主主義の成熟度が示されていると思います。これが民主主義の定着していない国であれば内戦がおこります。たとえば、1992年、アンゴラでの大統領選挙の選挙監視をいたしました。ロスサントス大統領が勝ち、サビンビ氏が負けました。選挙自体はスムーズに行われたのですが、選挙後すぐに内戦が始まりました。ブッシュ大統領はイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」といいました。ブッシュ氏は表現がストレートなので誤解を受けますが、少なくとも3か国がテロを支援したり、核などの大量破壊兵器を造る援助をしているということへの警告でした。「悪の枢軸」と言ったからといって、すぐにどうなることではなく、対応は慎重だと思います。対イラクに関して言いますと、イスラム諸国の支持を得て慎重に行う必要があります。また、日本と米国の大きな違いは対イランです。イランには問題もありますが、大統領も議会も選挙で選ばれており、フセインや金正日とは違います。また、改革の努力も進めているのでむしろ改革の努力を支持してやっていいのではないか、というのが日本の立場です。米国の理解は違いますが、これはイスラム革命のときに米国大使館が長く占拠されたことも影響していると思います。 テロ事件により強化された日米同盟関係次に日米安全保障関係についてお話します。テロをきっかに同盟関係の実態が明らかになり、むしろ強化されたと思います。日米同盟関係に問題がないわけではありません。日本の憲法の第9条からくる制約があり、NATOなど違い、米国が一方的に日本を守ることになっており、片務条約だという人がいます。しかし日本は無償で基地を使わせています。その結果、米国は東アジア地域に前方展開できるのであり、条約上はある種のバランスがとれていると思います。ただ、米国が攻撃された場合でも、日本が攻撃されていなければ日本は攻撃できません。集団安全保障が保証されていないのが基本的な問題です。日々の運用の話では、沖縄に米軍が集中していることからの問題があります。米兵による事件、事故もなくなりません。基地が集中していることの経済の問題もあります。もちろん基地があることのプラス面もあるでしょうが、市町村によっては8割以上の土地が基地で占められ、他の目的での使用ができない状況です。基地は常に大きな問題です。なるべく沖縄県の人々の負担を小さくする必要があります。日本側は法律を改正してまで自衛隊を派遣するなど、湾岸戦争当時とは様変わりしています。米国国民の6割が今回の日本の対応を評価するといっています。ただし、国防総省の報告が発表された際、日本の貢献について何も書いてありませんでした。日本人としては心外でした。単なる間違いということでしたが、間違いにしてもひどすぎます。米国側は、法律までかえた日本をもっと評価すべきだったと思っています。今回のテロ事件は悲惨な事件でしたが、「雨降って地固まる」といいますか、日米同盟をよく活用したといえます。 日本経済の回復が先決過去120カ月、米国経済は拡大を続けてきました。一昨年くらいから成長に陰りが見えてきまして、昨年の第Ⅲ四半期に10年以来でマイナス成長を記録しました。第Ⅲ四半期はテロ以降の時期と重なっているのですが、テロ事件がなくてもマイナス成長だったでしょう。航空業界などは大打撃を受けました。その後第Ⅳ四半期には幸い、1.4%のプラス成長に転じました。また、金融政策に関しては3月より低金利政策から中立政策にかわりました。貯蓄率は1.8%と米国にしては少し上昇いたしました。クリントン政権後半にサマーズ長官は日本に対し、「公共事業をやめて減税せよ」と具体的なコメントをしておりました。ブッシュ大統領は減税しましたが、貯蓄率は上がってしまいました。いずれにせよ、米国経済が回復するのは日本にとっても世界にとってもありがたいことです。ひと頃と違って、日米間の自動車、半導体摩擦のような個別の経済摩擦は少なくなりました。もちろんセーフガード、鉄鋼などのイッシューはあります。クリントン政権下では公の場で日本経済はこうあるべきだ、といわれていましたが、ブッシュ政権下では、日本経済の回復をして欲しいと会談の場できつくいわれても、公の場で注文されることはありません。グリーンスパーン議長などに「不良債権を早く処理せよ」、といわれます。S&Lなど参考にせよ、といわれますが公の場ではいわれません。日本経済の回復が先決だといわれます。 日米関係の将来日米関係の将来については楽観視しています。ただしそのためにはもっと日米間の人の交流があるべきだと思います。留学などを通じ、もっと理解し合うべきでしょう。英米のような関係とまではいかなくても、米国と他の同盟国との関係までにはなれると思います。 質疑応答Q:日本が成長期の際、米国ではビジョナリスト的な動きが起こりましたが、米国は同じ対応を中国にもするとお考えでしょうか? A:中国問題は日本にも米国にも大きな問題であるといえます。中国では改革開放が成功していると思います。政治体制は依然として一党独裁です。政治的な価値観は我々とだいぶ違います。経済は変わってきていますが、知的所有権などいろいろ問題があります。米国人が中国をどう見ているかについてはさまざまな見方があります。昨年、軍用機の接触事件がおこり、厳しい見方になっています。96年には台湾沖に米国が第7艦隊を出しました。中国の軍事予算は大幅に伸びており、大きな問題といえます。中国から見ますと、ブッシュ政権のミサイル防衛が中国に対するものではないか、という疑心暗鬼があります。これに対し、米国から見ても中国の大陸間弾道弾、核なども大きな不安材料です。経済面ではいろんな気持ちが混ざり合っているでしょう。日本と同じく米国のいろんな企業、特に製造業は中国に進出しています。中国には安くて質の高い労働力があります。中国で作って輸出しないと競争力がないと、こぞって出て行っています。そういう意味での中国の重要性は高くなっています。米国はWTOの中国加盟も結局は支持しました。経済面では中国の将来性にかなり注目しています。相対的に東南アジアとの重要性は下がっているとも考えられますが、法制度の未制度など、中国にはまだまだ不安材料があります。テロ事件後、多くの米国人が星条旗を振っていましたが、旗もほとんどが中国製でした(笑)。 Q:テロとの関係ですが、米国の中東和平のスタンスはおかしいと思います。つまり、1500年前をスタートポイントにする話ではないと思います。国連総会でパレスチナ分割決議が出された1947年をポイントと考えますと、あきらかにイスラエルの侵略だといえます。米国の仲介はきわめて不真面目になってきています。ヨーロッパ、アジアの大部分から、米国は中立的でないという非難が出ると思います。 A:米国は中立ということではなく、イスラエル、ユダヤ寄りだと思います。ただし中東で紛争が続くことは米国の利益になりません。ラビン首相時代、中東和平合意ができていました。当時、米国はパレスチナに対する経済援助を増やしました。残念ながらラビン首相は暗殺され、その後情勢はどんどん悪化しています。ブッシュ政権当初、中東政策は明確ではありませんでしたが、現地情勢はどんどん悪化しています。最近になってこれは放っておけない、ということで乗り出してきました。米国、エジプトくらいしか現地で影響力を持つ国はいません。ユダヤ人の米国社会における影響力は強く、イスラム諸国からすると、米国は公平でないと思っています。しかし現実問題として米国ほどの影響力を持っている国はないのです。 Q:米国資本で日本の不良債権処理や、企業再建を行っている会社に勤めている関係で、米国政府のいろいろな人と話す機会が多くあります。バブルがはじけて11年が経ちます。日本はGDPの130%という巨額な負債を抱えています。これに関して、何も根本的な政策はありません。米国人は、この問題に関して一体誰に話をしていいのかわからない、というフラストレーションを感じているようです。漠然と日本の問題、といっても主に金融庁の問題なのか、ウォールストリートの人達も非常に気にして見ています。「無二の友人の日本を助けたいが、本人に気持ちがないとね」という反応です。日米財界人の会議では不良債権問題に真摯に対応して欲しい、との声があるようです。大使が米国にいらしてお感じになった米国の本音のところをお聞かせいただけないでしょうか。 A:米国の本音は今おっしゃったとおりだと思います。クリントン政権下では日本への注文をどんどん外に向かって発信していました。ルービン財務長官やサマーズ財務長官は日本経済回復のためには減税が必要だ、と具体的に言っていました。ところが日本政府が政策を打ち出しても、出されたものが彼らの発言した内容以下の場合、マーケットはがっくりしてよくありませんでした。ブッシュ政権でも基本はまったく変わっていません。日米政府の担当閣僚レベルのさまざまな会合に出席しましたが、日本側はいつも「あと3年くらいかかりますががんばります」といい続けています。結局、我々日本がしっかりしなきゃいけない問題だと思います。日本は具体的なことを考えるしかありません。米国側は思い切ったことをやって欲しいと思っています。この点に関しては、韓国のほうがよほど思い切った処理をやっています。政治がしっかりして引っ張っていかなければいけないと思いますが、経済そっちのけで足の引っ張り合いをしているのが現状です。米国人のフラストレーションは私も同感です。ブッシュ大統領も首脳会談ではやんわりしかいいませんが、財界人会議では本音の話をしています。財界人会議とブッシュ・小泉会談と合わせて見ますと全体として理解できると思います。 Q:私は財務省に勤めていますが、日本政府の一員として構造改革が必要だと思っています。また十分でないことも理解しています。ただ先ほどの方の意見はやや一面的ではないかと思います。米国の場合も、ニクソンショックの際には改革から20年かかりました。サッチャー改革の際も実が結ぶまで30年かかりました。危機をあおるような見方はどうか、と思います。 A:経済改革に時間がかかるのは客観的事実だと思います。前回米国に赴任していた際はバブルの頃で、そのときの米国は情けない状態でした。S&Lなどを実行してその後、成長しました。責任ある立場にいる人は理解していただいていると思います。米国の理解を得ることも大切ですが、日本発での批判がどんどん流れています。具体的な効果がなく、目に見える変化がもう少しないと、どんなに説明してもなかなか理解してもらえないのが現状だと思います。 Q:悪の枢軸発言についてですが、3カ国の間でかなり違いがあると思います。イラクに関して、米国は本気でやる気になっているのでしょうか。また、北朝鮮に関してはどれほど本気なのか、ワシントンで見られてどうお感じになられたのか教えて下さい。 A:やはり温度差はかなりあると思います。この3カ国の共通点は、大量破壊兵器を開発していたり、テロを支援している疑いがあることです。我々から見ますとイランは改革の方向性が見えている点でかなり違うと思います。イラクは湾岸戦争を引き起こした張本人です。北朝鮮は独特の国です。表向きにはテポドンの開発はしていないと言っています。しかしながら核兵器の開発などに合意した枠組みのKEDOや、IEAの査察はしっかりしていません。以前に貯めたプルトニウムの問題もあります。3カ国はそれぞれ事情が違いますので、アプローチが違うと思います。先日のブッシュ大統領による話の中で、「悪の枢軸」といわれたからといって、すぐにイラクを攻撃するということではありません。難しさは意識していると思います。ただし、どこかやる可能性があるとすればイラクでしょう。北朝鮮は日本から近く、何か起こると大きな影響が予想されます。北朝鮮には問題があるけれども、対話を続け、人道援助をしていくといっています。 Q:中東和平に関する米国の関与に関してですが、民主党から共和党にかわったことでの変化があれば教えて下さい。 A:安全保障、外交の面では根本的な違いはないと思います。日本のかつての社会党、自民党のような違いはありません。中東和平に関しては、クリントン大統領は確かに一生懸命であり、相当いいところまでいきましたが、クリントンだったからということより、イスラエルの首相がラビン氏だったことなど、現地の情勢によるところが大きいと思います。今はイスラエルの体制も変わり、現地の情勢も変わりました。中東地域を心配しているのは民主党も共和党も変わらない。米国での政治的な影響力に関していえば、イスラム系と比べ、ユダヤ系の影響が圧倒的であり、これは共和党であっても民主党であっても変わらないと思います。もちろんどちらかといいますと、民主党は少数民族の支持を受けていますが、民主党のクリントンだからできるという単純な問題ではありません。アラファトの指導力など、総合的な問題だからです。 Q:「悪の枢軸」に係わる日本のことで質問があります。アフガンでの米軍の攻撃において、米軍の給油の30%程度を日本が負担しています。これは相当な貢献だと思います。アフガンでは自衛隊のイージズ艦派遣は見送られましたが、米国がイラクに対して軍事的なアクションを起こす場合、具体的にどれほどの貢献が日米同盟で必要になるのでしょうか。また、具体的にどういう場合に米国が軍事行動を起こすのか見通しを教えて下さい。 A:米国としてもイラク攻撃を決めたわけではありません。またやるとしてもどういう形でやるかも決まっていません。もちろん、日本への具体的な要請もありません。現時点では難しいと思います。制度的なこととしていいますと、今回はアフガン関連に限ったテロ特別措置法を作りました。給油は非常に大切ですが、明らかに同時多発テロに関連した法律であり、イラクにそのまま適応するのは難しいと思います。アルカイダがイラクに逃げ込んだりすると、理論的に法律が適応されないでもないでしょうが、基本的には難しいでしょう。湾岸戦争の際、国連平和協力法案を書きまして、衆議院で300回以上答弁しましたが、結局通りませんでした。当時はまだ国内の冷戦〈自民党vs. 社会党〉が終わっておらず、「自衛隊は違憲だ」といっていた時代なので当時としては仕方がありませんでした。今後イラクに対して自衛隊を使っての協力をする、ということになればまた別の法律が必要になるでしょう。湾岸戦争のときに書いたときのような法案と法案自体はあまり変わらないでしょう、憲法第9条の立場に立ちつつも、これまでの憲法解釈からして後方支援はできると思います。米国、その他多国籍軍がいるときにどの程度の後方支援ができるのかという具体的範囲になるとなかなか難しい問題です。結局は憲法論議をやらないと根本的な解決にならないと思います。国連の下での集団安全保障に日本がどれだけ貢献できるのか、という話です。見通しの話でいいますと、いますぐイラクへの攻撃という印象を持った人がいるようですが、米国政府の中でも相当勇ましい人々の中でも「いますぐ」、ということではありません。もし本当に実行するならイスラム諸国に対する相当な根回しが必要でしょう。イスラム諸国は、米国による対イラク軍事攻撃という事態になれば、フセインは嫌いだけど援助せざるを得ない、ということになるでしょう。湾岸戦争はイラクによる侵攻で始まりました。今回はそうではありません。このことからしても軍事的に今すぐ攻撃開始ということはあり得ないでしょう。 この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度 2011年度 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム (2016-2019年度) プログラム (2011-2015年度) 政策研究領域 (2006-2010年度) 経済産業省共同プロジェクト プロジェクトコンテンツ 調査 フェロー(研究員) 論文 ディスカッション・ペーパー(日本語) 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