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宮崎大学 地域資源創成学研究科 メニュー サイト紹介 センター長挨拶 はじめての方へ 現代生活にとって「伝承」とは何か 地域資源情報活用センターとは（伝承と地域の未来） ウェブサイトでの提供サービス みやざき「伝承」研究ネットワーク センター・ライブラリーの開館日＆アクセス 寄附金のお願い 伝承を記録する 伝承を活かす プロジェクト一覧から探す 投稿者一覧から探す 最近の投稿から探す 記事を投稿する 伝承を調査する 重点調査地区 研究者アーカイブス 伝承を知る 地図で検索する キーワードで検索する マイページ お気に入り資料一覧 フォロー記事一覧 コメント一覧 ホーム > サイト紹介 > 現代生活にとって「伝承」とは何か 現代生活にとって「伝承」とは何か １．従来型「地域資源」の特徴 地域創成、地域再生などと呼ばれる多くの地域づくりの取り組みでは、「地域資源」という言葉が用いられてきました。「地域資源」に注目があつまる理由は、地域生活の発展にあります。しかし、従来の取り組みには、２つの問題がありました。 ① 経済成長率による評価 地域づくりにおいて、「地域資源」だと評価されてきたのは、多くの場合、経済的利益をもたらすものでした。今やその波は、社会的（歴史・文化的）分野に及んでいます。歴史的建造物、棚田景観、神楽などの年中行事、神話伝承など、本来は直接経済に結びつかない対象が、観光による換金可能性によって経済価値として議論されるようになったのです。目的は経済規模の拡大です。地域にあるものすべてを貨幣交換価値と見なすことで地域の生活を再編し、経済成長を促そうとする動きです。この動きは地域における社会的価値の変質を促し、地域社会の柱としての役割を崩壊させることすら可能です。このことは地域が「食べていくこと」とは異なる文化の問題を提示しています。 ② 歴史・文化視点の欠如 一方、生活の全てを「工業経済体制（大規模工場生産・市場・貨幣）＋都市型生活」システムに委ねようとした点にも問題がありました。これによって、いわゆる「伝統的なもの」は価値を失いました。地域生活と歴史および伝承との断絶です。しかし、現在の生活には様々なかたちで限界が露呈しています。人間にとっては、いわゆる生きづらさ、精神・身体の健康問題、不安定な雇用、企業倫理問題など。自然や動物にとっては、地球環境問題が大きな脅威となるなど、自然と人間の営為の持続可能性を根本から揺るがす問題です。経済規模に偏った生活の変革には、「生活の質」は伴わないことを我々はバブル期に経験しました。先進国の経済は、成熟期または完熟期に入ったとされ、ゼロ成長やマイナス成長論の時代となっています。生活の一つの柱である経済を等閑視するわけでありません。が、地域においては「社会に埋め込まれた経済」を視野に、歴史・文化を柱とした地域づくりによる発展を目指すことが時代の要請なのです。社会的価値を今一度社会的価値として再評価し、次代型の地域づくりをおこなっていくことが求められています。 ２．新たな地域生活のシステムとしての「伝承」 日常生活を再構築していくためには日常における人々の活動、つまり行為の質をどのように高めるかが問われています。人と物（自然物、人工物）、人と人、人と抽象的対象（神などの宗教的対象）などとの行為を通した「関係」の根本的な見直しが必要です。行為を時間軸でみると、日々の慣習（生業暦など）、年中行事、人生儀礼、相続・世襲慣行など生活をさまざまな長さでみていくことが可能です。また、冠婚葬祭や地域の祭りをみることで、ケ（日常）からハレ（宗教的生活）といった心の生活の質的次元を捉えることができます。このように行為を通した「関係」は文化そのものでした。それらを行為の型（儀礼など）として、世代を越えて受け継いできたものが伝承です。あらゆる対象との「関係」は、民俗伝承として蓄積されていました。つまり「生活の質」は「伝承」の力に依っており、それによって人間形成や地域社会形成がなされてきたのです。この意味において、「伝承」は生活の基盤となる行為のシステムを形となし、社会生活を構成する要素だといえます。「伝承」とは、地域社会で認められ、歴史に耐えることで歴史・社会的な価値を内包してきた生活の行為体系なのです。こうした地域の日常生活という捉えにくいものを対象とし、生活行為の一次資料化が可能な分野として民俗学、文化人類学があります。この分野を中心に蓄積されてきた資料を収集し、異分野と共同して「伝承」の議論をおこなっていくことは、現代の生活を根本から見つめ直すことにつながります。現代の生活は、持続可能性を揺るがす問題を孕んだシステムとして発展してきました。今まさに、地域自然に立脚した「伝承」を再発見し、活かすことが求められているのです。伝承に込められた心と知恵を、いかに再生することができるのか。地域の側からの生活提案が急務となっています。 ※ みやぎん経済研究所『調査月報』でも、より詳しく当センターの取り組みを紹介しています。 地域資源情報活用センター 講師鈴木良幸 --> サイトマップ お問合せ 宮崎大学地域資源創成学研究科附属地域資源情報活用センター 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1 Copyright © University of Miyazaki. All Rights Reserved. TOP