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Skip to content TOPICS NEWS DATA ABOUT Main Menu タグ: コラボ授業 2024年2月22日 「グローバルキャリアデザイン」の授業でクレディセゾンとカードの新しい可能性を探る特別コラボが行われました。  3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月22日に株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)とのコラボ授業が実施されました。学生たちはカードの機能やサービスを考えるグループワークを行い、短い時間で考えをまとめ、プレゼンを行いました。 金融系だけど自由な社風 クレディセゾンから谷口佑貴氏、野村早苗氏、上村郁美氏、金秋奈氏が来訪され、まずはそれぞれの自己紹介。その後、戦略企画部の金氏から、一日の流れや仕事の内容の紹介がありました。 クレディセゾンは完全フレックス勤務制を取り入れ。服装も自由で「金融系は厳しいイメージがあるかもしれないですが、自由に働いています」と金氏。戦略企画部は、消費者にセゾンカードを利用してもらうためのアプローチ方法を考えることが主な仕事です。お客様に選んでもらうための割引サービスやポイント還元、キャンペーンを考え、社内外の人と打ち合わせを行っています。 クレジットカード会社ってどういう仕事? クレジットカードは、消費者が加盟店で商品を購入する際にクレジットカードを利用し、請求日にまとめて利用額を支払ってもらうシステムです。消費者は現金を持たなくて良くなり、ポイントや割引などのサービスを受けられるメリットがあります。また、カードを利用できると消費者の購買意欲が上がる傾向が。加盟店はクレジットカード会社に手数料を支払う必要がありますが、売上が上がりやすいというメリットもあります。 普段使いのメインカードに選んでもらうには、他社に負けないプロモーションや安心安全なカードである必要があります。クレディセゾンは新機能や業界初ということに力を入れており、今では他社でも出ているナンバーレスカードや縦型のデザインなどを打ち出してきました。また表面に人気の有名人やキャラクターとコラボするなど、意外性のあるキャンペーンも。金氏は「一番はお客様に喜んでもらえるように、使いやすいと思ってもらえるようにカード開発しています」とまとめました。 どんなカードがあれば便利? ここで、谷口氏から本日取り組む課題の発表がありました。テーマは「過去・現在・未来に自分が欲しいと思えるカードとは?」です。学生たちは8グループに分かれ、それぞれ過去・現在・未来の3つから担当を決めました。大学生になる前の「過去」、大学生の「現在」、社会人になった時の少し先の「未来」、それぞれのタイミングで便利であったり必要であったりする機能やサービスを考えます。 グループワークの時間は45分間。学生たちはさっそく話し合いを始めました。「サブスクや毎月ある出費がどのくらいか分かる機能は?」や「アプリのように送金や支払いが簡単にできると便利」などのアイディアや、「大学生らしいカードってなんだろう」というお題に「大学とコラボして学割の利くカードは?」「カードのデザインはスクールカラーで」などのアイディアを出し合っていました。別のグループでは「デートの前ってお金がかかるよね」「カップルで使えるカードは?」など新しい視点の提案を探っていました。 お金の知識を知るサービス あっという間に時間は過ぎ、いよいよ発表です。模造紙に案を書き、ポストイットなどで補足をした簡易のプレゼン資料が出来上がりました。発表は教室を2か所に分け、2グループずつ同時に行いました。 グループCは、大学生になる前に受けられる、お金の知識に関するサービスを挙げました。大学生になるとお金を自分で管理する機会が増えますが、奨学金やクレジットとデビットカードの違い、リボ払いなど分からないことも多く、学校側などもあまり説明がないと指摘。web上などで優しく教えてくれるサービスがあれば安心とまとめました。上村氏は「就活時などはしていましたが、入学時に知りたかったという需要があるのは初めて知ったので、ぜひ前向きに検討したいと思いました」とコメントされました。 グループEは、マイデザインクレカを提案。自分のスマホに入っている画像の中からお気に入りのものを選び、自分オリジナルカードを作れるものです。自由にカスタマイズもでき、ライブ会場などに専用機械を設置することやSNSに投稿することでプロモーションを行います。野村氏からは「すでにあるデザインから選ぶのではなく、自分で選びカスタマイズできるという案はすごく良い。プロモーションもよく考えられていました」と話されました。 カップルで使えるカード グループFはマッチングアプリと連動したカードを考案しました。クレジットカードがあるという信用やサクラ問題に対応でき、価値観の合うマッチングが出来るとしました。また、エステや飲食店、旅行などデートで使うと割引が利くサービスを考えました。上村氏は「カード会社が審査をすることを安心として使うサービスという発想は、今までなく面白かったです」と話しました。 グループGは海外旅行をする際、支払いタイミングでレートが分かる機能があれば便利と考えました。また社会人になったとき、金銭管理の手助けになるような予算管理などのサービスがあると安心と発表しました。野村氏は「クレジットカードを作る大きな動機のひとつは海外旅行。現地でレートが分かるというのはいいなと思いました」とコメントされました。 あっという間の授業時間でしたが、その場で考えをまとめ発表するという社会人に必要な能力を体験できる機会となりました。 担当教員からのメッセージ クレディセゾン様には、毎年この授業で大変お世話になっております。今年も、インターンシップさながらの展開となり、学生も緊張感に溢れつつも、楽しくグループワークに取り組んでくれました。キャッシュレス化が進む中、他社との差別化も考えながらの事業戦略のことも勘案しつつ、ユーザーとしての視点も絡めつつの議論とプレゼンテーション、真剣な学生の表情が印象的でした。お越しいただいた社員の方からも、クレディセゾン様の社風が伝わっており、自由闊達に活躍されていることが窺われました。年末のご多忙のところご協力いただきましたクレディセゾン様に、改めて心から感謝申し上げます。 2024年2月19日 自販機で社会貢献!「経営学概論」の授業でダイドードリンコとの特別コラボが行われました。  12月6日、人間社会学部1年生の必修科目の一つである「経営学概論」(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、ダイドードリンコ株式会社(以下、ダイドードリンコ)の特別講義が行われました。学生は『自販機でできる社会貢献』という事前課題について考えて授業に参加しており、指名された学生はその発表もしました。企業の経営戦略を直接学ぶ貴重な講義であったと同時に、学生たちのアイディアを企業に評価していただく交流の機会となりました。 自販機は一番顧客に近い! 最初に自販機営業企画部の松本英康氏からご挨拶があったのち、人事総務部の真野祐子氏からダイドードリンコの説明がありました。ダイドードリンコは、1950年代に栄養剤を販売したことからスタートした大同薬品工業を起源とし、ダイドーグループホールディングスの中の清涼飲料事業を担っています。グループ会社はこの他に、医薬品、医療品事業やゼリーなどの食品事業があります。 本社は大阪府にあり「今回のメンバーは、全員大阪から来ています」と真野氏。ダイドードリンコの事業は、自動販売機での販売が約8割を占めるのが特徴。競合他社の同事業は約3割のため大きな違いです。また自動販売機に並ぶ商品に占める50%がコーヒー飲料で、主な購買層は男性だそうです。なぜ自販機での販売がメインなのかと言えば、店舗販売よりも利益率が高いことや、顧客により近い距離で販売できるといったメリットがあるからです。 ダイドードリンコの飲料事業のもうひとつの特徴はファブレス経営であること。ファブレス経営とは、自社で工場を持たず100%製造委託しているビジネスモデルです。工場にかかる大きなコストを削減できるのがメリットです。 優秀な人材に入社してもらうには 「当社の経営戦略として、優秀な人材を確保することに重きを置いています」と真野氏。経営戦略を考える上で、持続的な競争優位を確立することが非常に大切です。そのためには優秀な人材を採用し、定着してもらうことを重視しているそうです。優秀な人材にダイドードリンコに興味を持ってもらうために行っている施策として、フルリモートワークや副業可能、充実した福利厚生制度などが紹介されました。 特に働く女性にとって好評なのが、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワーク、法定よりも長い期間利用できる時短勤務制度です。こういった取組みを行うことで、社員がプライベートと仕事の両立がしやすくなり、直近3年間ではライフイベントを理由にした退職者はなしという成果に繋がっているそうです。真野氏は「企業の、ヒトに対するアプローチということに焦点を当てて見てみると、商品だけからは見えなかったことが見えてくる」と就活の際に企業サイトなどをよく見てみることを勧めていました。 自販機で女性を助けたい 次にダイバーシティ推進グループの井阪愛歩氏、大植あかね氏、奥川美優氏から、ダイドードリンコが取り組んでいる女性の社会進出についてのお話がありました。まず「日本のジェンダーギャップ指数の順位を知っていますか?」という質問があり、選択肢の中の一つである「100位以下」に多くの学生の手が挙がりました。井阪氏の「皆さんさすが知ってらっしゃいますね」との言葉通り、日本の順位は2023年時点で125位。特に女性役員の数が少ないことは国も課題としており、2030年までに女性役員の割合を30%まで上げることを目標としています。 ダイドードリンコでも2023年から自販機営業企画部内にダイバーシティ推進グループを発足。女性の自販機利用を増やそうと女性発案の企画で新たなコンテンツを開発しています。例えば女性が誰もが経験し、悩みのタネである生理。アンケートで特に多い悩みである「急な生理への対応」として生理用ナプキンを購入できる自販機を開発しました。誰もが使える自販機で生理用品を販売することで社会の理解促進も図ります。 この他にも赤ちゃんのおむつやお菓子の販売など、さまざまなモノを自販機で販売することに精力的にチャレンジしています。本学の渋谷キャンパス9Fにもダイドードリンコの自販機があり、オープンキャンパスのときに「赤本缶(https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/interview/shinozaki.html)」を搬出しました。「世の中の潜在的な課題を見つけて自販機で解決するお手伝いをすることが私たちの仕事」と奥川氏は語りました。 社会貢献できる自販機って? 事前に学生たちには「自販機でできる社会貢献」を考える課題が出ており、授業の最後にダイドードリンコのメンバーが指名した学生が自分のアイディアを発表しました。募金をしたら写真が撮れてSNSに投稿できる仕組みを提案した学生のアイディアには、松本氏は「募金ができる自販機は既にあるが、写真が撮れるアイディアは斬新」と高く評価していました。省エネに着目した学生は、照明を消し、常温の飲料専用の自販機を提案しました。「常温飲料のニーズがあることが分かりました。省エネの観点から常温の発想になったのもすごい」と着眼点の良さが評価されました。 野菜など無人販売所の役割のある自販機を提案した学生もおり、特産品などの地産地消にもつながるアイディアが出ました。「モノを売る自販機はあるので、地域と協力すれば可能性がありそう」と松本氏はほかの主体との連携の必要性に言及していました。他にも秀逸なアイディアが次々飛び出し、企業の皆様から感嘆の声が上がりました。 学生たちは企業がどんな経営戦略を取っているか、また社会貢献活動にどう取り組んでいるかを知る機会となった講義でした。 担当教員からのメッセージ ダイドードリンコ社とは、赤本缶を自動販売機から搬出する企画を立てたのを機にご縁を得ました。飲料事業を持つ企業の中でも差別化が際立っていることや、女性の社会進出を後押ししている企業というイメージが強いことから、「経営戦略」の回にぜひお越しいただきたいとお声がけしました。  当日は、入社3年目、子育て中、転職の経験ありなど、学生にとって数年先から20年ぐらい後までのロールモデルになる社員の方たちからお話を伺う機会になり、「働きたいように働く」ことのイメージが少し掴めたのではないかと期待しています。実際、「ダイドードリンコ社で働いてみたい」という履修者の声が複数ありました。また、「社会貢献につながる自動販売機」の学生のアイディアについて、松本氏より一つひとつ丁寧にコメントをいただき、アイディアの面白さと実現可能性の両立の難しさを実感する機会になりました。  早朝より大阪からお越しくださいまして、また有意義な授業の実現にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。 2024年2月2日 新入社員が意識するべきことは?「グローバルキャリアデザイン」の授業でビデオリサーチの採用担当者による特別講義が行われました。  12月8日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社ビデオリサーチ(以下、ビデオリサーチ)の滝口昌輝氏による特別講義が行われました。滝口氏は新入社員のときに意識していたことや、社会人としての心構えなどを自分の経験を交えて話してくださり、これから就活に向かう学生たちにとって良い刺激となった講義でした。 就活に活かしてもらいたい転職経験 深澤教授から紹介があり、ビデオリサーチの人事グループリーダーである滝口昌輝氏が登壇されました。転職も経験した滝口氏は「これから就活をするにあたり、役立てていただければ」と講義を始められました。 滝口氏は2回の転職をされ、現職で活躍されています。「元々テレビや雑誌が好きで、学生の頃からずっとマスコミやメディア業界で働きたいという思いがありました」と話しました。しかし就活当時は思うようにいかず、携帯電話会社の営業からスタート。その間もメディア業界で働きたいという思いは強く出版社に転職し、2018年にビデオリサーチ社に入社しました。昨年まで営業部門で活躍しており、15年間営業一筋だったと言います。 ビデオリサーチってどんな仕事をする会社? 「皆さんの中でビデオリサーチって会社を聞いたことがある人はいますか?」という質問に半数ほどの学生が手を挙げました。「一言でいうと、テレビの視聴率を測定している会社です」と滝口氏。視聴率1%でいくらという指標が決まっており、それを元に広告主とテレビ局が広告取引をします。ビデオリサーチは60年以上前から、国内で唯一広告指標になる視聴率を調査しています。テレビだけでなく、ラジオやデジタルコンテンツ、雑誌などのデータを多く調査しており、広告会社が求めるターゲット層に合わせてデータを提供しています。 広告会社が求めるデータは、例えば「アルコール飲料のCMに出ていない20代女性に人気の高いタレントは?」など細かい注文が。その後商品をプロモーションする時も、北陸エリアで展開するなら車文化なのでラジオが効果的、など地域やそれぞれの属性に合わせて最適な提案をしています。 なぜ働くのか? 「自分が社会人になった時に何のために働くのか、ちょっと考えてみてください」と滝口氏は学生たちに問いかけました。学生から「生活のため」「成長したい」などの回答があり、滝口氏は頷いて「人それぞれ違うと思います」と話しました。「自分は何のために働くのか考えておくと軸ができるので、今の内に考えておくと良いかもしれません」と学生たちにアドバイスしました。 普段から意識していることは「明日会社がなくなったら自分に何が残るのかということ」と言います。肩書きがなくなったらと考えると、その仕事は本当に楽しいか、なぜやっているのか、今後どうなりたいかを考えることにつながり「会社から給料をもらうことが当たり前ではないと思える」と話しました。 新入社員のうちに失敗しよう 「新入社員のときに意識していたことは、沢山あります」と言う通り、スライドには沢山の言葉が並びました。その中でも、「聞いたことがあるかもしれませんが、若いうちの苦労は買ってでもした方が良いと思っています」と滝口氏。新入社員は間違えるのは当たり前の時期。「むしろ40、50代になって出来ませんはかっこ悪いと思います」と、若いうちに失敗し、成長をしていくべきと話しました。 他にも「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。分からなかったら質問をする」や「体調管理とモチベーションの維持は大事」、「依頼された仕事にプラスアルファして、期待された以上の結果を返す」ことなど多くのことを意識していたと伝えました。 就活に向けて伝えたいこと 就活をする上で大切な事として滝口氏は自分と向き合う自己分析を勧めました。コツは「なぜ?を3回繰り返すこと」と言い、自分は何が好きで何が嫌いか、得意な事などを書き出し、理由を深堀していくことが大事だと話します。「自分は何がしたいのかが分かっていれば、業界や会社も定まってきます」と語りました。 最後に、採用担当が見ているポイントもアドバイス。「エントリーシートは写真の第一印象は大事。また文字数ギリギリまで書いてあると、熱意が感じられます」など、採用者ならではのチェックポイントを教えていただけました。「就活に費やす時間は人生の1%。人生の半分の時間は社会人として過ごします。1%の過ごし方で人生の半分が変わる可能性があるので、つらい、きついと思うかもしれないけれど頑張ってみたらいいと思います。応援しています」と講義を締めくくりました。 就活でアピールするには? 授業の終わりには質疑応答の時間が設けられました。ガクチカに悩んでいるという学生からは「日常的なエピソードでどうインパクトを残せますか?」という質問が。滝口氏は「インパクトはなくてもいい。その人がどんな人でどうしてその会社を志望したのかを見られています。内容より熱意や志望動機に力を注ぐといいと思います」と回答しました。「モチベーションの維持はどうしていますか?」との質問には、「休日を自分の好きなことに充てること。人生は仕事だけではないのでうまく息抜きする。好きなことをすることが原動力にもなります」と話されました。 就活に対しての心構えや、どのようにキャリアを積むかを考える貴重な講義となりました。 ・ビデオリサーチ新卒採用HP:https://www.videor.co.jp/rc/ 担当教員からのメッセージ 滝口様と初めてお目にかかったのは、もう15年以上も前、日本学生経済ゼミナール連合会主催の「インナー大会」の本選会場でした。滝口様は運営サイドのスタッフとして、私は審査委員でした。その頃の滝口さんの学生に対する接し方に感動し、それ以来長年にわたってお付き合いさせていただいています。今回は、初めて私の授業のゲストでお招きいたしました。「できるかできないかではなく、やるかやらないか」という言葉は、私が企業時代の新入社員研修の時以来、今も時々学生にも伝えている言葉です。就活にむけて、とても貴重なお話しをいただいた滝口昌輝様には、心から感謝申し上げます。 2024年2月2日 耕作放棄地をどう活用する?英文学科の授業でどろんこ会の課題に対するプレゼンテーションが行われました。  12月8日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別授業が行われました。この日は、どろんこ会代表の高堀雄一郎氏の前で、前回の授業で出されていた「耕作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか考える」という課題について、学生たちは緊張の面持ちで発表に臨みました。 ~前回の授業はこちら~  ※耕作放棄地とは:「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義されています。 農地バンクやキャンプ場などで活用 最初の発表はグループ6から。耕作放棄地を農地バンクとソーラーシェアで活用する案を出しました。農地バンクとは、耕作放棄地を登録し農地のレンタルを支援する制度。並行して農地に太陽光パネルを設置するソーラーシェアを行うことで、災害時に非常用電源にもなると発表しました。発表後は高堀氏から講評をいただき「話題になっている解決法でよく調べていると思いました」とコメントされました。 次のグループ4は、農業を行いながらできる、少人数でコストがかからないことを条件として案を考え、人気のあるバレルサウナとキャンプ場の経営を提案しました。人件費など経費も計算し、初期費用が回収できる期間の目安も伝え、実現可能性を伝えました。またSNSで広告を展開し、宣伝することも計画することを伝えました。高堀氏は「経費や販売価格などもきちんとよく調べているし、ただ案と考えるだけでなく宣伝するところまでも考えていた」と感嘆のコメントを述べました。 後継者を育てるには? グループ3は、農業の後継者の確保を課題に定め、耕作放棄地を農業高校や大学の農学部の実習地とすることを提案。海外での農業トレーニングの取組や、新潟の農業高校で行われている農業キャンパスツアーなどを例に出し、実習の時間を多くとることで、若者が農業により関心を持つとしました。高堀氏は「農家出身の方がいるのかと思ったくらい、実感がありました」とプレゼンに感心。「高校生に限らず農業に携わりたい人が学べる場があった方が良いということにハッとしました」と着眼点の良さを褒められました。 続いてグループ7は、近くにコテージを立てリゾートとして貸し出すレンタル菜園や、農場が併設されている福祉施設ケアファームに活用することを提案しました。また修学旅行に農業体験を取り入れることで、若者に農業に触れてもらう機会を増やすことも提言しました。高堀氏は「山間部の放棄地は、上下水道や電気などの設備を整えることを考えると現実には難しいかも」と懸念点もあることを伝えました。 提案のデメリットも考えてみよう グループ9は、若い層に農業の魅力を伝える行事が必要と提案。若者も楽しめる観光、体験農園を作ることを伝えました。高堀氏は「観光面では常に人が来るかどうかは難しい」と実際にはハードルが高いことを伝えました。 次のグループ8は、管理の手間が少なく、初期費用も抑えられるトランクルーム経営をプレゼン。また、今後の目標としては耕作放棄地の現状を広めることが必要と伝えました。高堀氏は「トランクルームは都市部では人気があるが、地方では土地があるためなかなか需要がない」とデメリットも伝えました。 グループ5は、義務教育の「総合」の授業で農業を取り入れ、都内近郊の耕作放棄地を授業で利用することを提案しました。山間部の耕作放棄地は大型農具を練習する教習所として活用すること、コンバインなどは練習する場所がないため農業初心者が利用できるようにします。また、殺処分前の競争馬を引き取り、乗馬教室も併設することで収益も考えました。高堀氏からは「馬というアイデアは斬新。エコにも配慮されていて、ヤギや馬の活用は大まじめに考えられる方法。プレゼンがうまかった」と褒められました。 どうやって利益を上げるか グループ2はどろんこ会の取組を考慮し、高齢者介護施設を併設し農業を活用することを提案しました。高齢者の認知症予防や運動にも利用できるとしました。高堀氏も「障がい者や高齢者施設との組み合わせはどろんこ会としてもやっていきたいと感じました」と共感しました。 最後のグループ1は、農地バンクなどの複雑なシステムに抵抗感を感じてしまうことが問題と定義。施設を作るなどの案ではなくまずは若者に耕作放棄地の問題を伝え、農業を身近に感じられるよう魅力を伝えることが大事としました。高堀氏は「農業で収入をどうやってあげるかが大事。そのポイントをもっと深堀出来ていればさらに良かった」と着眼点の良さを感心されました。 ITや営業力も農業には大切 全グループの発表が終わり、どろんこ会の皆様が各グループを採点。高堀氏から優秀なアイデアだったグループが発表され、グループ4が選ばれました。グループ4の発表は「経費や販売価格などもきちんとよく調べていて、うちの事業部にきてほしいと思ったくらい。提案も話題になりそうな内容だった」と絶賛されました。最優秀賞を受賞したグループ4のメンバーには減農薬の南魚沼産コシヒカリがプレゼントされます。 授業の最後に、高堀氏から「皆さんお疲れさまでした」とねぎらいの言葉がかけられました。「耕作放棄地に関しては、正解の答えがあるものではない。どろんこ会もやっていることが本当に正しいのかわからないが手探りでやっています」と話され、法人化などをして組織力を向上することの大切さを伝えました。「そのためには実地で農業する人だけでなく、広報力、営業力、IT技術も必要。そういった分野の人にどんどん農業に参画してもらうことも大事です」と農業を広めるための課題を、学生たちにも共有しました。 学生からのコメント 課題解決型の授業を経験したことがなかったため、現状分析から具体策を提案するまでの工程がいかに大変なものか、深く理解するきっかけへと繋がった。当日までに満足のいく状態まで準備をすることができたと考えるが、チームで協力をして行うことの難しさを強く実感した。他の授業でのグループディスカッションやプレゼンテーションにおいても非協力的な人はいるが、全員で協力をすることによってより多種多様な意見が生まれると考える。したがって今回のプレゼンテーションにおいて、グループメンバーにさらに働きかけることが必要であったと考え、少し反省をした。当然ながら意見を求めることはしたが、新たな意見が出なかったり、担当を申し出てくれる人がいなかったり、今回のプレゼンテーションを通して、私自身のグループをまとめる力や意見を引き出す力がないことが明確になり、少し悲しさを覚えた。しかし、自分自身で最後までやり遂げられたことで自信が得られ、またグループのリーダーを務めることに今まで以上に抵抗がなくなったため、1位を取ることができなくても得られたものは大きく、良い経験となった。今後は働きかける力を養い、自分の意見も主張しながら、協力をしてプレゼンテーションやディスカッションを遂行していきたい。 担当教員からのメッセージ (大学教育研究センター 特任教授 髙橋裕樹) 後期の英文学科の企業連携プログラムには、全国に子育て支援施設約160カ所運営されているどろんこ会グループの高堀雄一郎様にお越しいただき、「インクルーシブ教育を阻む教育課題」や「耕作放棄地」という社会課題について問題提起していただき、グループに分かれ課題解決プレゼンテーションを実施し、最優秀グループに表彰と賞品をいただきました。お忙しい中、ご参加いただき感謝申し上げます。 2024年2月2日 保育園のインクルーシブ教育って?英文学科の授業でどろんこ会とのコラボが行われました。  11月17日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別コラボが始まりました。代表の高堀雄一郎氏が登壇され、インクルーシブ教育や「福祉×農業で地域や日本をよくするための挑戦」についてお話下さいました。授業の最後には地域、農業について考える課題が出され、学生たちは12月にプレゼンテーションに挑みます。 子どもの成長を高める保育園を どろんこ会は、3つの法人は保育園運営、2つの法人は農業に関わる法人からなるグループです。きっかけは高堀氏が大学生の頃に始めた学習塾でした。小中学生を対象に英語や数学を教えていたと言います。中には障害を持った子や不登校の子も。様々な子に触れ合う中で「偏差値の良い学校に行くことよりも、その子なりに努力し、成長することが素晴らしいのだと気付いた」と言います。自分自身も成長したいと思い大学を卒業後、塾は後輩に託し高堀氏は就活する道を選びました。 高堀氏は結婚後、子どもを認可外保育園に預け共働きをしていました。しかし預けられる時間が限られていたり、外で遊ばせてもらえなかったりなど保育園の制度に疑問を抱きます。子ども・保護者・保育者・地域の4者とも満足度の高い保育園が必要と感じた高堀氏は、25年前に夫妻で認可外保育園を始めたのです。 生きる力を育む保育園 どろんこ会の信条は「本物の体験を通じ生きる力を育む」。園庭を広く取り、鶏を飼い田んぼもあり日々の生活の中で、子どもたちが多くのことに触れ合えるようにしています。遊具はなく、子どもたち同士で遊びを作っていくスタイルです。 認可と認可外の大きな違いは補助金が出ること。そのため認可外は経営が厳しいのが現状です。高堀氏も休みなく体を張った運営を行いました。初年度は休日3日。それでも自然と触れ合う教育方針は評判を呼び、定員は徐々に満員に。さらに転機になったのは、待機児童が問題になっていた埼玉県朝霞市から、認可を取って社会福祉法人としてやっていかないかとの打診でした。それが「どろんこ会」誕生のキッカケです。 インクルーシブで子どもを預かる どろんこ会の大きな特徴が「インクルーシブ教育」です。障害のある子は別の保育室に分ける分離教育が一般的な中、子どもたちを障害の有無で分離せず 一緒に保育をしています。子どもたちは個性がばらばら。「子どもたち同士がコミュニケーションを取ることで生きる力が育まれると気付いた」と高堀氏。自然な触れ合いの中で、発達支援も行っています。 ただ、完全に一緒に運営していくにはいくつも壁がありました。認可保育園のため、役所から教室を分けるように指導があったのです。最初の施設はやむを得ず分離しましたが、徐々に入り口や事務所を共用にする工夫をしてきたと言います。高堀氏は、大切なのは「理想実現のため粘り強く戦えるか」と話します。役所に代わり内閣府規制改革推進室や議員と意見交換を行い、課題を訴えたと話しました。 高堀氏は「子育て保育領域に優秀人財の流入が大事」と語りました。今まで保育園に勤める人は子どもが好きという人がなるものでした。ただ、子どもたちは5、6年保育園で過ごします。高堀氏は子どもが保育園でどう過ごすかで人格形成に大きな影響を与えると考え、「この間に生きる力を育めるかで日本の未来が変わる」と語りました。そのためには「優秀な人材が参画することで収入も得られる業界であり、循環にしなくてはいけない」という目標も話されました。 農業における課題 どろんこ会では農業経営も行っており、新潟県南魚沼市で農薬をほぼ使わず米の生産を行い、保育園の給食に使われています。子どもたちに田んぼに触れ合う経験を持たせたい、それも年に1回の収穫だけでなく日常的に関わらせたいという思いから、23年前に農家に直談判したことがきっかけです。そこから縁が出来て、株式会社南魚沼生産組合の設立に至りました。 ここで学生たちに課題が出されました。テーマは「農作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか」。南魚沼市では、中山間地で耕作放棄地が増加しています。中山間地とは山の斜面のことで平地よりも農業がしづらい地域です。ただ、手入れされていないと雨水などによる洪水や土砂崩れの危険性も出てきます。また、最近ではイノシシなど鳥獣被害も。 しかしコメ作りは肥料、燃料、人件費など様々なお金がかかり、時間もかかりますが収入は多いとは言えません。そのためなり手不足が深刻となっています。耕作放棄地は、売買したり建物を建てたりすることが難しいということもあります。この課題をどう解決するかを学生たちが考えます。日本でどこも行なっていなさそうな新規性、仕組み化できる継続性、実現性があるかが評価基準です。 失敗を失敗のままにしない 授業の最後には質疑応答の時間が取られました。学生たちは掲示板機能で質問を行い、高堀氏に回答いただきました。「保育園の現状の課題は?」という質問には「インクルーシブを推進しているところが少ない。そのため職員の認知が進まない。どう全国に広めるかが課題」と話しました。「今まで辛かったことは?」という質問には「サラリーマン時代に頑張りが評価されなかったことは辛かったが、自分でやりはじめたことは、いくら休みが取れなくても辛いと思ったことはない」と話されました。 学生たちはこれまであまり触れることのなかった、インクルーシブ教育や農業について知る貴重な機会となりました。~12月に行われた、学生のプレゼンの様子はこちら~ 2024年2月2日 原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~  2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠壽庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠壽庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。 ~前編はこちら~ 『寿長生の郷』訪問 国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。 商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。 学生の声  お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。  今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。  視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。 最終プレゼンテーション 1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。 そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。 学生の感想 今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。 近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。 本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。 担当教員からのメッセージ この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。 そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。 本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。 2024年2月2日 原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~前編~ 11月2日に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、和菓子屋の株式会社 叶 匠寿庵(以下、叶 匠壽庵)との特別コラボが行われました。学生たちは翌週に滋賀県大津市にある本社『寿長生の郷(すないのさと)』を来訪し、陶器づくりなど様々なことを体験します。角田徹氏の軽快な語り口に、学生たちは期待に胸を膨らませていました。 手作りにこだわる 角田氏はまず学生たちに「和菓子食べますか?」と問いかけました。ほとんどの学生が食べると手を挙げます。「水ようかん」「どら焼き」「大福」などの答えの中、「練り切り」と答えた学生も。茶道をたしなんでいる彼女に角田氏も感心された様子でした。「では、和菓子屋はどのくらいあるでしょうか」と再度問いかけに今度は「100…1000…」と、学生たちは自信なさ気です。「定かではないですが、13000社くらい」と角田氏が言うと、驚きの声が聞かれました。ただ上場している大きな企業は少なく、町中の小さな和菓子店や和菓子を卸売りしている企業も含めての数だといいます。「その多くの和菓子屋と叶匠壽庵との違いを紹介します」と講義は始まりました。 叶匠壽庵で一番人気の和菓子は「銘菓あも」。「あも」とは昔の宮中の女性の言葉で「おもち」を意味する語で、おもちの周りに小豆をまとった上品かつ、いたってシンプルなお菓子です。一番の決め手の小豆は、職人さんが毎日釜で炊いています。機械化せず手作業にこだわり、「創業からずっとこれだけは変えずに毎日作り続けています」と角田氏は話しました。 原材料にこだわる 続いて「皆さんに来週来ていただくところです」と『寿長生の郷』についての話に。『寿長生の郷』は滋賀県大津市にある自然豊かな丘陵地です。山を登っていくと、和菓子の販売はもちろん、茶屋や食事処、パン屋や陶器作り体験ができるなど見どころもたくさん。 春は梅の花が咲き誇り、一番にぎわう時期と言います。この梅は6月に梅の実を収穫し漬けます。1年後に出来た梅酒の実を原材料にしたお菓子「標野」。収穫から2年がかりで作られるお菓子は鮮やかな赤色。角田氏は「原材料から育てているお菓子屋は多分他にないでしょう」と話され、学生たちにも配られました。 場所にこだわる 叶匠壽庵は町なかの和菓子屋として始まりました。しかし和菓子作りに大切な季節感が感じられないことや、地元のきれいな美味しい水を使いたいことから、自分たちの手で原材料から育ててお菓子を作ろうと『寿長生の郷』に移りました。 里山を守る取り組みも徹底しています。工場排水も浄化槽でろ過してから流し、小豆の皮などは堆肥にしています。地域の方々と一緒に水路の掃除や山の間伐も。伐材は炭にして茶屋で利用するなど、寿長生の郷の土地の中で循環するシステムを作っています。「動植物の多様性は50年後、100年後をイメージして育まれます」と角田氏。自分がもう生きていない未来のことを考えて間伐や植林をするのです。 その取り組みが「生物多様性の保全が図られている区域」として環境省に認められ、『寿長生の郷』は国の定める「自然共生サイト」に認定されました。自然共生サイトとは、COP15で採択された環境への取り組みのひとつで、2030年までに陸・海の30%ずつは自然環境を目指すという考えを実行している場所です。角田氏は「自分たちは当たり前のことをしてきただけですが、取り組みや認定されたことをお客様にも宣伝し関心を持ってもらうことが必要」と話しました。 従業員も納得できる仕事 角田氏は「私たちは沢山売りたいとかあまり思っていません」とあっさり。流通するには量が必要でコストもかかります。原材料にこだわり売り方を工夫してコストを下げ、納得できる仕事を目指しています。「標野」は1つ200円で販売。「200円なんだけれども、販売までに携わった人たちの思いがつまったお菓子です」と話しました。 そして、これから就活に向かう学生たちに「どんな会社でもサービスを提供していますが、自分たちが幸せでなければお客様に対してもてなしはできません」と語りました。従業員も幸せな働きができる会社との出会いの大切さを伝えました。 いよいよ寿長生の郷へ 最後に本授業の1期生にあたるOG田中さんが紹介されました。田中さんは来年から叶匠壽庵へ入社が決まっています。4年前。本授業で『寿長生の郷』を訪れた田中さんは「最初は旅行気分でした」と話します。「『寿長生の郷』では従業員の皆さんが生き生きとしていたことが印象的でした。自分たちで育てて加工することに愛着も誇りもあり、お互いをリスペクトしていました」と感想を話しました。「私は新卒では別の企業に就職しましたが、就活の時にも『寿長生の郷』で聞いた話が自分の軸になりましたし、とても共感したので今回入社を決めました」と語り、学生たちも『寿長生の郷』で良い気付きがあることを期待しました。 学生たちは実際に『寿長生の郷』を訪れ、陶器作り体験をしたり和菓子作りのお話を聞いたりする予定です。その後の授業では、人事部の立場になり叶匠壽庵の新卒向けの企業案内を作る課題に挑戦します。深澤教授は「せっかく行くのですからそこでしか得られない情報を盛り込み、皆さんならではのものを作成してください」と伝えました。~後編へ続く~ 2023年12月12日 従業員を大事にすることが真の利益につながる!「実践キャリアプランニング」で世界的ホテルチェーンであるマリオットとのコラボ授業が行われました。 11月3日に、共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、ホスピタリティ業界を世界第1位でリードするマリオット・インターナショナル(以下、マリオット)との特別コラボが実現しました。この日は世界的ホテルチェーンの企業理念や価値観を学び、課題が発表されました。学生たちは「働き続けたいと思えるホテル」を考え、12月後半にプレゼンをします。 外資系ホテルのキャリアの積み上げ方 登壇されたのは、大野裕子氏。「採用担当部長みたいな役職です」といい、ご自身の仕事内容について人材をどのように集めるか、どうしたらマリオットで働きたいと思ってもらえるかを考え戦略を立てる仕事と紹介しました。大野氏は学生の頃からホテル業界を志しました。飲食系の部門で14年ほど活躍しますが、出産子育てを機に一度仕事を辞め、派遣社員を経験。しかし、「派遣なのであまり積極的なことや責任のある仕事はできなかった」と物足りなさを感じていました。そんな時にかつての上司が声を掛けてくれ、ホテル業界に戻ることに。人事としてキャリアをスタートさせました。 2017年にマリオット系列のホテルの新規立ち上げに関わり、現在は部長クラスまでキャリアを積み上げてきています。「マリオットに在籍しているのはたった6年間ですが、沢山の昇進の機会があったことを皆さんに伝えたいです」と大野氏。特に外資系ホテル企業はキャリアを積み重ねるスピードが早いと言います。現在最年少の部長は27歳とのこと。日本企業だと年功序列になるところも、マリオットでは年齢性別に関わらず、仕事の成果を上げている人の能力に応じてキャリアの機会があると話しました。 マリオットってどんなホテルチェーン? マリオットは世界で一番大きなホテルチェーンです。138の国と地域に、8500を超えるホテルやリゾートを展開しています。企業理念は「旅の魅力を通して世界中の人々をつなぎ、もっとも働きたい企業になる」ということ。ホテルを使うシーンは「ビジネス、観光など旅行に関わらず様々な場面がある」と大野氏は言います。例えば、待ち合わせにマリオットを使ってもらうなど、マリオットを軸にして世界中の人々を繋げていきたいと考えています。 もうひとつ重要なのが従業員です。従業員を大切にすることで、その従業員はお客様を大切にする。するとそのお客様はリピーターになってくれる、というのが創業当初から一貫している企業理念です。大野氏は「働く従業員の心に余裕がないと、他人に思いやりをもって接することは難しくなってしまいます」と話しました。お客様ファーストではなく、まずは従業員を大事にすることが「ビジネスとして考えた時も、実は真の利益に結び付くんです」と大野氏は語りました。 キャリアをつなげやすい環境 マリオットは31のブランドを持っています。クラシックとディステンクシブの2つのカテゴリーと、いわゆる5つ星と言われる「ラグジュアリー」、さまざまな客層にご利用いただけるファミリー向けの大きな「プレミアム」、お手頃な価格でご提供する価格帯の安い「セレクト」の3つレベルに分かれ、旅の目的に合わせてゲストに選んでもらえるようになっています。 大野氏は「これだけ多くのブランドがあるのは従業員のためでもあります」と話し、プレミアムレベルからスタートして数年後ラグジュアリークラスにチャレンジすることも可能と話しました。通常ホテル業界はホテルごとで会社として経営しているため、ホテル間を動くと「転職」扱いになってしまうことが多いですが、マリオット系列では積み重ねたキャリアや勤続年数をそのままスライドして、さらにキャリアを繋げられるというメリットもあります。 日本でもマリオット直営のホテルは59あり日本各地に散らばっているため、引っ越しなどにより今のホテルを離れても新しい地域のホテルに転籍することも可能です。またマリオットは毎年開業を続けており、それだけキャリアの席も増える可能性があるのも特徴。もちろん海外にも沢山のキャリアの機会があります。さらに大野氏は「マリオットは従業員に投資をして成長することが利益に繋がると考えているため、トレーニングに非常に力をいれています」と話しました。8000以上のコースがあり、無料で自分のやりたい部署の指導を受けられたり、オンラインで学んだりできる環境が整っていると紹介されました。 働き続けたいホテルの条件とは? いよいよ課題の発表です。まず大野氏は日本の宿泊施設事情と人口について説明。現在日本に宿泊施設は57,000を超える施設があり、稼働率もほぼコロナ禍前の状態に戻っています。しかし日本の人口は減っており、働き手不足は深刻です。「日本に泊まりたい人は増えているのに人手不足」が課題として挙げられました。またホテル業界全体の問題として、入社は多いのに離職も多いことがあります。 そこで出された課題は「働きたい・定着したいと思える企業は?」です。今回はホテルなど宿泊業の企業に絞って考えます。どんなことにやりがいを感じるか、ホテル業界はなぜ離職率が高いのかなど分析し、どんな企業であれば選ばれるかを考えます。今回、学生たちに出された課題は授業向けではなく、リアルな企業の課題です。「皆さんの知恵を拝借したいと考えています」と言い、「ぜひ色んなご意見や声をいただければと思います」と学生たちの発表に期待を寄せました。 担当教員からのメッセージ 今年の英文学科の企業連携プログラムには、マリオット・インターナショナル様の大野様にお越しいただきました。本学の学生にとっては、関心の高い業界であり、講義の内容には、真剣に耳を傾けている学生が、とても多く見られました。華やかなイメージとは違い、実際のお仕事は非常に厳しい面もお話しいただきました。しかしながら、大野様のお話しにとても共感し、ホテル業界への関心をさらに高めることに繋がる授業となりました。この場をお借りして、マリオット・インターナショナルの大野様に心から感謝申し上げたいと思います。この後、学生たちは12のグループに分かれ、いただいたお題の解決に向けたグループワークが始まります。 2023年11月8日 レースのストールから何を作る?日本女子大学の学生との共同プロジェクトで栄レースとのコラボ授業が行われました。 8月7日に滝澤 愛准教授(生活科学部生活環境学科)による栄レース株式会社(以下、栄レース)とのコラボレーションプロジェクトが行われました。栄レース株式会社とは、1958年から日本でリバーレース生産を開始し、現在では世界シェアNo.1のメーカーです。世界で唯一、デザイン・企画から製品化までを一貫して対応しており、レースデザイナーが日々デザインを考え、革新的なリバーレースを送り出し続けています。その洗練された最高峰の織機で仕上げられたリバーレースは、多くのオートクチュールメゾンや高級ランジェリーから熱い支持を受けております。今回は本学の学生だけでなく、日本女子大学・家政学部被服学科(以下、日本女子大)の学生も参加する共同プロジェクトです。この日はストールから別商品を作り出し、各々が自作した商品案を実際に見せながら特徴をプレゼンテーションしました。 レースを活かして洋服にも和服にも合うものを 4月から取り組んできたレースのストールから別の商品を生み出す課題の最終発表です。学生たちは実際にストールから商品を自作し、提示しながら良さをアピールしました。また作業の工程や時間から、希望商品価格まで考え発表しました。 最初の発表は実践女子大の学生から。和服の羽織を考案しました。コロナ禍も開けはじめ観光需要も戻っている現状に合わせ、訪日外国人向けの商品として考えました。レースの模様は和服だけでなく洋服にも合うため、和服を持っていなくても幅広い需要があると話しました。制電糸を使い、静電気を抑えながら水色とベージュの2色のストールを組み合わせて作成。秋などの肌寒い季節に販売することを想定し、袖口の透け感がきれいになるように工夫しています。希望価格は、裁断を工夫したり作業に慣れたりすれば4万円を切れるのではと伝えました。 次の日本女子大の学生は3点発表。レースをアクリルファイルと紙で補強して作成したアクリルバッグは、洋服にも和服にも合うデザインです。アクリルバッグなので雨でも活用できるのも利点です。ポンチョと作り帯も考案しプレゼンしました。 若者にもミセス世代にも使いやすいものは? 次の実践女子大の学生は、黒いレースを活かしたビスチェを作成しました。ビスチェは若い世代で流行っていますが、落ち着いた柄で年齢問わず使いやすく、ミセスの方でも手に取りやすい上品な作品になりました。前開きができ、着やすい工夫も。値段は1万5千円前後で考えていると発表しました。 日本女子大の学生はアームカバーとポーチを発表。1枚のストールから複数作成することができるため、ひとつの販売価格を3千円前後と手に取りやすい金額で提供できるものを考えました。 次の実践女子大の学生もアームカバーを考案しました。黒やベージュ、ピンクと色、そして長さもさまざまなものを作成。。主に日焼け用として使われているアームカバーには、レースを利用した商品展開は少ないと分析し、需要があると考えました。ミセス向けには二の腕まである日除け用の長いもの、若者向けにはおしゃれ用にも利用できる肘までの短いものを提案。レースの種類によって透け感もさまざまで一点ものとしての面白さもあると伝えました。ストール1枚から3セット作れることもあり、4千円前後のお手頃価格で販売できるのではと発表しました。 トートバッグやポーチにも 次の日本女子大の学生はトートバッグを作成。キャンバス地の布地にレースを貼り、しっかりと自立する実用性のあるトートバッグです。もう1点はレースの巻きスカートを考案。デパートや百貨店での販売を想定したため、クラシックバレエをされている方向けの商品を考えました。 次の日本女子大の学生もトートバッグを提案しました。ピンクでカジュアルテイストなものを作成し、スマートフォンも入れられるポケットやリボンのチャームなど若者向けのデザインに。サイズが大きめのもので、1万5千円ほどの価格帯で考えています。 実践女子大の学生は、旅行の時に利用できるランジェリーポーチを発表。内側にファスナー付きのポケットが付いていて、ランジェリーを2セット入れられます。折りたたんでポーチ型にすることで持ち運びやすく、旅行時にも利用しやすいものを提案しました。価格帯は8千円前後を考えています。 日本女子大の学生は他にも着物の付け襟や、トートバッグ、ビスチェ、手袋などをそれぞれ考え、発表されました。 商品はどこで売る?価格の決め方は? 発表後には栄レースの皆さんから総評をいただきました。澤村氏は「社内でもいろんな商品開発をしているが、先入観があったなと気付かされました。サンプルを預かって具体的な方向で、社内で検討したいです」と商品化に前向きなコメントを下さいました。坂本氏は「今回私たちも学生とのコラボは初めて」と話し、「授業もあるなかで大変だったんじゃないかと思います」と学生たちをねぎらいました。後期は第二弾が始まります。Z世代向けと母親世代向けそれぞれターゲットを定めたレースを使った商品を考えます。学生たちからは、価格の決め方について改めて質問がありました。「どこで作ってどう売りたいのかも考えてほしいです」と坂本氏。地方の工場で作るのか、東京で職人が手縫いするのか、海外で販売するかなども含めプレゼンテーションしてほしいと要望がありました。「アイデアは、こんなものでもいいのかな、などは考えなくていいです。楽しんで作ってください」と話し、今までとは違ったものや、レースを使った新しいものを考えてほしいと話しました。後期に参加する学生はレースを受け取り、次回に向け作戦を練っていました。 滝澤先生からのメッセージ 栄レース株式会社様からのお声掛けで、商品企画を学生にさせて頂くことになりました。学生自らが最高級リバーレースという素材に向き合い、市場を鑑みながらそれを用いた商品のデザイン、アイディアを考え、練り、手を動かして形にしてプレゼンテーションをしていく、その一連のプロセスを通して、大学の学びを踏まえて応用的な実学を経験しています。このような産学連携で、実際に百貨店などで販売を予定している商品案を、原価を基にした価格決定や顧客層も考えながらデザインしていくことは、学生にとっては得難い、非常に貴重な機会となっています。この商品企画は第3段まで続きますので、学生の成長がとても楽しみです。実際にアイディアが採用され商品化されるのはこれからですが、もし販売に至りましたら、店頭で是非ともお手に取って頂けましたら幸いです。 2023年10月24日 問いを立てる力を養おう!高校生を対象にした探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。 8月9日に高校生向け探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。株式会社トモノカイ(以下、トモノカイ)のサポートを得て大学での学び方のヒントを伝えるワークショップや、講義形式の学部セッションが行われました。さらには日本航空株式会社(JAL)による特別コラボセッションも。高校生たちは学びの先に自分のやりたいことや関心ごとを結び付け、「問いを立てる」主体的な学習法を体験しました。 「どこ」に着目して「どのように」見る? 最初はトモノカイによるスタートワークショップから。「高校までの学びは答えのあるものでしたが、大学からは問いを作ることが重要になってくる。今回は問いを作る練習をしてみましょう」と始まりました。高校生たちは数人のグループに分かれ緊張した面持ち。本学学生も各グループに2名ほどが付き、サポートします。 大学の学部は自分が関心をもっている事柄の中の問題に対して「どこ」に着目して「どのように」見るかが大きな違いです。例えばゴミ問題を例にしてもゴミそのもの、収集する人、収集車のCO2排出など、何に着目するかで変わります。また、それを科学的に見る、文学的に研究するなどどのように分析するかで全く違った切り口での見方になります。自分なりにどういう見方をしたいかを知ることが、学部を選ぶときのヒントです。高校生たちは、さっそく問いを広げる練習ワークに挑戦しました。 国際学部セッション:AIを活用し英語学習を深めよう ここからは希望の学部ごとに分かれ、それぞれ学部と企業の講義を体験します。 来年新設される国際学部からは三田薫教授が登壇し、英語学習にAIを取り入れることを提案しました。話題の文章生成AIであるChatGPTを実際に利用しながら講義は行われました。受験勉強としても必須である英語学習ですが「翻訳なら機械のほうが優秀な時代です」と三田教授。それでも英語を学ぶ理由はなにか、と問いかけました。必要なのは専門的な内容を話せて交渉できる英語力だと話します。学習にはインプットが重要と、リーディング量を大幅に増やすことが大切だと伝えました。 そこで活用できるのが生成AIです。自分の興味のあるテーマを打ち込めば、関連する文章を作成してくれ専門用語や知識も同時に身に付く質の高い教材が出来上がると紹介されました。専門用語だらけで難しいと感じた際は、易しい英文に直すことも可能。一語を切り取ってより詳しく深堀することもできます。 おすすめのテーマはSDGs。世界中の関心事のため、国内外どこでも話せる話題になります。今回は「航空燃料」を例に取って実際に三田教授が生成AIを使っていきました。自分専用のリーディング教材を作成し、音読することで、英語学習の幅や深さがレベルアップすると勧めました。 国際学部の企業セッション:航空会社の環境への取組とは 次はJALによる企業セッションです。JAL産学連携部人材開発グループの塩崎雅子氏による、JALのSDGsへの取組についての紹介がありました。最初に地球温暖化についての説明から。現在地球はCO2をはじめとする温室効果ガスにより、大気から熱が逃げにくい状態になり猛暑日の多発や台風、森林火災など多くの異常気象が起こっています。この問題に航空業界も真剣に取り組んでいるのです。 航空機のCO2排出量は全世界の2%を占めます。JALでは、燃費の良い高性能の機材に更新したり、エンジンの洗浄を定期的にして燃焼効率を高めたり、水の積載量を調節して機体重量を軽くしたりと様々な取り組みを行っています。そのなかで特に重要なのが「SAF」の活用です。SAFとは持続可能な航空燃料のことで、原料は都市ごみや使用済の食用油、木材、海藻など。従来の燃料では、採掘する際にもCO2を出してしまいます。地上にある原料を使うSAFを活用することでCO2排出の総量を減らすことが目的です。しかしSAFはまだまだ供給量が少なく高価。国産で安定的にSAFを供給できるような体制をつくることを目指しています。2030年までに全体の10%をSAFに置き換える目標をかかげ、ライバル社である全日本空輸株式会社(ANA)とも協力し、共同で研究しています。 「周りを海に囲まれている日本にとって、飛行機は世界を身近に感じるためになくてはならない乗り物です。これからは未来の燃料を使い、人にも環境にも優しい旅の実現を目指します」と塩崎氏は講義を締めくくりました。 人間社会学部セッション:時間軸・空間軸で地域を見て課題を考えよう 人間社会学部からは原田謙教授が登壇し、社会学の視点から考える探究のコツを伝授しました。社会学とは地域をはじめとする社会の変化や課題を探究する学問です。社会を見るための方法の一つ目は時間軸で同じ地域や社会を考えるやり方です。今現在の東京と、50年前の課題は当然違います。もう一つは空間軸で考えること。都心エリアと郊外ではどう違うかを見ます。 ここで原田教授は高校生たちにQRコードを利用したアンケートを実施。「今の東京における地域の課題とはなんでしょうか?」学生たちはゴミのポイ捨て、ホームレス、満員電車、治安、猛暑などさまざまな課題を次々に挙げていきました。 原田教授は現在の課題のひとつとして都心の人口増加を上げました。しかし50年前は地方から来た人に対する住宅不足が問題でした。そのため1970年代には多摩地域など郊外のニュータウン開発が盛んになり、いったん都心人口は減りますが1990年代から再度人口が増え始めました。「この現象をジェントリフィケーション(都心回帰)と言います」と原田教授。時間軸で考えることで都心が常に人口増加しているわけではないことが分かります。 社会学の研究は「自分自身で社会を観察、アンケートやインタビューで調査して一次データを取ることが強み」と原田教授。統計を見る量的調査だけでなく、フィールドワークを通しデータを集める質的調査を行うことで、より自身が探究したい課題に取り組めると話しました。高校生たちは社会学のエッセンスを感じられる講義となりました。 人間社会学部企業セッション:航空会社が行う地域活性化の取組って? 続いてJAL産学連携部人材開発グループの田中優子氏が登壇され、地域活性化のためにJALが行っている取組についてお話しされました。JALは航空運送業で、各地に空港や支店、グループ会社があるため、日本中にネットワークがあります。それらを活かして、なにかJALも地域活性化に貢献できないか、と取組を行っているのです。なぜJALが地域活性化に取り組むかと言えば、背景に「ESG経営」があります。現在企業経営の在り方として重要視されている考えで「皆さんはまだ高校生ですが、今後、就活をされる際、企業の考え方を知るのに役立つと思います」と田中氏は解説しました。 JALグループの取組のひとつに「JALふるさとプロジェクト」があります。その一環として、地域産業を支援し特産物の商品開発やプロモーションを行っています。商品はふるさと納税やJALグループのネットワークを通じて販売し、販路・物流の活性化も促しています。CAが地域に移住し、より地域の課題に寄り添えるJALふるさとアンバサダーという制度も。他にも多くの取組が紹介されました。「地域との交流は以前からありました。繋がりの大切さを感じるプロジェクトです」と田中氏は講演を締めくくりました。 問いを立てることはやりたい仕事の選択につながる 2つのセッションを終えた高校生たちは再度一番最初のグループへ戻り、それぞれの学部や企業のセッションで学んだ視点を、自分が関心のある社会問題に組み合わせて問いを立ててみることを試みました。「どこ」を「どのように」扱うかを考えるということは、自分が何を目指すのか、なぜそう思うのかを考えることにつながり大学での学びや、ひいては企業や仕事の選択にもつながります。 最後にグループ内で発表し合い、それぞれの考えを聞いていた高校生たちは真剣ながらも笑顔を見せつつ、体験学習を楽しんでいました。 Posts navigation ← Previous Page 1 2 3 … 5 Next Page → ABOUT NEWS DATA TOPICS 実践女子学園 実践女子大学/実践女子大学短期大学部 実践女子学園中学校高等学校 Copyright © 2024 Jissen Women's Educational Institute (JWEI) all rights reserved

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